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気がかりな天皇の祭祀/桃の節句 [天皇・皇室]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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□1 気がかりな天皇の祭祀
□2 話題「桃の節句」
□3 天皇・皇室の一週間


□□□□□□□□□□ 気がかりな天皇の祭祀 □□□□□□□□□□

▽陛下のご健康問題
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 前号に続いて、このところ皇室を揺るがしているという事柄について書きます。

「皇太子殿下の参内の数が増えていない」という宮内庁長官の異例の「苦言」に続いて、「家族内の事柄なので」と多くを語らない殿下のお誕生日会見、そして先週は心配されていた両陛下のご健康問題に関する発表がありました。

 宮内庁の発表によると、天皇陛下はガン再発予防の治療をお受けになっていますが、その副作用でこのままでは骨に異常を引き起こす可能性が高いというのが医師の見立てです。

 宮内庁では、事態に対処するため、新たな療法を検討するとともに、宮中三殿の耐震改修が完了し、三殿での祭祀が3月末から再開されるのに合わせて、ご負担の軽減の調整を実施するというのです。


▽昭和時代の国事行為の臨時代行

 宮内庁の発表にあるように、昭和の時代にも「所要の調整」が行われました。

 古い新聞を読むと、昭和62年9月に昭和天皇が開腹手術を受けられたとき、政府は、憲法に定められた、12項目におよぶ天皇の国事行為の臨時代行を、皇太子殿下(今上天皇)に委任しました。その後、陛下の回復の具合を見て、「比較的ご負担のかからない」とする「法律、政令などの公布」「儀式の執行」など7項目については、委任が解除されましたが、「栄典の授与」「大臣の任免などの認証」など5項目については、引き続き委任されました。

 しかし翌63年8月、那須御用邸からヘリコプターで帰還され、戦没者追悼式にご参列になり、お言葉を述べられたあと、陛下のご容態は急変し、政府は、宮内庁の「全面委任」の要請を受けて、9月22日、解除された7項目の国事行為を、ふたたび殿下に委任することを閣議で決めました。

 陛下の御外遊に伴って皇太子殿下が臨時代行を務められた例はあるが、ご病気に伴う臨時代行の設置ははじめて、と当時の新聞は説明しています。


▽祭祀の定めなき憲法

 そのときといまの状況とは異なりますが、今上陛下も70の坂を越えられています。とりわけ気がかりなのは、激務とされる祭祀のことでしょう。「およそ禁中の作法は神事を先にし、他事を後にす」であり、伊勢神宮や内侍所には足を向けないとされるように(順徳天皇「禁秘抄」1221年)、祭祀こそ天皇第一のお務めだからです。

 なかでも宮中第一の重儀とされるのが11月下旬に行われる新嘗祭で、もちろん陛下みずから神事を行われるのですが、昭和63年は掌典長が代わって奉仕しました。

 戦前の皇室祭祀令(明治41年)は、「天皇喪ニ在リ其ノ他事故アルトキハ前項ノ祭典(筆者注。大祭)ハ皇族又ハ掌典長ヲシテ之ヲ行ハシム」(8条2項)と定めていました。

 しかし現憲法は祭祀に関する定めさえありません。


▽公と私の逆転

 昭和63年当時の新聞は国事行為の臨時代行に関する報道のみでしたが、今回の宮内庁次長の補足説明では国事行為ではなく、陛下の祭祀のご負担を軽減しようということのようです。

 現憲法は「天皇は憲法が定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と規定していますが、皇室の祭儀はこの国事行為には含まれない、と考えられています。公正無私のお立場にある天皇の絶対無私の祈りが、現行憲法では私的行為とされているのです。公と私が逆転しています。

 ご快癒を切にお祈り申し上げます。また、祭祀は形式ではありません。しかし何が公的で、何がより重要なことなのか、根本的に問い直す必要があります。


□□□□□□□□□□ 話題「桃の節句」 □□□□□□□□□□

「桃の節句に内裏雛を飾るみやび」
─日本にしかない雛遊び─

▼昭和天皇がモデルの雛人形

 80年前、昭和天皇のご即位を記念して作られた雛人形が函館市内のホテルに飾られ、宿泊客らを楽しませている、というニュースが北海道新聞(平成20年2月16日付)に載っていました。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/76467.html

 男雛と女雛の間には天皇の玉座である高御座(たかみくら)が置かれ、高御座の中にも昭和天皇を模したという木彫りの人形が納まっているのだそうです。

 製作した京都の老舗人形店によると、男雛は天皇がお召しになる独特の色の黄櫨染御袍(こうろぜんのおんほう)、頭にはピンと立った立纓冠(りゅうえいのかん)というのが当初のお姿だったようですから、天皇をモデルとしたお内裏様であり、女雛は皇后さまということになります。

 女の子の健やかな成長と幸せを祈る、年に一度の雛祭りですが、なぜこのように天皇、皇后をモチーフとした人形を飾る風習が続いてきたのでしょう。


▼古来の信仰が生きている

 斎藤良輔の『ひな人形』によると、雛人形は日本にしかないといいます。「神性」を持ち、「お雛様」と敬称で呼ばれるのは、世界広しといえども、日本の雛人形だけだというのです。日本人の古来の信仰が息づいているのです。

 雛人形の原形は紙製の「ひとがた」といわれます。息を吹きかけ、身体をなでて、身についた穢れを移し、川に流して祓う民俗はいまも各地で行われています。流し雛の源流ともいわれます。

 3月3日は五節句の1つ「上巳(じょうし)」です。陰陽五行説では、奇数月の奇数日は陽のきわまった凶日で、厄を祓う日とされました。桃の節句と呼ばれるのは、「桃」には魔除けの力がある、と考えられたことと関連するようです。

 この「ひとがた」とは別に、平安貴族の子女たちが日常的に「雛遊び」に用いる「ひな」「ひいな」と呼ばれる男女一対の人形があったといわれます。

 さらに同時代、宮中や公家社会には「天児(あまがつ)」というお守りの人形がありました。木組みの台に立体的に作られており、のちの立雛の男雛に似ています。

 平成18年に悠仁親王殿下がお生まれになったとき、陛下からは守り刀、皇后さまからはこの天児などが贈られたと伝えられます。

 他方、民間には、守り人形であると同時に抱き人形の要素をもつ「這子(ほうこ)」があったのだそうです。

 やがて室町時代以降、装飾的な雛人形が生まれます。室町期のものらしい衣裳をまとった男女一対の立雛は江戸時代前期に完成されたようです。


▼皇室への憬れ

 坐雛が完成するのは江戸中期以後のようです。寛永雛、元禄雛、享保雛と発展しますが、興味深いのは御所文化への憬れが反映されていることです。源氏物語がさまざまな形で庶民に広く知られるようになり、雛人形は「内裏雛」と呼ばれるようになります。内裏とはいうまでもなく天皇がおられる御所です。

 京の公家が有職故実に基づいて人形師に作らせたのが有職雛です。男雛は衣冠をまとい、女雛は十二単に身を包むようになりました。一方、江戸では写実的な古今雛が生まれ、これが現在に至る雛人形の原形となったようです。

 江戸時代の天皇は民衆から遠い存在だった、というのが最近までの歴史学の通説のようですが、まったくの誤りでしょう。

 ペリー来航のときでさえ、雛祭りが各地で盛んに行われていたといいます。それどころか、「朝敵」「賊軍」の汚名を着せられた東北の会津では、征討軍の襲来を前に騒然としたなかで、最後の雛人形が飾られていたといいます。


 参考文献=石光真人『ある明治人の記録──会津人柴五郎の遺書』(中公新書、昭和46年)、斎藤良輔『ひな人形』(法政大学出版局、1975年)、福田東久『雛まつり──親から子に伝える思い』(近代映画社、平成19年)など


□□□□□□□□□□ 天皇・皇室の一週間 □□□□□□□□□□

3月2日(日曜日)

□両陛下が東宮御所を訪問され、皇太子様方と梅を観賞されました(佐賀新聞)。
http://www.saga-s.co.jp/view.php?pageId=1618&blockId=806524&newsMode=article

2月29日(金曜日)

□皇太子殿下が都内の養護学校を訪問されました。日本で最初に設立された知的障害児教育機関で、生徒たちはドイツ語で第九を合唱したそうです(徳島新
聞)。
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=1&m2=10&NB=CORENEWS&GI=Lifestyle/Human_Interest&G=&ns=news_120426802935&v=&vm=all

2月25日(月曜日)

□天皇陛下がガン治療の副作用で骨粗鬆症になられる可能性があることが関係者の話で分かりました(時事ドットコム)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008022500192&j1

 また宮内庁はこの日、運動を知り入れることやご負担の軽減について調整することを発表しました(時事ドットコム)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008022500663&j1

 宮内庁の発表は同庁のホームページに掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/gokenkou-h200225.html

2月23日(土曜日)

□両陛下が東宮御所をご訪問になり、殿下の48歳のお誕生を祝う夕食会に出席されました(MNS産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/080223/imp0802232105012-n1.htm

□皇太子殿下は48歳のお誕生日をお迎えになりました(読売新聞)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080222-OYT1T00872.htm

 お誕生日に先立って行われた会見は宮内庁のホームページに載っています。
http://www.kunaicho.go.jp/koutaishi/denkakaiken-h20.html
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