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日航機墜落から21年、520体の仏像奉納 [政教分離問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です


 日航ジャンボ機の墜落事故から12年になります。あれはほんとうに悲惨な事故でした。あらためて犠牲者の冥福を祈らずにはいられません。

 事故が起きたころ、私は総合情報誌の編集記者をしていました。準備していた大きな企画があったのですが、事故の影響で筆者の新聞記者が取材すらできない状況となり、急遽、駆け出しの私が代役で調査取材したなどということがあったことを、昨日のことのように思い出します。

 今年も慰霊登山の人波が続いているのでしょうが、先日、ちょっといい話が伝えられました。あのとき遺体確認の作業にたずさわった看護師の方が夫婦で仏像520体を作り、墜落現場の御巣鷹山のふもとに奉納した、というのです。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060811k0000e040043000c.html

 いい話だな、と思いながらも、気になったことが1つだけありました。仏像はどこに奉納されたのか、公有地に、なのだろうか、ということです。

 というのも、先般も北海道で、このブログでも取り上げましたが、市有地に宗教施設である神社(ほこら)が建っているのは憲法が定める政教分離に違反する、として訴訟が起きたという報道があったからです。この論理でいけば、仏像の奉納は、もし公有地になら、憲法違反ということになります。

 役場によると、山のふもとに村民有志が土地を提供した財団法人の「慰霊の園」があり、仏像はそこに奉納されたようです。財団の事務局は村役場にあるのですが、これなら憲法に違反しない、という見極めがあったのでしょうか。

 でも考えてみると、こうした大事故であれば、公機関が直接、慰霊・追悼を行うことは憲法上、許されないことなのでしょうか。少なからぬ由緒のあるほこら1つでさえ公有地にあることを許さないほど、日本の憲法はかたくななのでしょうか。

 東京都の慰霊堂で春と秋に行われている関東大震災と東京大空襲の慰霊法要は、都の外郭団体である慰霊協会が主催です。阪神大震災10年の慰霊式典は実行委員会の主催でしたが、政教分離の本家本元であるアメリカではあの9.11テロの三日後、ホワイトハウスの依頼により、ワシントン・ナショナル・カテドラルで追悼ミサが行われました。

 だとすると、慰霊の園の仏像奉納はもちろんのことですが、宗教法人靖国神社で国が主催する式典を行うことも、あるいは財団化された靖国神社で宗教法人靖国神社が祭祀を行うことも、憲法上、認められ得るということになります。昨今の議論のように、靖国神社を国家機関化するために、宗教法人格を外し、祭祀を無宗教化するまでもない、ということになります。
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