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公私の基準は何か──毎日記者の批判を批判する [皇室報道]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2008年10月28日)からの転載です


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 公私の基準は何か
 ──毎日記者の批判を批判する
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 やっと原稿がまとまりました。

 このメルマガは並木書房の社長との出会いをきっかけに、将来の出版を目標に始まりました。そしておかげさまで、先週ようやく350枚の書籍用の原稿が書き上がりました。

 書名は『失ってはならない天皇のまつり』(仮題)。出版社はもちろん並木書房。年内には完成の予定です。

 天皇・皇室について、文明論的に、比較文化的に、そして現代的に、私なりに表現したつもりです。どうぞ皆さま、お買い求めのうえ、ご一読ください。なお、出版の進行状況については随時ご報告するつもりです。


▽1 またまた東宮批判か
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 さて、今日は10月21日付、毎日新聞の「記者の目」を取り上げます。東京社会部の真鍋光之記者による記事には「公務欠席し、運動会に行った雅子さま。『病気だから』で済ますな。批判招く宮内庁の説明不足」というタイトルがついています。
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20081021ddm004070169000c.html

 またぞろ東宮妃批判か、と思わせるような大見出しですが、記事の中身は、少なくとも表面的には宮内庁批判です。

 記事のポイントは以下の6点になろうかと思います。

1、雅子さまが身障者スポーツ大会を欠席し、愛子さまの運動会を観戦した。東宮大夫は背景に「病気」があると述べたが、「公務軽視」との批判が一部から出ている。

2、皇族の公私の絡むことを「病気だから」という理由であっさり終わらせようとする宮内庁の姿勢は納得できない。「天皇、皇族に私(わたくし)なし」という言葉があり、天皇、皇后両陛下はじめ皇族方は公務優先の姿勢を示している。

3、野村東宮大夫は、皇族方の公務重視を根本から覆すともとらえられかねない雅子さまの行動をどう考えているのか、ていねいに言葉を尽くすべきだ。

4、「病気」という理由については説得力に欠けた。2泊3日の大分の公務は無理だったろうと想像するが、東宮大夫の会見では雅子さまの現状が具体的にまったく分からない。

5、そもそも宮内庁は「公」と「私」の観点でどこまで議論したのか。大会関係者に意を尽くして説明したのか。大雑把ないい方は大会関係者などに失礼であろう。

6、雅子さまへの批判、疑問が年々、強まっているように感じるが、原因を作っているのはくわしい説明をしない宮内庁である。誤解を補足するのが宮内庁なのに、雅子さまを孤立させている。


▽2 天皇教育は私事か

 宮内庁の説明不足は私も同感ですが、基本的な問題関心の浅さ、現場記者としての取材の甘さを感じました。

 見出しもよくありません。「説明不足は妃殿下の孤立を深める」ぐらいにすればいいものを、命令口調で、妃殿下を標的にしているように受け取られます。「運動会へ行った」「病気」と敬語敬称が略されているために、敬意も優しさも感じられません。

 基本的な問題関心が浅い、というのは、いうまでもなく、公私の問題です。真鍋記者はスポーツ大会に出席することが「公務」であり、学習院の運動会に「行った」ことを私事とあまりにも単純に考えています。

 先週号でもお話ししましたが、身障者大会は重要な行事とはいえ、要は役所のイベントです。行政関係の行事参加が皇室本来のご公務なのでしょうか。

 いまは下火になっていますが、根強い女帝・女系継承容認論があります。たとえば悠仁親王が誕生されたときでさえ、毎日新聞は「長期的展望を考えると、(皇位継承の危機の)懸念は払拭されていない。皇位継承を男系男子に限っていると、皇室の安定は偶然に左右されかねないからだ」という社説を掲げました。

 女帝容認論は愛子さまの皇位継承を望む声ともなりますが、だとすれば、雅子さまが子育てに熱心なのは将来の天皇を教育することに励まれているということになりますが、これは私事と言い切れるのでしょうか。真鍋記者は、将来の天皇を教育することより、役所のイベントの方が重要だとお考えなのでしょうか。


▽3 マスコミこそ「私」優先では

 要するに、前号で書きましたように、公私の基準は何か、ということです。憲法には天皇の国事行為について定めていますが、皇族の役割についての成文法的な定めはありません。

 ジャーナリズムの姿勢にも問題があります。以前にも書きましたが、皇族の会見でプライベート暴きのような質問を繰り返してきたのはほかなら宮内記者会ではありませんか。たとえば、先日の皇后陛下への質問もプライベートが先行しています。

 真鍋記者は「くわしい説明を」と宮内庁に迫っていますが、同じことは大新聞に対してもいえます。ある新聞社はかつて、妃殿下の御懐妊を「スクープ」しました。しかしそれは流産という悲しい結末に終わりました。その顛末について「説明」がなされたのでしょうか。新聞協会は逆に協会賞を与えたのではなかったでしょうか。ジャーナリズムの不見識を痛感します。

 先日、都内のデパートで開かれていた写真展「皇后さまと子どもたち」が閉幕しました。期間中、両陛下や東宮家の方々がたびたび会場を訪れたことがほほえましく伝えられましたが、毎日新聞が主催し、宮内庁が特別協力する企画でした。

 新聞社側から要請や打診があれば、皇族方はこうしたイベントにもお出ましになります。しかしこのメルマガの読者ならすでにご存じのように、本来的な皇室のお務めは別なところにあります。

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