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過疎と高齢化で浜入れできない神輿 [神社神道]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年5月31日木曜日)からの転載です

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過疎と高齢化で浜入れできない神輿
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 徳島新聞によると、県内のトップを切って、大漁と航海の安全を祈願して行われる海洋町・竹島神社の夏祭りで、呼び物となってきた神輿の浜入れが今年は中止されるそうです。
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_118048924055&v=&vm=all

 理由は過疎と高齢化。独身の漁師14人で行われるのが習わしの勇壮な浜入れ神事ですが、肝心の独身男性が激減し、このため島外出身者にまで対象を広げ、担ぎ手の確保に苦労してきたけれども、今年はそれでも人数が足りなかったというのです。

「これでは伝統が廃れてしまう」
「これから祭りはどうなるのか」

 と人々は頭を抱えています。

 農業については就業者の高齢化と後継者不足が指摘されて久しいですが、漁業の場合はもっと深刻で、伝統の祭りが十分にできないという竹島神社の悩みは全国に共通します。

 少し古いデータですが、農水省の調査によれば、漁業就業者の数は平成15年現在で23万8371人。高齢化の進展でこの5年間に14%減少しました。7人のうち1人が辞めていった計算で、男性の就業者を年齢別で見ると、60歳以下では減少している反面、70歳以上の増加が目立ちます。

 総務省発表の長期データと照らし合わせて見ると、漁業就業者の数は昭和28年には72万人でしたが、いまはその3分の1弱に激減し、昭和60年の45万人からすると、わずか20年足らずの間に半減したことになります。

 こうした状況が、漁業関係者の崇敬を集めてきた神社と祭りの維持に大きな影響を与えないはずはありません。

 たとえば、豊漁守護神などとして全国に知られる、西日本のある神社では、

「かつては遠洋漁業関係者が全国から団体で参拝にこられたが、いまは見られなくなりました。漁幸祭は地元の漁師がこぞって奉仕する祭りだが、ほとんどが高齢者です。漁業後継者不足は神事に欠かせない制度の維持を困難にしています。農業・漁業がさらに衰退するようになれば、神社の存立そのものに深刻な影響を与えかねません」

 と、じつにきびしい見方をしています。

 平家の没落とともに衰微した神社など、個々の神社にとって栄枯盛衰は世のならいですが、今日の問題は日本の宗教伝統が全体的に大きな波にさらわれていることでしょう。

 反ヤスクニ運動と称して組織的な神道撲滅運動を展開する仏教徒やキリスト教徒がいる一方で、過疎や少子高齢化によって祭りの担い手が減っています。神社は地域のものであるという観念も稀薄になっています。日本の宗教伝統は足下から大きく揺らいでいるのですが、これに対して警鐘を鳴らす宗教者の姿も見当たりません。
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