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取材不足ではないのか [マスコミ報道]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成18年12月18日月曜日)からの転載です

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取材不足ではないのか──共同通信の靖国批判
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 共同通信は14日、ブッシュ元大統領(現大統領の父)が北京市内で開かれた中国科学院主催の講演会のあと、質疑に答えるかたちで、小泉首相らの靖国神社参拝について「歴史を否定している」と批判した、などと伝えました。

 靖国批判に余念のない韓国の朝鮮日報はすぐさまこの報道に飛びつき、「靖国参拝は歴史を否定することだ、と共同通信が伝えた」と報道しました。

 中国科学院のホームページによると、ブッシュ元大統領の講演は米中関係について語ったものであり、少なくとも中国科学院による講演要旨には「靖国参拝」は出てきません。しかし国営の新華社通信は、「靖国神社は歴史を歪めている、とブッシュ元大統領が語った」と伝えています。

 第二次大戦中、海軍パイロットとして従軍し、撃墜された経験を持つブッシュ元大統領は、講演のあとの質疑応答でいったい、靖国神社に関して、歴史問題に関して、何を語ったのでしょうか。

 報道を整理すれば、靖国神社は戦争犯罪人を賞賛している、神社への参拝は歴史を歪める、靖国神社の施設は真珠湾攻撃をアメリカの責任としているが、アメリカが奇襲攻撃を受けたのは事実である、日本人は耐え難い悪事を中国人に働いた、というような発言を行ったようです。

 問題はこれらが根拠のある発言といえるのか、です。

 靖国神社が戦争犯罪人を賞賛しているなどという事実はありません。なぜなら靖国神社は、いわゆるA級戦犯についていえば、東京裁判で起訴された28人、あるいは有罪判決を受けた25人を合祀しているのではないからです。靖国神社が合祀しているのは、絞首刑となった7人、公判中に病死した2人、受刑中に死亡した5人であり、日本政府が14人の死を一般戦没者と同様に公務死と認めたからです。その背後には講和条約の発効後、国民の圧倒的な支持と国際社会の決定により、A級、BC級を問わず、戦犯者が赦免、減刑されていった経緯があります。

 もちろん靖国神社が戦争犯罪を正当化し、戦犯者を神とあがめているはずもありません。祭神の合祀は特定の歴史観や戦争観に基づくものではありません。遊就館の展示内容をもって特定の歴史観、戦争観があるように考えるのはまとはずれです。靖国神社はあくまで戦没者を慰霊する祭祀施設であり、歴史論争の場ではありません。

 ブッシュ元大統領の靖国批判はまったく根拠がありません。いやしくも元大統領であるならば、靖国神社についての十分な知識をもったうえで発言すべきでしょうし、報道する側も慎重であるべきです。その意味では、この発言がどうして飛び出したか、興味がもたれます。講演のあとの質疑応答と伝えられますが、誰が、何の目的で質問したのでしょう。

 このニュースを配信した共同通信は、A級戦犯合祀を昭和54年春に「スクープ」したことで知られます。愛媛玉串料訴訟の最高裁判決を事前に「単独スクープ」したのも共同でした。昨年6月には「A級戦犯分祀、あり得ない、靖国神社回答」という記事を配信し、注目されました。

 ジャーナリズムの本領はスクープですから、スクープにこだわることそれ自体はたいへん結構なのですが、基本的認識が十分とはいえないところが気がかりです。昨年の記事も、全体的に「軍国主義」的な神社がかたくなに「分祀」を拒んでいるという印象を与えていましたが、そもそも「分祀」とは何かが深く理解されていません。

 共同通信社会部の担当者に聞くと、「分祀とは合祀をやめること」と簡単に説明するのですが、いったん合祀された神霊を神ならぬ人間が具体的にどうやって「やめる」のか。神道的な意味での「分祀」はちょうどロウソクの火を分けるように、分霊が増えていくことであって、神霊を部分的に取り除くことではない。だからこそ神社側は「あり得ない」と回答したのでしょうが、そのような基本的なことが共同通信にはまったく理解できないようです。

 今回のブッシュ元大統領の靖国批判にしても、その場に居合わせた記者に次のような質問を期待するのは無理なのでしょうか。「靖国神社は慰霊施設であり、戦争犯罪を神聖化しているわけではありません。首相参拝は殉国者への表敬に過ぎません。国家が殉国者を慰霊するのは当然の責務でしょう。それでも靖国参拝は歴史の歪曲である、とお考えですか」

 靖国神社が、あるいは首相参拝が歴史を歪曲しているのではなくて、報道する側の取材不足ではないのですか。
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