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豚肉スープは差別か否か [政教分離]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年1月6日土曜日)からの転載です

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豚肉スープは差別か否か
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 ロイター通信によると、フランスの行政裁判所は2日、極右組織がホームレスの人たちに豚肉スープを配給することを認め、豚肉スープの配給は人種差別だとする警察の主張を退けました。
http://today.reuters.co.uk/news/articlenews.aspx?type=oddlyEnoughNews&storyID=2007-01-02T201146Z_01_L02264396_RTRIDST_0_OUKOE-UK-FRANCE-SOUP-PORK.XML
 
 豚肉スープを配給していた団体にいわせると、豚肉スープはフランス伝統の味ですが、宗教的理由から豚肉を口にしないユダヤ教徒やイスラム教徒にすれば差別に当たる、として、警察は先月、無料食堂の運営を禁止したのでした。

 これに対して裁判所は、豚肉スープの配給は「差別的」だが、宗教に関わりなく配給しているのだから、警察は配給を禁止することはできない、と判断を下したのです。

 しかし、フランス内務省はこの判決に抗議し、控訴を予定している、と4日、ロイター通信はふたたび伝えました。
http://today.reuters.co.uk/news/articlenews.aspx?storyid=2007-01-04T195719Z_01_L04234322_RTRIDST_0_OUKOE-UK-FRANCE-SOUP-PORK.XML&type=oddlyEnoughNews

 内務省は何が不服なのでしょうか。

 ロイターの記事は「人種差別」をキーワードにしていますが、人種問題にとどまらない、もっと深い意味がありそうです。

 フランスは大革命によって非宗教的で平等な国民国家を築いてきたはずですが、今日ではイスラム系移民の激増によって社会の均一性は崩れ、世俗国家の前提である非宗教的政教分離(ライシテ)が揺らいでいます。その現れの1つがこの事件といえます。

 フランスに生まれた者なら、出身や人種、宗教などにかかわらず、すべてフランス人として受け入れる。しかしそのためには徹底した同化政策がとられ、民族や宗教という属性を捨てることを国民に要求する。そうした従来の厳格な同化主義に立てば、裁判所の判断はまったく正しいことになるでしょう。

 けれども、「自由・平等・博愛」を国是とし、積極的に移民を受け入れてきたがゆえに、国民的な均一性を失い、多元的なモザイク社会と化した今日のフランスは、宗教的な少数者の権利に配慮せざるを得なくなっています。たとえば、一昨年秋に移民社会の不満などが火を噴き、暴動が全土に吹き荒れた折も折、サルコジ内相は政教分離法を見直し、イスラム教のモスク建設に国家が支援できるようにすることを提案したほどです。

 大革命以来、保ち続けてきた非宗教的世俗国家の原理を、フランスは今後もかかげ続けることができるのでしょうか。事件の成り行きが注目されます。
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