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朝日新聞はなぜ字体を変えたのか [朝日新聞]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年2月11日日曜日)からの転載です

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朝日新聞はなぜ字体を変えたのか
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 朝日新聞は今年1月、新聞記事に使う表外漢字(常用漢字表にない漢字)の字体を一部変更しました。これによって、たとえば「森鴎外」は「森鷗外」に、「胡錦涛」は「胡錦濤」と表記されるようになりました。

 1950年代から使われてきた「朝日字体」と呼ばれる簡略字体をなぜいまになって変えることになったのか。「国際派時事コラム」の泉幸男さんが「人形町サロン」掲載の論攷で追究しています。

「朝日字体がビスタに負けた」

 というのが泉さんの結論です。
http://www.japancm.com/sekitei/new/sikisha/sikisha19.html

 国語審議会による「表外漢字字体表」の答申以降、新聞各紙は伝統的字体への回帰を進めました。平成16年にはJIS規格も改正されましたが、それでも朝日新聞は簡略した朝日字体にこだわりました。元祖の意地だ、と泉さんは書いています。

 それがなぜいまになって白旗を揚げたのか。泉さんは、表外漢字を伝統的字体にもどしたコンピュータの基本ソフト「ウインドウズ・ビスタ」が1月末に発売になり、朝日字体の敗北が確定するからだ、といいます。

 6年間も国語審議会の答申に抵抗し続けた朝日新聞がウインドウズの新しいOSの前に屈服せざるを得なかった。あえて「森鴎外」「胡錦涛」と書けば、「古いOSを使っているんですか」と笑われてしまう。だから、「宗旨替え」をした、というのです。

 ベテランの植工さんが活字を拾っていた時代は今や昔。新聞編集、整理、印刷は一貫してデジタル化、コンピュータ化されています。第一、「植工」という言葉が自分で単語登録しないかぎり、いまやワープロソフトでは出てきません。

 その時代に、かつては時代の先端だった簡略字体の「朝日字体」にこだわれば、社内でしか通用しない独自のソフトをつくらなければなりません。コストがかかるばかりで、しかも世の中に受け入れられることはないでしょう。

 だとすれば、朝日新聞の決定は、泉さんのいう「宗旨替え」というより、現実主義といった方が正確かと思います。

 そもそも大新聞に「宗旨」というほどの主義主張があるのか、大いに疑わしいのではないでしょうか。

 国語改革についていえば、泉さんのエッセイは戦後の国語改革をリードした朝日新聞の役割について書いていますが、国語改革は戦前も行われていました。東条内閣時代、文部省と国語学者、軍部そして新聞が植民地政策推進を目的に、日本語を整理・合理化する漢字制限と仮名遣い改定を進めています。

 戦後になると、占領下の国語改革、すなわち当用漢字、新仮名遣い、左横書きがGHQ、文部省、国語学者、そして大新聞の4者によって進められました。

 戦前・戦中と戦後の国語改革の違いは、後ろ盾とされたのが、軍部の強権か、占領軍の絶対権力か、の違いでしょう。そこには主義主張はないと考えるべきです。長いものには巻かれろ。今回の朝日の方針転換はコンピュータ権力の前に膝を屈したということでしょうか。

 大新聞の無思想ぶりは、戦前において、政府の戦争政策に協力するようになった経緯に明確に示されています。

 今日、大新聞自身は、軍部や右翼の外力に屈し、「無念の転針」を図った、というようにみずからの歴史を検証していますが、むしろビジネスがジャーナリズムに優ったというべきで、商業ジャーナリズムの論理で自壊したというのが真相でしょう。

 戦争中、驚くべきことに、たとえば朝日新聞は戦後の高度成長期を上回る勢いで部数が拡大し、収入は増大したのです。

「経理面の黄金時代」

「新聞は非常時によって飛躍する」

 と社史に謳い上げられているほどです。

 戦前、朝日新聞の副社長を務めた緒方竹虎は、

「新聞が強い主義主張をもって立つためには、週刊新聞的な少人数によって作られる、広告収入に依存しないものでなくては駄目だ。新聞社の収入が大きくなればなるほど、資本主義の弱体を暴露する」

 と書き残しています。

 つまり大新聞であればあるほど、主義主張を期待する方が間違っているのです。

 考えても見てください。朝日新聞は昭和14年、陸軍省の後援で靖国神社の外苑に戦車を並べ、戦車百五十台が東京・銀座をパレードする「大戦車展」を鳴り物入りで開催しました。その朝日新聞が、いまでは

「国家神道の中心施設」

「軍国主義のシンボル」

 などといって、同じ靖国神社を批判しているのです。しかも社史にはたったの1行も記録されていません。

 記者個人は別にして、社自体に宗旨や主義主張があるといえますか。

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