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侍従の負担ばかりを軽減した「ご負担軽減」策 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


 先週はメルマガの発行をお休みしました。じつは父が半年ほどの療養の末、亡くなったのです。末期ガンでした。

 拙著『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』は今上陛下のご負担軽減問題を取り上げました。そして当メルマガは引き続き、この問題を追及していますが、高齢で、しかもガンとの闘病生活を続けられつつ、ご公務を淡々とお務めになっている陛下は、生涯現役を貫いた父の姿と二重写しになって私には見えます。

 同じようにガンと闘っている多くの国民にとって、陛下のご存在はどれほど力強く感じられることでしょう。陛下のご健康を祈らずにはいられません。


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 侍従の負担ばかりを軽減した「ご負担軽減」策
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▽1 軽減されていないご負担
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 さて、まずは先々週のおさらいです。

 宮内庁が陛下のご負担軽減を発表したのは1月末でした。それから2カ月の経緯について検証を試み、「拝謁の回数、日程を縮減する」などとした方針が守られていないことを明らかにしました。

 2月、3月とも各界功労者の拝謁や赴任大使の拝謁、勤労奉仕団のご会釈などの総計はむしろ増えています。一方、1月から3月までの宮中祭祀の親祭、親拝は文字通り削減されました。

 祭祀が狙い撃ちにされているご負担軽減であることがあらためて理解されますが、それは、国と民のために祈る神事を最優先してきた歴代天皇の天皇観が顧みられず、無神論的な憲法解釈・運用が幅をきかせた結果であろうと私は考えます。


▽2 陛下のご負担は精神的

 拙著をお読みくださったある著名な神社の宮司さんが先般、お電話をくださり、ご負担軽減について鋭い指摘をされていました。「陛下のご負担というのは精神的なものであるのに、宮内庁は肉体的なご負担ばかりを考え、軽減策を講じている」。まったくおっしゃるとおりです。

 昨年暮れのご不例は医師によれば急性の病変で、その原因は心身のストレスと説明されていました。ところが宮内庁長官の「所見」は「陛下にはここ何年かにわたり、皇統問題などにご憂慮のご様子」とトンチンカンな解説をし、祭祀を標的にするご負担軽減策が始まったのです。

 以前から何度も申し上げているように、陛下が宮中三殿にお出ましになって親祭・親拝されることがなかったとしても、陛下の肉体的なご負担は必ずしも軽減されることはありません。掌典職が代わって祭祀を行い、御代拝をお務めしているあいだ、陛下は御座所でずっと正座され、お慎みになっておられるからです。

 ご高齢で、療養中の陛下にとってご公務の見直しは必要ですが、宮内庁が打ち出したご負担軽減策はまったく的外れというほかはありません。


▽3 正座の方が楽

 祭祀の親祭・親拝を削減する宮内庁の方針は陛下のご負担を軽減するわけではありませんが、側近の侍従たちにとっては文字通り負担を軽減するものとなっているようです。

 というのは、新嘗祭などの大祭を陛下が親祭されるとき、侍従は装束に身をただし、壁を隔てたところに近侍します。しかし親祭がないなら、そのかぎりではありません。陛下のお出ましがなければ、侍従の出番はありません。

 侍従たちは、陛下が高い畳のうえで長時間、正座され、祭祀を行われることがいかにも肉体的なご負担であるかのように述べていますが、不正確です。

 たとえば謡曲の教授をしている義父などは「正座している方が楽だ」といいます。長い間、現代的なイスの生活を送り、中高年になってから侍従となった官僚たちにとって、伝統的な正座のお務めは確かにきついでしょうが、正座に慣れているなら話は別です。

 現代の生活にどっぷりとつかった側近たちは陛下のご負担軽減を願いながら、その目的をかなえられず、もっぱら自分たちの負担ばかりを軽減しているのです。


▽4 ご結婚50年の祭典

 もう長くなってしまったので、指摘だけにとどめますが、先週、いささか気になることでありました。

 両陛下のご結婚50年を祝うさまざまな記念行事が行われ、宮中三殿では午前9時から祭典が奉仕され、掌典長、掌典次長による御代拝が行われたように伝えられます。

 大婚50年のお祝いは当然ですが、この祭儀には違和感を覚えます。

 なぜなのか、詳しくは次週、お話しします。

 今週は皇室典範有識者会議の報告書を読むことができませんでした。これも来週に譲ります。

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