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抽象論に終始する復興準備──大震災発生から2週間の首相談話 [東日本大震災]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 抽象論に終始する復興準備──大震災発生から2週間の首相談話
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 東北地方太平洋沖地震発生から2週間がたち、菅首相は25日夕刻、記者会見で、国民への談話を発表しました。
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201103/25message.html

 驚いたことに、大震災発生当日11日の記者会見以来、国民に向けた数回のメッセージで、18日の談話を唯一の例外として、亡くなった犠牲者へのお悔やみの言葉がありません。
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201103/11kishahappyo.html

 死者・行方不明者が2万人を優に超え、戦後最悪の自然災害といわれる大震災なのに、です。国政のトップが犠牲者への哀悼の意をほとんど示さないというのは、信じがたい気がします。亡き人々への哀悼こそが復興への出発点であると、首相はお考えにならないのでしょうか。


▽1 復興を望みようがない

 さらに驚いたのは、復興への具体的政策が見当たらないことです。首相は(1)原発事故の収集と放射能汚染への対応、(2)被災者への支援と復興への本格的準備、の2点について全力を挙げている、と述べましたが、抽象論に終始しているように見えます。

 原発事故に関する説明は、冷却機能復旧、放射能汚染の影響と情報開示、農家などへの補償・支援の表明ですが、いずれも具体性に乏しく、将来に向けた大局的発想もうかがえません。被災者支援、復興準備については「地域全体、暮らし全体の再建が必要と考えている」「勇気をふるって歩んでいきたい」と評論や希望を述べているに過ぎません。

 大震災発生からすでに2週間が過ぎたのです。百年に一度の自然災害にも負けない国土建設を呼びかけ、そのための国家プロジェクトを具体的に立ち上げる段階に来ているのではないのでしょうか。

 被災者にとって大震災は現実です。政治も現実のはずです。ところが首相は観念論にとどまっています。一刻の猶予も許されないのに、これでは被災者の不安は増すばかりであり、震災復興は望みようがありません。


▽2 陛下のメッセージも聞こえない

 哲学者の上山春平が指摘したように、プラトンは君主制と民主制とを兼備していなければ善い国家とはいえないと述べ、アリストテレスは多くの国制が混合された国制ほど優れていると書いたのでした。

 日本では、摂関政治の始まり、武家政権の確立、建武の中興、封建制の確立など、数々の政治的変革を経験してきたにもかかわらず、古来、天皇の制度が世界に例を見ないほど長期的に継続しているのは、この望ましい混合体制が実現されてきたからでしょう。しかしいま、精神と権威の頂点である天皇と権力政治をになう議会との棲み分けがほとんどまったく機能していません。

 菅首相は昨年11月、議会開設120年記念式典の首相祝辞で、市民運動家の面目躍如というべきか、「わが国の議会制度は自由民権運動の高まりを背景の誕生した」と述べました。日本の近代議会制度の歴史が「広く会議を興し、万機公論に決すべし」と宣言した、慶応4年の五箇条の御誓文に始まることを完全に見落としています。
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201011/29syukuji.html

 近現代政治史に天皇が貢献した歴史が見えないとすれば、今上陛下が大震災発生の五日後に発表され、多くの国民に感動と勇気を与えた異例のビデオ・メッセージも、首相の耳には届かないでしょうし、陛下が述べられた「地域の復興の道のり」を現実に具体化する政治力は期待できないのでしょう。

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