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ためにする鳩山代表の追悼施設設置発言 [靖国問題]

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ためにする鳩山代表の追悼施設設置発言
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 民主党の鳩山代表が、靖国神社に代わる国立の戦没者追悼施設設置に取り組むことを表明しています。

 「特定の宗教によらない、どなたもわだかまりがなく戦没者の追悼ができるような国立追悼施設の取り組みを進めたい」「天皇陛下も靖国神社には参拝されない。大変つらい思いでおられるんじゃないか。陛下が心安らかにお参りに行かれるような施設が好ましいと思うのも理由の一つだ」と述べ、候補地として千鳥ヶ淵墓苑をあげたと伝えられます。

 民主党のいわゆるマニフェストには見当たりませんが、政策集「INDEX2009」には、「靖国神社はA級戦犯が合祀されていることから、総理や閣僚が公式参拝することには問題があります。何人もがわだかまりなく戦没者を追悼し、非戦・平和を誓うことができるよう、特定の宗教性をもたない新たな国立追悼施設の設置に向けて取り組みを進めます」と明記されています。
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/index.html


▽慰霊・追悼は伝統宗教の形式で

 19日の朝日新聞社説は、「どんな人でも自然な気持ちで、戦争で亡くなった人々を追悼できる。そんな施設が日本にないのは残念なことで、民主党などが問題を打開しようと声を上げたことを歓迎したい」と評価しています。
http://www.asahi.com/paper/editorial20090819.html

 しかしこれらはいかにもためにする議論です。

 まず第1点。「特定宗教によらない」という発想は、靖国神社が神道の祭祀を行う神社だという理解に端を発しています。

 しかし靖国神社は、必ずしも一神教的な排他的「宗教」ではありません。数珠を手にお参りする遺族もあれば、拝殿で賛美歌を歌うキリスト者も受け入れられています。

 神道に布教という発想はなく、祈りを強制するのでなければ、国民の信教の自由を侵すこともありません。

 人間の死を悼むのは人間としてもっとも崇高な宗教的行為であり、したがって慰霊・追悼は伝統的宗教の形式にのっとって行われるべきです。イギリスでも、アメリカでも、オーストラリアでも、そのように行われています。

 戦没者を追悼する国家的施設として、世界でもっとも古い歴史を持つのが靖国神社です。その歴史を否定するのではなく、活かすことを考えるべきです。


▽一方的な歩み寄り

 第2に、「わだかまり」とは何か、です。

 150年前、「安政の大獄」を断行した井伊直弼ゆかりの滋賀県彦根市の市長らが、大獄で刑死した吉田松陰の墓参りをするため、山口県萩市を訪れた、というニュースが先日、伝えられました。萩市長は「恩讐を超えた交流」を呼びかけ、彦根市長も「幕末の英傑を誇りを持って尊敬し合うべきだ」と述べたそうです。

 私の母方の曾祖母は奥州二本松藩の落城から半月後に生まれました。したがって私はいわば「賊軍」の末裔です。靖国神社の前宮司さんにその話をしたことがありますが、さすがに目の色が変わったことを覚えています。

 わだかまりが簡単に消えるなどということはあり得ません。新しい施設を一方的に作ったからといってなくなるものでもないことは、いわずもがなです。

 わだかまりを消すには、吉田松陰の墓参りのように両者の歩み寄りが必要です。

 ところが、こと靖国問題に関しては、一方的な歩み寄りが強調されていることに問題があります。

 国立の新施設が必要だとする報告書をまとめた追悼・平和懇の設置は、小泉首相の靖国参拝に対して韓国・中国から激しい批判がわき上がったのがきっかけですが、これに対して、日本の歴代首相は「抗日のシンボル」である韓国国立墓地、抗日運動の闘士をまつる中国・人民英雄記念碑に参詣し、献花しています。わだかまりは一方的なのです。


▽「戦犯」に同情的だった朝日新聞

 第3にわだかまりの根拠とされるA級戦犯。これも濡れ衣です。

 靖国神社は戦争犯罪者を神として祀っているわけではありません。何度もメルマガに書いたように、「戦犯にも恩給を」という国民の強い要望から恩給法が改正され、刑死・獄死した戦犯を公務死と認め、扶助料が支給されるようになり、戦犯合祀の道が開かれたのです。国民の要望を受けて、厚生省が沖縄・ひめゆり部隊を軍属と認定し、靖国神社に合祀されたことが戦犯刑死者や終戦時自決者の合祀に先鞭をつけたのでした。

 そのころの朝日新聞はいまでは想像もつかないほど「戦犯」に同情的でした。
http://homepage.mac.com/saito_sy/yasukuni/H1812SRsenpangoushi.html

 第4に、A級戦犯を祀っているから、陛下が靖国神社に参拝できない、という見方も間違いでしょう。

 多様な国民を多様なままに統合するのが古来、天皇のお務めです。靖国をめぐる国民の意見が割れてしまっていては、お参りしたくてもお参りできないのだと思います。

 昭和62年の終戦記念日に昭和天皇が詠まれた「この年のこの日にもまた靖国のみやしろのことにうれひはふかし」のお歌はそのように解釈すべきなのだと思います。

 岡野弘彦先生などは、昭和天皇が戦犯合祀を不快に思われていたと解釈しているようですが、歌人とは思えない、あまりにも直裁的な解釈です。
http://homepage.mac.com/saito_sy/yasukuni/H1910SRshowatenno.html


▽「A級戦犯」とは誰のことか

 第5番目は、もっとも基本的なことですが、A級戦犯とは誰を指すのか、です。

 読売新聞の社説は「東条元首相や松岡元外相ら14人の『A級戦犯』が合祀されている」と終戦記念日の社説に書いています。

 東京裁判の被告(容疑者)となったのは28人で、このうち有罪判決を受けたのは25人です。靖国神社にまつられているのは死刑になった7人と、公判中に病死した2人、受刑中に死亡した5人です。

 だとすると、「14人のA級戦犯」という表現は、有罪の者も未決の者も一緒くたに論ずることになり、まったく不正確です。

 禁固刑で服役し、講和発効後、関係各国の決定によって赦免、減刑、出獄した元戦犯や免訴となった容疑者もいまではすべて鬼籍の人ですが、靖国神社にはまつられていません。靖国神社が戦争犯罪を神聖視し、戦争犯罪人を神とあがめているかのような表現は不当です。

タグ:靖国問題
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