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今年もお取り止めの三殿御拝──建国記念の日に入院された陛下 [宮中祭祀]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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今年もお取り止めの三殿御拝
──建国記念の日に入院された陛下
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 陛下が心臓冠動脈の精密検査のため入院されました。退院は明日の予定と伝えられます。
http://www.asahi.com/national/update/0211/TKY201202110150.html

 検査後、医師団は手術が必要かどうかなど、今後の治療方針について発表するそうですが、大事に到らないことを祈らずにはいられません。


▽1 戦後、中絶した紀元節祭

 さて、今日は建国記念の日です。例年なら、陛下の御拝が行われるはずですが、今年は検査が午前11時ごろから行われるとのことですから、お取り止めなのでしょう。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120211/t10015946211000.html

 旧皇室祭祀令では、2月11日の紀元節祭は、天皇が皇族および官僚を率いて、みずから祭典を行う大祭と位置づけられていました。
http://www.geocities.jp/nakanolib/kou/km41-1.htm

 紀元節祭は、八束清貫・元宮内省掌典の「皇室祭祀百年史」によれば、神武天皇が橿原宮に即位された建国の第1日を景仰し、紀元節として皇霊殿に神武天皇を親祭される祭祀で、朝・昼・夕の三度にわたって祭典が行われ、昼の議が親祭でした。昭和3年からは三殿祭祀に拡張されました。

 昭和22年5月の現行憲法の施行とともに旧皇室令は廃止されましたが、当メルマガの読者ならよくご存じのように、このとき「従前の規定が廃止となり、新しい規定ができていないものは、従前の例に準じて事務を処理すること」と明記する宮内府長官官房文書課長・高尾亮一名による依命通牒により、祭祀の伝統は守られてきました。

 しかしその例外が紀元節祭でした。八束の「百年史」によれば、23年以降、中絶したとあります。同じく2月11日に行われていた皇霊殿御神楽の儀は4月3日の神武天皇祭の日に行われるようになりました。


▽2 「建国記念の日」法制化でも復活せず

 祝日法が改正され、建国記念の日が「国民の祝日」に加えられたのは昭和41年で、翌年から適用されましたが、宮中祭祀として紀元節祭が復活することはありませんでした。入江相政侍従長による祭祀簡素化の「工作」(「入江日記」)が始まったのは43年です。

 昭和57年暮れ、永田忠興掌典補の神道宗教学会での問題提起により、昭和の祭祀簡略化が明るみに出ましたが、このとき、神社本庁が富田朝彦宮内庁長官宛に提出した抗議の質問書には「神道指令との関連で、紀元節が廃されたほか、いまでは明治節祭も行われなくなった。建国記念の日が立法化されたにもかかわらず、紀元節祭は復活していない。廃止の理由を承りたい」という1項目がありました。

 これに対して、宮内庁の「公式見解」とされる東園基文掌典長による回答書に、答えはありませんでした。具体的な回答を避けたのです。


▽3 毎年欠かせられなかった御拝

 側近の日記などによると、今上陛下は皇位の継承後、皇后陛下とともに、祭祀について学ばれ、正常化に努められました。

 2月11日には恒例の御拝をなさり、神武天皇の御即位に思いを馳せられてきました。宮内庁がホームページ上に宮中祭祀の日程を掲載するようになったのは17年以降ですが、17、18年は「三殿御拝(宮中三殿)」、19、20年は「賢所仮殿御拝(賢所仮殿)」、21年は「三殿御拝(宮中三殿)」と記載されています。

 しかし22年は記載がありません。発表では、ノロウイルスによる急性腸炎となられ、宮中三殿御拝は掌典の御代拝となったのでした。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/kohyo/kohyo-h22-0202.html

 昨年もお取り止めでした。定期検診の一環として行われる30分の精密検査が午前中に繰り上げられたからです。そして、今年もお取り止めとなりました。

 なぜ精密検査は今日なのか、メディアは「前回の検査から1年となる」と説明していますが、それならなぜ去年のこの日だったのか? 昨年は30分、今年は1時間の検査を、午後に設定することはできないんでしょうか?

 順徳天皇の『禁秘抄』に「およそ禁中の作法は神事を先にし、他事を後にす」とあるように、歴代天皇が最優先させてきたのが祭祀です。

 宮内庁のホームページにも「天皇皇后両陛下は,宮中の祭祀を大切に受け継がれ,常に国民の幸せを祈っておられ,年間約20件近くの祭儀が行われています。皇太子同妃両殿下をはじめ皇族方も宮中祭祀を大切になさっています」と説明があります。
http://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/saishi/saishi.html


▽4 テニスより軽視される祭祀

 しかし、陛下の祭祀に対して、いまの宮内庁はきわめて冷淡です。

 宮内庁のホームページに記載される宮中祭祀の「主要な祭儀」のなかに「紀元節祭」は見いだせません。11月3日の明治節祭も同様です。
http://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/saishi/saishi01.html

 平成の祭祀簡略化を進言した一人と目される渡邉允前侍従長(現御用掛)のように、「宮中祭祀は、現行憲法の政教分離の原則に照らせば、陛下の『私的な活動』ということにならざるを得ません」(雑誌「諸君」20年7月号掲載の渡邉允前侍従長インタビュー「慈愛と祈りの歳月にお伴して」)と言い切る側近さえいます。

 神道指令下の憲法解釈に後退しているのです。いわゆる国家神道の歴史を、知的に克服できていないからでしょう。

 報道によると、昨年2月9日、陛下の精密検査をひかえて、宮内庁は、「11日の宮中祭祀は欠席されるが、現時点で公務の変更予定はない。今のところ、テニスなどの運動にも問題はない」と発表しました。

 天皇の祭祀は明らかに、スポーツのテニスよりも軽視されています。

 前侍従長はインタビューのなかで、「つねに国民の幸せを祈るというお気持ちをかたちにしたものとして祭祀がある」と語っていますが、それでも、天皇の祭祀は私的行為であり、ご公務が優先されるという憲法解釈から抜け出せないでいます。

 つまり、側近たちが考える天皇は、悠久なる歴史上の存在としての天皇ではありません。であればこそ、過去に例のない女性天皇・女系継承容認も、女性宮家創設も平気で口にできるのでしょう。根っこは同じなのです。

 まことに残念なのは、日ごろ敬神尊皇を唱え、紀元節奉祝を謳う保守派の人々から、宮中祭祀簡略化に対する怒りの声がいっこうに聞こえないことです。宮中と府中の違いを理解できずに、自己規制する人さえいます。これでは事態がどんどん悪化するのは目に見えています。

 陛下のご心痛は察するに余りあります。

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