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週末ごとに帰る故郷を持とう──菅首相よ、あなたも福島県民になりなさい [東日本大震災]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 週末ごとに帰る故郷を持とう──菅首相よ、あなたも福島県民になりなさい
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 福島第一原発に近い南相馬市の畜産農家が出荷した黒毛和牛11頭から、1キロあたり500ベクレルという暫定規制値を超える放射性セシウムが検出され、しかも同じ農家から出荷されたほかの和牛の牛肉がすでに流通にしていたというので、大きな混乱を招いています。枝野官房長官は「和牛の全頭検査の検討」を示唆しているほどです。

 発端は東京都保健安全研究センターが行った食肉の放射能検査(7月8日発表)で、「食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された」のでした。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/20l7b300.htm

 都の発表をご覧いただければ一目瞭然ですが、放射性ヨウ素についてはND(検出限界未満)だが、放射性セシウムについては1キログラムあたり2300ベクレル(Bq)検出されたという、よくいえば客観的、じつに無味乾燥というべきものです。

 翌日に発表された第二報では、農家から搬入された残り10頭についての検査結果の数値が載っています。もっとも数値が高かった牛は、3200Bq/Kgでした。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/20l7b600.htm

 この放射線の数値が牛肉を食べた人間にどれほどの影響を及ぼすのか、そこが問題なのに、驚いたことに、その点についての公的機関の発表やメディアの報道を見かけません。「ベクレル」での議論に留まっているのです。


▽1 汚染牛を丸ごと食べたらどうなる?

「ベクレル」は放射性物質が放射線を出す能力の単位で、人体への影響度合いは「シーベルト」で表します。ベクレルからシーベルトに換算するには、放射濃度に実効線量係数をかけて計算するのですが、係数は放射性物質の種類によって異なります。

 都の発表は「放射性セシウムが検出された」というだけですが、セシウム(Cs)は少なくとも39種類の同位体があるそうです。セシウム133は唯一の安定同位体で、セシウム134は半減期が約2年の放射性同位体です。セシウム137は半減期が約30年、使用済み核燃料中の放射能の大部分を占める、とWikipediaは説明しています。

 仮に検出された「放射性セシウム」がすべてこのセシウム134だとして、人体への影響度合いはどれほどなのか、ネット上で見つけた計算式を使って計算してみることにします。
http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON

 キログラムあたり3200ベクレルの牛肉を、毎日1キログラムずつ、一年間365日食べ続けたとします。牛肉の枝肉を一頭買いするとだいたい400キロだそうですから、一年間かけて、ほぼ一頭まるごと1人で食べるという想定です。

 計算すると、22.192ミリシーベルトという数値が得られます。

 すべてセシウム137だと仮定すれば、15.184ミリシーベルトです。


▽2 都や国が無用の混乱を招いている

 これらの数値をどう見るか、です。

 放射性物質は自然界に存在し、私たちは日常生活のなかで放射線を日々浴びていますが、この自然放射線量は、体質研究会のデータによると、日本では平均で年間に0.43ミリシーベルト、最高値で1.26ミリシーベルトですが、イランのラムサールのように平均10.2ミリシーベルト/年、最高260ミリシーベルト/年という高自然放射線地域の存在も知られています。
http://www.taishitsu.or.jp/

 放射能汚染された牛肉を1人で一頭丸ごと食べるということは、大人でも現実にはあり得ないでしょうから、「暫定基準値を大幅に超える放射性物質の検出」は騒ぎすぎといえないでしょうか。

 一部が食肉として流通していた静岡県では、静岡市内の飲食店に残っていた加工肉から1キログラムあたり1998ベクレルの放射性セシウムが検出されたそうですが、静岡県が「健康への影響を心配するレベルでない」と県民に平静さを求めているのは当然です。

 この冷静かつ客観的な対応が、都や国のレベルでなぜできないのか、私は不思議で仕方がありません。都や国こそ、無用の混乱を招いている元凶なのではないか、とさえ思えてきます。


▽3 被災者の命と暮らしの視点がない

 福島県は長年、ブランド牛の育成に努力してきました。県は「福島牛」を日本酒に次ぐ2番目のブランド産品に指定しているそうです。会津牛、会津塩川牛、飯舘牛、石川ハチミツ和牛、都路牛などが知られ、相馬牛は「日本一」に輝いた実績があると聞きます。

 今回の汚染牛の検出が、すでに起きている福島の農産物に対する風評被害を拡大させないことを祈るばかりですが、現実はきわめて悲観的です。

 先週来、菅政権は原発の再稼働に向けたストレステストの実施をめぐって混乱が続いていますが、最高責任者である菅首相には、発電所設備の機械操作の視点こそあれ、政権与党内部の要人、行政担当者、発電施設で働く人々、さらに原発周辺の住民という人間の視点が決定的に欠けているといわざるをえないからです。

 3月11日夕刻の記者会見にも、翌日の、ヘリによる福島第一原発視察後の会見にも、「国民の安全の確保」「住民の安全を第一に待避をお願いする」という言葉はありましたが、犠牲者への追悼の言葉がなかったことに端的に表れているように、被災地の人々の命と暮らしの観点がうかがえないからです。

 周辺住民を避難させ、その地域を拡大させ、農畜産物の出荷制限を指示するばかりで、被災地の生活と産業を建て直す方向性がいっこうに見えず、郷土の歴史、産業、文化を否定し、死滅させ、住民を流浪の民とすることが菅政権の政策なのかと疑われてならないからです。

 菅首相は先週末、全国幹事長・選挙責任者会議で、福島原発事故について、「事故の処理は3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる見通しだ」と語ったと伝えられますが、よくも平然と語れるものです。原発事故の被災者にとっては「帰郷の夢を捨てよ。故郷を捨てよ」と、行政の最高責任者から通告されたようなものです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110709-OYT1T00622.htm

 天皇陛下は異例のビデオ・メッセージで、「国民一人ひとりが被災地に心を寄せ、被災者とともに復興の道のりを見守り続けていくこと」を願われましたが、首相にはこの思いがまったく欠けているのではないでしょうか。


▽4 郷土意識を復活させるために

 しかし菅首相の人間性を批判するだけでは十分ではありません。郷土に帰りたくても帰れない、郷土の喪失という事態についての感性を失っているのは、私たち国民もほとんど同じだからです。

 菅首相は典型的な転勤族の長男です。父親は岡山出身、菅首相も本籍は岡山だそうですが、生まれは山口県で、高校2年のとき東京・三鷹に引っ越してきた。しかしいまは武蔵野市在住、と聞きます。

 現代の日本人は農耕民的な定住性を失い、遊牧民化しています。国民の大半はサラリーマンで、10数年前のデータでは、転勤による移動は1人平均2.75回(伊藤達也『生活の中の人口学』など)。一生を同じ土地で過ごす人は4人に1人もいません(大友篤『日本の人口移動』)。

 固定的な郷土を持たず、随時、住所が変わる、浮き草のような市民性が、市民運動家としての菅首相の思想と行動の原点だと思われますが、それは今日の多くの日本人とまったく共通します。国民の浮き草性が浮き草的政治家を首相にさせたのです。

 だとすれば、すでに郷土意識を失ってしまった日本人に、陛下が願っておられるような、被災者の郷土喪失の悲しみを共有し、郷土再生のための構想を立て、いっしょに歩み続けることはどこまで可能でしょうか。

 被災地の郷土復興のためには、日本人一人ひとりの郷土意識を復活させることが必要です。そのためにどうすればいいのか、国民がみな故郷を持つことだ、と私は思います。

 都会のマンションで暮らすサラリーマンなら、週末ごとに帰る土地付きの別宅を地方に持ち、カントリーライフを楽しむ。国民の資産を倍増させるダブル・ハウス政策は、萎縮するばかりの日本経済に大きな刺激を与えるでしょう。そのモデル・ケースとして、福島県の被災地復興を位置づけることはできないでしょうか。

 菅総理、第一原発のある双葉郡大熊町を、あなたの故郷にしませんか?

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