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カトリーナ被災2周年、犠牲者追悼の十字架 [政教分離]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年8月31日金曜日)からの転載です

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カトリーナ被災2周年、犠牲者追悼の十字架
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 ハリケーン「カトリーナ」がアメリカ・ルイジアナ州を襲い、2000人近くもの犠牲者をはじめ、同国史上最悪といわれる被害をもたらしてから、2周年を迎えた今月29日、各地で追悼の催しが行われています。

 韓国の東亜日報によると、ルイジアナ州セント・バーナード郡ではシェル・ビーチに追悼の十字架が建てられました。
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2007083114878

 同郡ではカトリーナの襲来によって、すべての住居が完全に破壊されたのでした。それはアメリカの歴史始まって以来の悲惨事といわれます。

 それから2年、郡は犠牲者の名前を刻んだ慰霊碑と追悼の十字架を建てることになったようです。
http://www.sbpg.net/au2907.html

 ところが思わぬ事態が持ち上がりました。東亜日報の記事はまったく触れていませんが、強面で知られるアメリカ自由人権教会(ACLU)から、「国家と教会との分離」を定めるアメリカ憲法に違反するのではないか、と批判を突きつけられているようなのです。キリスト教のシンボルである十字架を建てるのは、政府が特定の宗教を推進、助長することであり、違憲行為だというわけです。
http://www.beliefnet.com/story/197/story_19725_1.html

 日本では、「正論」九月号に書きましたように、こと神社・神道に関しては、「国家と宗教の分離」を厳格に要求する絶対的分離主義が貫かれ、他方、仏教やキリスト教に関して、緩やかな分離主義が採られ、その不統一な宗教政策にほとんど疑問が持たれないでいます。

 たとえば、以前、来日したブッシュ大統領が明治神宮に表敬参拝したとき、日本のキリスト教指導者は政教分離を盾に猛反対しましたが、金閣寺を参詣したときは、憲法九条改正反対の同志だからということなのかどうか、キリスト者は完全に沈黙しました。

 かつて愛媛県県知事が靖国神社に玉串料を公費から支出していたことについて裁判が起こり、10年前、最高裁は高裁の合憲判決を破棄し、違憲の判断を下しました。ところが、市有地内にあるキリシタン領主・後藤寿庵廟(奥州市)では、地元教会が主催する大祈願祭に市長が参列し、ご祝儀を交際費から支出していますが、問題にもなっていません。
http://www.city.oshu.iwate.jp/icity/browser?ActionCode=genlist&GenreID=1147308219906

 長崎の二十六聖人記念館および記念碑は戦後、昭和三十年代にイエズス会が市有地に建てたもので、聞くところによると、記念館は土地の無償使用が認められているようです。その後、市に寄贈された記念碑では、毎年、野外ミサが捧げられています。

 また、島原の乱の舞台、原城址(南島原市、旧南有馬町)には、天草四郎の像と並んで、町が建てた十字架があります。阪神大震災10周年の追悼式典では、モーツアルトの傑作、キリストの生誕から受難までを歌い上げた「アベ・ベルム・コルプス」が流れました。これらも何ら問題とされていません。

 キリスト教だけではありません。関東大震災と東京大空襲の犠牲者の遺骨を納める東京都の慰霊堂では、都の外郭団体の主催による仏式の慰霊法要が行われています。

 神道については完全分離主義が主張され、他の宗教に関しては緩やかな分離主義が採用される二重基準が存在することについて、あるキリスト教指導者はこう語ります。

「キリスト者が問題にしてきたのは、靖国神社や護国神社と国家との関わりであり、実際、裁判でも争ってきたが、逆にキリスト教と国家との関わりについて議論したことはない」

 政教分離主義がキリスト教の歴史の反省から生まれたことを、このキリスト者はまったく理解していないばかりか、ダブル・スタンダードの実態についての問題意識もないということになりますが、たとえば冒頭に取り上げたアメリカで起きている政教分離の議論などはどうお考えなのでしょう。

 自分たちは緩やかな分離主義の受益者でありながら、他者に対しては宗教の否定につながる完全分離主義を主張することの矛盾に気づかないのか、それともそんなことを考えもしない憐れむべき独善主義なのか。

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