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中国による対米工作の憂鬱 [慰安婦]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年3月24日土曜日)からの転載です

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中国による対米工作の憂鬱
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 アメリカ下院での慰安婦対日非難決議案の採決が当初、いわれていた今月中ではなく、5月になる見通しと伝えられています。4月下旬に予定される安倍首相の訪米が、いよいよもって反日デモの高まりに迎えられる可能性が指摘されています。

 ここで思い起こされるのは2つの歴史です。1つは十数年前、猛烈な反日デモに迎えられた宮沢首相の訪韓、もう1つは70年前の蒋介石による日米開戦に向けた対米工作です。

 平成4年1月、朝日新聞は、ある大学教授が慰安婦問題に日本軍が関与していたことを示す「資料」を「発見」したとする「特ダネ」を載せました。資料は関係者の間ではよく知られていたもので、「発見」ではありません。しかも内容は、官憲による「強制連行」を裏付けるものではなく、業者によるトラブルを軍・警察がやめさせようと指示するもので、完全な誤報といわれます。

 しかし、一面トップの「スクープ」は大反響を呼び、韓国マスコミは反日をあおり、宮沢首相は抗議デモが荒れ狂う韓国で「謝罪」を迫られました。首相訪韓は以前から予定され、北朝鮮の核武装や南北統一問題を協議するはずでしたが、本題はすっかりかすんでしまいました。

 日韓が連携するアジア外交の完全な失敗で、誰が漁夫の利を得たのかは明らかです。今日、北朝鮮の核問題がこれほど憂慮されていることからすれば、このときの外交の失敗が返す返すも悔やまれます。

 朝日新聞の「スクープ」記事は宮澤訪韓に合わせたものといわれ、当然、「社会の公器」としての責任を追及する声もありますが、今回のアメリカ下院の慰安婦決議も安倍訪米に焦点を合わせ、指摘されているように、外部勢力が政治工作を行っている点で類似性が見られます。震源は同じなのではないかと疑わせるほどです。目的は日米関係の離反でしょうか。

 となれば、思い起こされるのは日米開戦の歴史です。当時、けっして関係が悪くはなかった両国が、なぜ戦争しなければならなかったのでしょうか。

 昭和17年の「朝日年鑑」によると、当時のアメリカは、人口が本国1億3000万人、属領1900万人でした。「世界一の持てる国」で、農産物、エネルギー資源の多くは生産量世界一を誇っていました。

 第一次大戦後、イギリスをしのいで世界経済の中心地となり、世界の金(gold)のじつに80%を保有し、GNPは日本の8倍。対日貿易は輸入が6億4000万円、輸出が10億円(昭和14年)で、日本はイギリス、カナダに次ぐ第三の貿易相手国で、経済関係は親密でした。

 当時のアメリカ人は日本人をどう見ていたのでしょう。面白いことに、サイデンステッカー・コロンビア大学名誉教授は、日本人のアメリカ観が均一的なのに対して、アメリカ人の日本観は

「漠然として取り止めがない」

 と評しています。

 アメリカが排日移民法を成立させ、その発効の日に日本全国で前代未聞の反米デモが繰り広げられたのは1924年ですが、当時のアメリカの対日観はそれほど明確ではなく、日本に関心を示していたのは西海岸に限られていました。排日法にしてもカリフォルニア・ロビーの議会工作がなければ成立しなかったのです。

 日米関係が急速に悪化したのは、反日的な政治工作、世論工作があり、功を奏したからということになります。事実、アメリカが日中戦争に介入していった背後には

「夷をもって夷を制す」

 という蒋介石のたくみな工作がありました。

 日中戦争で劣勢に立つ蒋介石は宋美齢夫人の長兄、キリスト者でハーバード大学卒の親米派・宋子文をワシントンに派遣して、援助獲得交渉に乗り出しました。宗美齢夫人も流暢な英語でアメリカ議会をはじめ、各地で中国の窮状を訴え、アメリカの孤立主義的世論を中国支援へと変えたことが知られています。

 真珠湾攻撃を受けて、ルーズベルトは

「汚辱の日を忘れるな」

 と演説しましたが、その日、重慶ではまるで大勝利を手にしたかのような歓声が沸き上がりました。蒋介石には、アメリカの対日戦参加は日本の敗北を意味したからです(臼井勝美『日中戦争』など)。

 今回のアメリカ下院の決議案に対して、日本政府が大物ロビーを雇って決議案阻止に動いている、という批判がされていますが、実態は逆であって、中国のアメリカに対する政治工作が長期的に継続的に行われています。日本の外交は明らかに後手に回っています。

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