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これ以上、負担軽減するつもりはない──ご公務への固い決意を示された陛下 [ご公務ご負担軽減]


以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2010年12月27日)からの転載です


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これ以上、負担軽減するつもりはない──ご公務への固い決意を示された陛下
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◇1 歴代5位のご長寿

 去る23日、天皇陛下は77歳の誕生日をお迎えになりました。

 歴史を振り返れば、古代の推古天皇(554―628)以後、70歳を超えてご長命な天皇は12人おられます。

 推古天皇(74歳)、光仁天皇(73歳)、陽成天皇(80歳)、白河天皇(76歳)、後亀山天皇(77歳)、正親町天皇(75歳)、後水尾天皇(84歳)、明正天皇(72歳)、霊元天皇(78歳)、後桜町天皇(73歳)、昭和天皇(87歳)、今上天皇(77歳)の12人です。

 今上天皇は昭和天皇、後水尾天皇、陽成天皇、霊元天皇に続き、後亀山天皇と並ぶ歴代5位のご長寿ということになりますが、多くの天皇は若くして退位されており、75歳を超えてのちも祭祀をお務めなのは、昭和天皇、今上天皇のお二方のみです。

 したがって、当メルマガが取り上げてきたご公務ご負担軽減、宮中祭祀簡略化の問題は、これまでの天皇の歴史になかった新しいテーマであることを十分に理解する必要があります。

 そのなかで、今年の天皇誕生日に際して行われた記者会見で、ご公務について、陛下がお述べになったお言葉は注目すべきでしょう。

 つまり、「陛下はご自身の加齢や今後お年を重ねられる中でのご公務のあり方についてどのようにお考えでしょうか」という代表質問に対して、陛下は以下のようにお答えになりました。

「一昨年(おととし)の秋から不整脈などによる体の変調があり、幾つかの日程を取り消したり、延期したりしました。これを機に公務などの負担軽減を図ることになりました。今のところこれ以上大きな負担軽減をするつもりはありません」
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h22e.html


◇2 減っていないご公務の日数

 陛下のご負担軽減が進められるようになったのは、一昨年暮れの御不例がきっかけでした。記者の質問にもあるように、今年になってからも、2月にはノロウィルスによる急性腸炎、6月にはお風邪で体調を崩されました。

 にもかかわらず、「いまのところ、これ以上、大きな負担軽減をするつもりはない」と、きっぱりと言い切られたのは、天皇のご公務というものに対する陛下の並々ならぬ責任感を、感じさせずにはおきません。

 あらためて天皇陛下のご公務の激務ぶりを見てみましょう。以下の表は宮内庁のホームページに発表された陛下のご公務を、平成17~22年について、日数で数値化したものです。

平成 17 18 19 20 21 22
1月 23 21 22 21 19 23
2月 17 18 19 23 19 17
3月 23 23 23 27 25 26
4月 21 22 21 20 21 23
5月 20 25 22 19 20 23
6月 24 23 23 25 25 24
7月 19 20 21 22 26 20
8月 23 18 22 19 19 23
9月 23 26 22 27 22 23
10月 26 25 24 24 27 24
11月 26 25 26 27 23 23
12月 22 24 23 16 23
合計 267 270 268 270 269 (226)

 ご覧になってお分かりのように、昨年来、宮内庁によるご負担軽減策が行われているはずなのに、日数において、ほとんど変わっていません。


◇3 権限も資格もないのに

 何が減ったのか、といえば、ご承知のとおり、歴代天皇が天皇第一のお務めとしてきた宮中祭祀です。次の表は、陛下がお出ましになった祭祀を月ごとに日数で数値化したものです。

平成 17 18 19 20 21 22
1月 5 5 6 5 4 6
2月 3 3 3 3 1 3
3月 4 3 2 3 1 2
4月 4 3 1 2 2 3
5月 1 3 4 1 1 1
6月 3 4 3 4 3 1
7月 2 2 3 2 3 1
8月 2 1 2 2 0 0
9月 2 2 2 3 1 1
10月 3 1 2 2 2 3
11月 2 2 3 2 3 1
12月 6 5 5 3 4
合計 37 34 36 32 25 (22)

 宮内庁はご公務ご負担の軽減と称して、天皇の聖域であり、本来のお務めである祭祀について、権限も資格もないのに、干渉し、無軌道な簡略化を行ったということです。


◇4 御所から神嘉殿南庭に復した四方拝

 もっと具体的に見てみます。

 一年で最初の祭祀として、元旦に神嘉殿南庭で行われる四方拝は、平成19年以降、21年まで御所で行われました。

 入江相政侍従長の祭祀嫌いに起因すると考えられる昭和の祭祀簡略化を、先例として踏襲しています。今年は神嘉殿南庭に復しました。

 四方拝に続く元日の歳旦祭、3日の元始祭も、昨年はお出ましがありませんでしたが、今年はお出ましになりました。祭祀王としての陛下の強いご意思が感じられます。

 戦前の皇室祭祀令(明治41年)では2月11日に紀元節祭が行われました。大祭に分類され、陛下の親祭が行われたのです。戦後は祭日としての紀元節がなくなりましたが、建国記念の日が法制化されたのちも宮中祭祀の紀元節祭は復活していません。

 しかし今上陛下は毎年欠かさずこの日に三殿御拝を重ねられてきました。けれども、今年は御拝の記載が宮内庁ホームページの「両陛下のご日程」にありません。ノロウイルス感染症のため大事をとって掌典によるご代拝となりました。

 昨年以降、毎月1日の旬祭のお出ましは、ご負担軽減を理由として、5月と10月のみを親拝とし、ほかはご代拝となりました。

 しかし平成19年4月1日の旬祭のお出ましはありません。3月29日から4月2日まで陛下は御料牧場にご滞在でした。17年5月1日の旬祭のお出ましもホームページに記載がありません。

 平成18年6月8日から15日まで、シンガポール及びタイ公式ご訪問(マレーシアお立ち寄り)がありました。通常、外国ご訪問の前後に三殿の拝礼が行われますが、このときのご帰国後の拝礼についてホームページに記載がありません。

 平成20年6月16日の香淳皇后例祭は秋田県大館市のホテルでご遥拝・お慎みとなりました。

 10月の神嘗祭の神宮遥拝の儀は、平成18年、19年については、神嘉殿ではなく、御所で行われました。


◇5 これ以上、形式化しようがないほど

 ところで、気になる情報があります。公表されているところからすれば、宮中祭祀の簡略化は一昨年暮れの御不例以後の現象と理解されますが、それ以前からすでに始まっていたという有力な情報があります。恐ろしいことに「これ以上、形式化のしようがないほどに形式化している」というのです。

「これ以上、負担軽減するつもりはない」という陛下のお言葉と符合します。陛下がおっしゃる「負担軽減」とは祭祀簡略化のことではないのでしょうか。

 歳旦祭の親拝、元始祭の親祭は今年、復しましたが、1日の旬祭の親拝は昭和の悪しき先例が踏襲されたままです。平安中期、宇多天皇の時代にまでさかのぼり、毎日行われる日供の延長が旬祭であり、「国中平らかに、安らけく」という天皇の祈りの精神が蔑ろにされているといわざるを得ません。

 宮内庁は、天皇誕生日に際しての発表で、宮中祭祀について、「陛下は恒例の祭典のほか、東山天皇三百年式年祭、反正天皇千六百年式年祭、孝安天皇二千三百年式年祭、應神天皇千七百年式年祭などこの1年に執り行われた28回の祭典に列せられました」と説明しています。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h22e.html

 まるで、天皇の祭祀は祖先崇拝だと言わんばかりに、私には聞こえます。ひたすら国と民のために捧げられる公正かつ無私なる祈りが祖先崇拝のはずはありません。宮中祭祀の本質が見失われているという印象を強くします。

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