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森永さん、あなたもですか [靖国問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です

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「年収300万円時代を生き抜く経済学」で知られる経済アナリストの森永卓郎さんが、先般の小泉首相の靖国参拝を「暴挙だ」と批判しています。
 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/47/index.html

 批判の第一点は、総理大臣としての靖国参拝が憲法に抵触するおそれがある、と指摘されているにもかかわらず、「心の問題」として内閣総理大臣として参拝した。公人中の公人が突然、「人間小泉」に変身してしまうのはおかしい、という指摘です。

 第二点はA級戦犯合祀の問題です。小泉首相はA級戦犯を戦争犯罪人と認めているのに、参拝についてはA級戦犯のために参拝しているのではない、と語っている。矛盾している、というのです。

 第三点は、なぜ8月15日に参拝したのか。中国、韓国が反発し、首脳会談も開かれない状況になっているのに、「自分は友好論者だ」とうそぶき、中韓が悪いと主張しているのは詭弁だ、と批判しています。

 引用はこれぐらいでやめましょう。さて、どこがおかしいのでしょうか。

 第一点目です。国に命を捧げた戦没者に国の代表者が表敬するのは当然のことでしょう。この場合、首相に要請されるのは表敬であり、信仰ではありません。まして靖国信仰の布教ではありません。政教分離原則に違反することはありません。

 ただし、首相といえども、公人といえども、一個の人間に変わりはありませんから、靖国神社にたいして個人としていかなる宗教的感慨をいだこうとも自由です。ちなみに大平首相は熱心なクリスチャンでしたが、表敬参拝しています。

 政教分離原則を厳格に考える森永さんの立場に立つなら、仏式で行われている東京都慰霊堂の慰霊法要はどう理解されるのですか。先日、慰霊堂では秋の慰霊法要があり、副知事が参列し、弔辞を読み上げ、焼香しています。導師を務める僧侶がお題目の唱和を会衆に呼びかけることもあります。

 第二点目、靖国神社は戦争犯罪を神聖視し、A級戦犯を神とあがめているのではありません。もしA級戦犯を神聖視しているのなら、28人全員を合祀しなければなりませんが、靖国神社は刑死した7人と公判中に病死した2人、受刑中に死亡した5人を合祀しているだけです。それは国民の強い要望を受けて、日本政府が刑死・獄死を公務死と認めたからこそ、一般戦没者と同様に合祀されることとなったのです。

 もとより慰霊・追悼と歴史批判とは次元が異なります。自分の親が大泥棒だからといって葬式をしない子供がどこにいるでしょうか。まず慰霊を丁重に行うこと、そのうえで歴史批判を存分に行うというのが順序ではないでしょうか。

 第三点目、中国、韓国が首相参拝に反発している、というのですが、その反発の本質がなんなのか、森永氏はどうお考えなのでしょうか。最近では靖国批判を道具に用いて、中国国内ですさまじい権力闘争が展開されていることが分かってきました。森永氏のエッセイはそのことには触れていません。

 しかも中韓の反発といいますが、今回の参拝のあと、北京の日本大使館にやってきたデモ隊はわずか20人でした。胡錦涛政府は反日行動を完全に封じ込めているのです。なぜなのか、森永さんはお考えになったことがおありでしょうか。

 森永さんは最後のまとめとして、国立施設の建設に賛成だ、とおっしゃいます。小さくても、だれでもお詣りに行ける施設があればいい、とお考えのようです。

 しかし興味深いのは、追悼施設をつくっても参拝者は少ないだろう。首相だけはしつこくお詣りし、海外の要人も招くようにすれば、そのうち人が集まるようになる、という予測です。

 要するに慰霊を目的とする無宗教の宗教的施設を国家が建設し、首相がその伝道師になる、ということでしょうか。それは森永さんが冒頭におっしゃったところの政教分離原則に違反しないのでしょうか。自己矛盾ではないのですか。

 だれでもお詣りできるように、といいつつ、だれもお詣りにこないような施設をなぜつくらなければならないのか、私には理解できません。

 歴史を振り返れば、招魂社時代の靖国神社には神職もおらず、参詣者もまばらで、そのため神社として整備され、参拝者が増えたといいます。国家的慰霊の中心施設して機能してきた靖国神社をさしおいて、なぜ閑古鳥の鳴く施設を新設するのですか。そのことによって戦没者の魂は慰められるのでしょうか。
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