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参考にならないスペインの女帝論議 [女帝論]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成18年11月29日水曜日)からの転載です

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 朝日新聞が伝えるところによると、スペイン王室はレテイシア皇太子妃が来春に出産される予定の第2子が「女児である」と発表しました。

 もし第2子が男子だった場合、第1子のレオノール王女の王位継承権を飛び越すことになるため、9月の懐妊発表後から女帝論議が活発していた。論議の加熱を防ぐため、今回の性別発表に踏み切った、と記事は伝えています。
http://www.asahi.com/international/update/1128/021.html

 記事を読むと、世界のどこの王室でも、日本と同じような女帝論議が起きているように見えますが、同じような議論と簡単に考えるのは危険です。それぞれの国にはそれぞれ固有の歴史があり、王位継承はその固有の歴史と不可分だからです。単純に一般化するわけにはいかないのです。参考にする場合は、その違いを明確に認識する必要があります。

 ヨーロッパの王室が女子の継承を容認しているのは、父母の同等婚が前提となっているからです。ヨーロッパでは国王もその配偶者も王族であることが継承の資格とされてきました。しかし日本の皇室は、父母の同等婚を要求しないかわりに、父系の皇族性を厳格に求めてきたのです。

 このため、ヨーロッパの王室では、ひとつの王統が途絶えれば、王権は女系の王統に移行することが認められました。そしてその場合は王朝の名前も代わりました。しかし父系にのみ皇族性を要求する日本の場合は、女子の皇位継承を認めた場合にも、配偶者の存在を認めず、女系子孫の皇族身分も認めませんでした。もし女系子孫の皇位継承、いわゆる女系天皇を容認するということは、歴史的に認められてきた皇位継承資格というものを根本的に変革することになるでしょう。

 したがってヨーロッパの事例がまったく参考にはならないのです。この記事のように、制度上の違いを蔑ろにして、単純に報道することは、正確な事実報道とはいえず、逆に読者の誤解を招くことになります。

 その点、もうひとつ強調しなければならないのは、天皇の皇位継承は本来、国民が口をはさむべきことではないということです。

 前世紀、ヨーロッパの王室で最初に最初に女子の王位継承容認に踏み切ったのはスウェーデンですが、その背景にはこの国の「選挙君主制」の伝統があります。世襲的絶対王制が成立する16世紀以前、自由民が前国王の王子のなかから新国王を選挙で選ぶ制度がスウェーデンでは定着していたのでした。国民の意思による王制改革はその伝統に基づくものといえます。

 皇位典範を「皇家の家法」としてきた日本は、このようなヨーロッパの事例を模倣する必要はまったくありません。

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