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国家と神社神道との絶対分離を主張した司教 [天皇・皇室]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年11月15日木曜日)からの転載です


◇先月から週刊(火曜日発行)の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンがスタートしました。
今週発行の第5号のテーマは「『国平らかに、民安かれ』と祈る天皇」です。
http://www.melma.com/backnumber_170937/



〈〈 本日の気になるニュース 〉〉


1、「クリスチャン・トゥデイ」11月14日、「『信教の自由と政教分離』、日本エキュメニカル協会公開研究会」
http://christiantoday.co.jp/theology-news-287.html

 記事によると、12日開かれた日本エキュメニカル協会(徳善義和理事長)が主催する研究会で、カトリックの谷司教(さいたま教区)は、日本での政教分離は国家と「神社神道」との間の係わり合いを否定するものであることを知る必要がある、と主張したようです。

 カトリック教会の指導者たちが主張する「政教分離」が、じつは日本の宗教伝統の破壊であり、この国に宗教革命をもたらすものであるということになるという本音を語ったということでしょうか。

 谷司教は『信教の自由と政教分離』(日本カトリック司教協議会、社会司教委員会編、2007年3月)で、「自民党新憲法草案を検証する」という章で次のような論を展開しています。

 ──明治憲法下の信教の自由は条件付きで、そのためキリスト教、仏教、教派神道は迫害を受けた。一方、明治政府は神社神道を国家神道として宗教の枠外に外し、すべての臣民に神社参拝を強制した。

 ポツダム宣言には「言論、宗教、思想の自由は確立されなければならない」と明記され、この宣言に基づいてGHQは神道指令を発布し、神社神道は国家神道ではなくなった。

 日本国憲法は、戦前・戦中に国家と国家神道が結びつき、軍国主義に走り、多くの犠牲者を出したことへの反省から憲法20条(信教の自由、政教分離)の規定が生まれた。

 平和条約が調印され、日本はポツダム宣言の履行や憲法制定を前提として国際社会に受け入れられた。信教の自由、政教分離は世界への公約といわなくてはならない。

 浦部法穂『憲法学教室』はこう指摘している。「日本国憲法における政教分離の主眼は、国家と神社神道との徹底的分離という点にある、ということを、はっきりと抑えておく必要がある」

 谷司教の主張はこの浦部さんの論に立脚しているということでしょうか。

 けれども、学問にはいろんな考え方があります。たとえば、小嶋和司・東北大学教授はまったく別な説明をされています(憲法論集3)。

 小嶋教授によると、憲法の規定に関連して、政教分離が語られるとき2つの用法がある、といいます。

 1つは、20条1項、3項、89条の規定を総称するいい方ですが、この場合、政府活動の宗教的無色中立性を要求しているとはいえません。20条3項が禁止する「宗教教育」は「特定の宗教のための教育」と解されています。89条の公金支出の制限もいっさい禁止するとは解されません。

 2つめの用法は、憲法の諸規定の前提として「政教分離」がある、という考え方です。谷司教らはこの立場のようですが、この場合、政教分離は絶対的なものとされ、政府活動は無色中立でなければならないと主張されます。

 ところが、小嶋教授によると、じつは、この意味での「政教分離」は憲法の規定の理解のために論者があとから登場させたのでした。田上穣治『憲法学概論』(昭和23年)が最初であって、学問上の概念に過ぎず、日本国憲法の法源ということはできません。

 谷司教は、神道指令を持ち出し、憲法の政教分離規定が同じ趣旨であるかのように主張しますが、小嶋教授はそれは適切ではない、と否定しています。

 神道指令は神社神道からの「分離」を要求するものでしたが、憲法は、谷司教の主張とは違って、すべての宗教団体との関係に対する要求をうたっているからです。また、憲法解釈をGHQの指令と同一視しなければならない根拠はありません。もっといえば、占領後期になれば、GHQ自身が神社神道との関係を緩やかな分離主義に緩和し、貞明皇后の葬儀は皇室伝統の形式で行われ、参議院議長の参議院葬も神式で行われたのでした。

 谷司教の憲法論は少なくとも特定の学説に偏している、といわざるを得ません。

 谷司教の誤りは憲法論のほかに、ずさんな歴史論にもうかがえます。たとえば、一方で「明治政府が神社神道を国家神道にした」と主張し、また一方で「戦前・戦中に国家と国家神道が結びついた」と主張しては、歴史論として成り立たないでしょう。

 明治憲法下において、キリスト教のみならず、仏教、教派神道が迫害を受けた、と谷司教は主張しますが、司教さまがおられる浦和教会は、昭和13年に埼玉師範附属小学校跡地の一部払い下げを県から許可され、聖堂建設の土地が確保された、とほかならぬ浦和教会のホームページに書かれています。
http://www.urawa-catholic.net/rekisi.html

 これが迫害でしょうか。

 ちなみに同じ一神教でも、イスラム教徒の場合、「神社強制参拝」なるものがあったのだとしたら、それこそ「宗教迫害」の声が上がって良さそうなものですが、実際はまったく逆で、「戦前・戦時中に迫害を受けた、などという話は聞いたことがない」と関係者は証言しています。

 かつてカトリックのイエズス会は学問を武器とする神の軍隊でしたが、司教の学問は私には支離滅裂としか見えません。


2、「人民網日文版」11月14日、「中国の農村の男女出生比123:100。不均衡続く」
http://j.peopledaily.com.cn/2007/11/14/jp20071114_79672.html

 新華網の伝えるところでは、一人っ子政策をとる中国の農村では、出生性比のアンバランスが依然として続いているようです。圧倒的に男性が多いのです。

 農業生産を家庭内労働に頼っている結果ですが、結婚適齢期を迎えた男性が同年代の女性よりじつに1800万人も多いというのですから、尋常ではありません。2020年には20〜45歳までの男性は同年代の女性より3000万人多くなるだろうと予想されているそうです。

 今後の方針として、男女産み分けを目的とする妊娠中絶や「女の子を大切にしよう」という運動を展開するとのことですが、都市部と農村部の格差が抜本的に是正されない限り、不均衡は収まりようがないでしょう。

 問題は、その行き着く先に何があるのか、です。


3、「中央日報」11月14日、「北放送、オランダ慰安婦決議案採択報道」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=92839&servcode=500§code=500

 記事によると、オランダ下院が8日に慰安婦問題に関して日本に謝罪を要求する決議を採択したことを北朝鮮の中央放送が報道したのだそうです。

 以上、本日の気になるニュースでした。

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