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真実を隠蔽する西尾幹二先生の「御忠言」 [西尾幹二天皇論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 真実を隠蔽する西尾幹二先生の「御忠言」
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 近著の初校ゲラが先日、わが家に郵送されてきました。

 最終章の西尾論文批判が舌足らずなので、もう少し加筆したらどうか、という編集者の助言があり、どうしたものか、と目下、思案しています。

 生来、争いごとは好きではないし、他人様を批判するようなことはできればしたくはないのです。しかし真実が歪められているのなら、蛮勇をふるって訴えざるを得ません。

 ともかくも年内に本が出るように作業を急ぎたいと思います。


▽1 3つの誤り
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 さて、先週の続きです。西尾幹二先生のおっしゃる「妃殿下問題」について、補足的にもう少し考えてみたいと思います。

 先生のいう「妃殿下問題」とは、何が「問題」と考えられているのでしょうか。

 あらためて「WiLL」5月号を読み返してみると、最大のキーワードは「伝統」です。「平等とか人権といった近代の理念のまったく立ち入ることのできない界域が社会のなかに存在すること」は「天皇制度の意義」なのですが、皇太子殿下と妃殿下とのご成婚によって学歴主義・能力主義とクロスしたのでした。

 これが「軋み」の始まりで、皇太子殿下の「人格否定」発言が飛び出し、さらにこのままでは妃殿下は鬱病になるだろうという予感は的中し、事態はいちだんと悪化した、と先生は指摘しています。

 しかし3つの誤りを指摘しなければなりません。

 第1に、ご成婚を伝統と能力主義との対立・衝突と見るのはあまりに図式的です。すでに書いてきたことですが、「学歴主義とのクロス」なら皇后陛下にも当てはまります。

 第2に、羽毛田長官の「苦言」に対する殿下の「プライベート」発言にしても、騒動の背後に、プライベート暴きに熱中するマスコミの挑発・誘導という重大な外的要因を見落とすべきではありません。


▽2 「個人の問題」ととらえるばかりで

 第3の問題は、適応障害といわれる妃殿下のご病気についてです。

 先生は「文藝春秋」4月号に載った精神科医・斎藤環氏の発言に依拠し、「職場に適応できないなどの環境に対応する反応が原因で起きる病気」を「容易ならざる事態」とみます。病因が「皇室という環境にある」と考えるからです。

「天皇家にとって最重要なのは祭である」のに、「妃殿下は平成15年9月から宮中祭祀にいっさいご出席ではない」のはその結果だと考えられています。

 しかし何度もこのメルマガで書いてきたように、妃殿下が「祭祀に出席」していないのではなく、ご代拝の機会さえ奪われているというのが真相です。憲法の政教分離規定を厳格に解釈・運用する官僚によって祭祀が破壊されてきた結果です。

 ところが先生は、「雅子妃個人の問題」と一面的、図式的にとらえるばかりで、ことの背景が見えないのです。


▽3 何も解決しない「御忠言」

 妃殿下は、そして皇太子殿下は何に苦しんでおられるのか。

 1つは不作法なメディアの攻撃でしょうが、もう1つは度し難い官僚主義ということではないでしょうか。

 妃殿下がかつて身を置かれた官僚の世界は、法と前例に支配されています。天皇第1のお務めは祭祀ですが、現行憲法下では成文法上の根拠がありません。それどころか、憲法の政教分離原則をことさら厳格に考える官僚たちは祭祀の改変・破壊を敢行してきたのでした。

 そのような引き裂かれた現実を知ったとき、元官僚なればこそ苦しまざるを得ないのではないでしょうか。そのうえ、「祭祀を拒否」などという濡れ衣まで着せられ、「下船」まで勧告されては、穏やかな精神状態でいられるはずはありません。

 西尾先生は、妃殿下のご病気を、「能力主義」に生きる「近代」的個人が「伝統」という皇室の「環境」に「適応」できないことと考えておられるようですが、そうではなくて、前号で書いたように、祭祀を天皇第一のお務めと信じる皇室の伝統と、その価値が理解できない戦後派官僚たちの非宗教的な憲法解釈・運用とが「クロス」する板挟みの現実のなかで、妃殿下が苦しまれているということではないか、と私は思います。

「雅子妃問題」はけっして「個人の問題」ではないし、西尾先生の「御忠言」に従って「下船」したからといって万事解決されるものではありません。「御忠言」は「天皇制度の意義」を守るどころか、逆に、官僚たちの悪行を妃殿下に責任転嫁し、歴史の真実を隠蔽する結果を招きます。私には、批判を免れてほくそ笑む官僚たちのしたり顔が見えます。


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