SSブログ

集団自決強制説はどこまで妥当か、ほか [沖縄]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年12月7日金曜日)からの転載です


◇10月から週刊(火曜日発行)の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンがスタートしました。
今週発行の第8号のテーマは「知られざる『さば』の行事」──明治時代まで1000年以上続いた天皇の祈り」です。
http://www.melma.com/backnumber_170937/



〈〈 本日の気になるニュース 〉〉


1、「朝日新聞」12月7日、「沖縄戦集団自決『多様な要因』。教科書問題で審議会」
http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY200712070178.html

 教科書検定がヤマ場を迎えているようです。9月の県民大会後、異例にも開かれることになった検定調査審議会(文科省の審議会)は、「軍官民一体となった沖縄戦で、集団自決は多様な要因で起きている」という考えをまとめ、訂正申請を提出している教科書会社に伝えているのだそうです。

 朝日の記事はそこまでですが、NHKの報道では、「集団自決の関して、日本軍の命令を示す資料は見つかっていない」とする指針を改めてまとめていたと伝えられています。
http://www3.nhk.or.jp/knews/news/2007/12/07/t20071207000048.html

 いつものにわか勉強で知ったことですが、沖縄集団自決問題はけっこう複雑のようです。

 同じ「強制」説の研究者でも、県史編纂に関わった大城将保さんは「軍命はあった」説です(『沖縄戦の真実と歪曲』)。しかし文科省への意見書を先日、ネットで公開した林博史・関東学院大学教授は「軍命はない」の立場です(『沖縄戦と民衆』)。

 先日も書いたことですが、教授によると、集団自決は日本軍の敗北の過程で各地の島々で起きた。その前提には日本軍が各地で展開した残虐行為があり、その伝聞が捕虜となることへの恐怖心をあおり、集団自決を生み出す背景となった。日本軍がいないところでは集団自決が起きていないケースが多い。軍の存在が重要な役割を果たしている。

 渡嘉敷、座間味両島では1970年代、80年代から、戦隊長が自分は自決命令を出していないと主張していることは研究者のあいだで広く知られているが、研究者はそのことを十分認識した上で、ある一つの命令があったかどうかではなく、日本軍が上陸してから何カ月もかけて住民を集団自決へと追い込んでいった、つまり「日本軍の強制と誘導」によって集団自決が起きたことは沖縄戦研究の共通認識であると断言できる、と主張しています。

 つまり、教授は、軍の組織的意思として明示された軍命が事実としてあったか、なかったか、ではなく、あくまで住民の視点で見て、軍命があるとしか受け取れないような状況が創り出されていたことが重要だと指摘し、それは実質的には「日本軍による命令」というしかない、と解釈するのです。

 審議会が実際にどのような考え方をまとめたのか、報道からは断片的にしか分かりません。朝日の記事が伝える「多様な要因」は、集団自決だけでなく、何にでもいえるごく当たり前の理解でしかありません。

 研究者が主張している、一般常識的な意味とは様相が異なる、難解な「強制」説がどこまで歴史論として妥当なのか、それと同時に、歴史教科書にそのような「強制」説を載せることに歴史教育として意味があるのかどうか、冷静に検討されるべきなのではないでしょうか。

 なお、このような動きに対して、文科相は「コメントできない」と記者会見で述べています。
http://sankei.jp.msn.com/life/education/071207/edc0712071126001-n1.htm


2、「MNS産経ニュース」12月7日、「ウイグル人権活動家との勉強会を中止。民主訪中団に配慮」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071207/stt0712070021000-n1.htm

 「相手の嫌がることをあえてする必要はない」という高潔なる美徳はねじれ国会で野党にも感染したようです。

 民主党の幹事長は、前国会議員らがウイグルの人権問題に関する勉強会を開こうとしていたのを中止させたのだそうです。

 ダライ・ラマと会談したまではよかったのですが、そのあと中国大使館から抗議文が届いたとのことで、簡単に腰が砕けたということでしょうか。長いものに巻かれて、政治家がつとまるんでしょうか。

 AP電によると、マレーシアでのイベントに参加していたミス・チベットの女性は、主催者からたすきに「中国」の併記を求められ、参加を辞退した上にインドに帰ったそうです。
http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200712060024.html

 日本の政治家は恥を知るべきではないでしょうか。


3、「朝鮮日報」12月7日、「カーター元大統領、米中国交正常化の秘話明かす」
http://www.chosunonline.com/article/20071207000036

 アメリカの国立公文書館が先般、公表した秘密記録によれば、ニクソン政権が中国の核開発能力を過大に評価していたということが判明しました。このことが米中国交正常化につながった可能性を示唆するものと思われます。

 しかし今日のこの朝鮮日報の記事によると、中国の経済発展と引き替えに、アメリカが台湾に兵器の供与を認めたことによって、米中正常化が可能になった。それはトウ小平の決断によるものだった、と伝えられています。


4、「J-CASTニュース」12月6日、「『独島』はOK、『竹島』は不適切。MS『Xbox』の判断にネット騒然」
http://www.j-cast.com/2007/12/06014245.html

 ゲーム機のXboxでプロフィールをつくるとき、住所を「独島」とするのは認められ、「竹島」にすると「不適切な表現」というエラーメッセージが表示されるそうで、2チャンネルなどで騒然となっているようです。

 マイクロソフト社は「現在調査中」と取材に答えたのだとか。

 バーチャルなゲームの世界が竹島問題という現実を浮き彫りにしています。


5、「MNS産経ニュース」12月5日、「仏大統領、植民地時代の謝罪せず。アルジェリア」
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/071205/mds0712052244003-n1.htm

 サルコジ大統領はアルジェリアへの公式訪問で、植民地時代に関する謝罪をしませんでした。大学での演説では「双方の苦痛は忘れてはならないが、未来をいっしょに見つめよう」と呼びかけたようです。

 アルジェリアのメディアは謝罪を求めましたが、アルジェリアの内相は「謝罪が必要かどうか分からない」と語ったのだそうです。

 植民地時代を謝罪する国はあまりないものと思います。

 イギリスが入植したオセアニアでは筆舌に尽くせないような悲惨なできごとがあったといわれます。やがて1988年、建国200年に湧くオーストラリアのブリスベンで万国博が開かれたとき、記念式典で人々が注目したのは、先住民の代表がガラス玉などをエリザベス女王に返還する儀式でした。

 200年前、入植者は子供だましのようなガラス玉と引き替えに広大な土地を奪われたのでした。同じガラス玉と引き替えに父祖の土地を帰して欲しい、という意思表示だったのです。

 しかし、イギリスもオーストラリアも、先住民アボリジニに謝罪したとは聞きません。


6、「長崎新聞」12月6日、「教会群アピールで大型イベント。2012年に開催」
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20071206/01.shtml

 金子知事は、5日、県議会で、長崎の教会群が世界遺産の暫定リストに入ったのを機に、大型イベントを開催する考えを明らかにしたのだそうです。

 何度か触れましたように、長崎では県をあげて登録運動が展開されています。県のホームページによると、平成18年11月の県議会文教委員会で教育長は次のように登録に向けた提案を説明しています。

 「本県には、他県に類を見ない本県ならではのすばらしい歴史や文化が数多くあります。そのうち『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』については、文化財としての価値が定まり、また、文化財保護法や条例などにより制度的に保護され、併せて、所有者による保存管理が適切になされていることから、長崎市など5市2町と共同で、文化庁に対して世界文化遺産への登録に向けた提案を11月29日に行ったところであります」

 宗教施設を文化財として行政が支援するのはけっこうなことです。しかし、教会指導者はこうした行政の姿勢をどのように捉えているのでしょうか。

 というのも、たとえば、長崎の大司教は「政教分離の諸規定はできるだけ厳格に解釈されるべきです」「憲法89条では公金が宗教団体のために支出されることが禁じられています」(「信教の自由と政教分離」日本カトリック司教協議会ら編著、2007年)などと教会の文書で表明し、「神権天皇制」や「国家神道」を批判しているからです。

 神道については厳格な政教分離主義を主張し、自分たちについては厳格さを求めない、というのなら、教会指導者の政教分離論は完全な二枚舌ということになります。


7、「くまにちコム」12月5日、「関係改善へ、北京で会合か。中国とバチカン」
http://kumanichi.com/news/kyodo/index.cfm?id=20071205000256&cid=international

 11月下旬に北京で会合したらしいという香港英字紙の報道です。関係改善の動きが水面下で活発化しているようです。


8、「京都新聞」12月6日、「十二単のマリア像、バチカンへ。上京の西陣織製造販売会社制作」
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007120600076&genre=K1&area=K1B

 西陣織の聖母子像が制作されたのだそうです。近くローマを訪問する日本カトリック司教団から教皇にプレゼントされるのだとか。


 以上、本日の気になるニュースでした。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。