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上海市トップの解任 [日中関係]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です


 今朝の朝刊は、中国共産党が上海市トップ、陳良宇・市党委員会書記(政治局員)の解任を決めたことを伝えています。

 陳氏は江沢民派で、その解任はここ数年続いてきた胡錦涛派との熾烈な権力闘争の結末を予感させます。中国事情に詳しい宮崎正弘氏は今朝のメルマガで、「胡錦濤、ついに江沢民残党を一斉に追放へ」と短い分析を載せています。

 先月は小泉首相が靖国神社に参拝したさなかに、やはり江沢民派で政治局ナンバー4の賈慶林の失脚が伝えられました。江沢民を中心とする対日強硬派との政争に、対日関係を重視する胡錦涛の勝利が確実になったとすれば、「氷河期」と表現されるほど冷却化したと日中関係は好転するのでしょうか。

 胡錦涛は政権発足当初、歴史問題を後景化し、対日改善をよびかける「新思考外交」を展開しましたが、一年足らずで挫折しました。その背景にあったのが対日強硬派との権力闘争であり、政争の具に使われたのが小泉首相の靖国参拝問題でした。

 一昨年の秋、胡錦涛は靖国参拝にはじめて言及し、批判しました。「反日」が中国の国益にかなうはずもありませんが、日本に毅然たる態度をとらなければ「軟弱外交」と強硬派の批判を浴び、地位を危うくします。胡錦涛までが参拝批判をせざるを得なくなったのはそのためでしょうが、それは一種のアリバイ証明といえます。高度な連携があったのかどうか、内外の批判に抗して小泉首相が靖国参拝を続けたことが胡錦涛派の勝利に一役買ったことは間違いないでしょう。

 小泉政権に代わり、今夜発足する安倍新政権に対して、中国政府は「靖国参拝自粛の明言」を要求しています。胡錦涛派が権力基盤を強化している新局面下で、参拝問題はどう展開するのでしょうか。

 安倍新首相が胡錦涛政権の要求を呑めば、江沢民派がなしえなかった参拝阻止を胡錦涛が成し遂げたことになり、胡錦涛は江沢民との権力闘争に完全勝利し、政権基盤を盤石にすることでしょう。しかしそのことが、胡錦涛が当初、目指した「新思考外交」路線の回復、新たな友好関係の構築につながるのかどうか。日本のナショナリズムにいよいよ火をつけることになれば、胡錦涛は国内の政権安定と引き替えに、対日関係の安定性を失いかねません。

 他方、安倍政権が胡錦涛政権の要求を簡単に呑むとも思えませんから、新たな緊張から江沢民派がふたたび勢いを盛り返す可能性も出てきそうです。歴史問題が完全に後景化するには、江沢民自身の失脚が前提になるのでしょう。

 中国ウォッチーは、来年の党大会までに権力闘争が決着するかどうかが鍵になる、と見ていますが、いよいよその正念場が迫ってきたようです。
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