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神饌を供え、天皇みずから召し上がる──日本教育再生機構広報誌の連載から [宮中祭祀]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 神饌を供え、天皇みずから召し上がる
 ──日本教育再生機構広報誌の連載から
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 日本教育再生機構広報誌「教育再生」の連載から転載します。なお、一部に加筆修正があります。


 天皇陛下はどのような祭祀を行われるのでしょうか? 皇室第一の重儀といわれる新嘗祭(にいなめさい)について考えてみます。

 新嘗祭は宮中三殿の西隣に位置する神嘉殿(しんかでん)で行われます。

 かつては十一月の下卯日(しものうのひ。三卯あれば中卯日)が祭日でした。明治天皇の大嘗祭が行われた翌年、明治五(一八七二)年に新嘗祭が整備され、さらに太陽暦導入で、翌六年以後は今日、「勤労感謝の日」と呼ばれる十一月二十三日に行われることとなりました。

 七年からは新嘗祭神殿を毎年建て直すやり方から恒久施設で行われる方式に変わりました。『明治天皇紀』は、旧例墨守を批判し、「偏に実際に就くを旨」として祭儀が整備されたと記しています。

 二十三日午後六時、天皇陛下が出御(しゅつぎょ)されます。ほかの祭祀では、天皇だけがお召しになる立纓冠(りゅうえいのかん)に黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)を召されてのお出ましですが、新嘗祭だけは「謹慎と清浄」を表現する、特別の冠に純白生絹(すずし)の祭服です。

 次いで皇太子殿下が純白の祭服で参進されます。皇后陛下ほか女性皇族の拝礼・参列はありません。

 陛下がお出ましになると、「オーシー」の警蹕(けいひつ)一声、お手水(てみず)の具のほか、数々の神饌が殿内へと運び込まれます。

 陛下は脂燭(ししょく)以外、照明のない、暖もない広間に端座されます。人の見ないところで行われるのが天皇の祭りです。

 陛下は最初にお手水を行われ、そのあと古来の作法に従って、ピンセット型の竹折箸を用い、神饌をみずから一時間以上かけて、神前にお供えになります。

 なかでも重要とされるのが、その年に収穫された新米・新粟を炊いた米の御飯(おんいい)・御粥(おんかゆ)、粟の御飯・御粥、および新米をもって醸造した白酒(しろき)・黒酒(くろき)の新酒です。

 陛下御自身が皇居内の水田で育てられた稲と、各県から献上された米と粟の新穀の御饌と御酒が皇祖神以下、天神地祇(てんじんちぎ)に捧げられ、陛下御自身も神前で召し上がるのがこの祭りの趣旨です。

 神人共食の食儀礼です。

 御飯は葛(くず)の皮を編んだ葛筥(くずばこ)に納められています。蓋(ふた)をとると、中に御飯と御粥をそれぞれ盛った窪椀(くぼて)があります。御飯は甑(こしき)で蒸した強飯(こわめし)で、米、粟各二盛。一盛は神前に供され、もう一盛は陛下が召し上がるためのものです。

 神饌御進供(ごしんく)ののち陛下は恭しく拝礼され、御告文(おつげぶみ)を奏され、五穀豊穣を感謝されるとともに、国の平安と民の安寧を祈られます。

 そのあと陛下は、新穀の御飯と新酒の白酒・黒酒を召し上がります。みずから新嘗されるこの直会(なおらい)のあと、神饌が順次、撤下(てっか)され、お手水が行われます。

 お手水の具を先頭に神饌が退下(たいげ)し、天皇陛下、皇太子殿下が相次いでお下がりになって、「夕(よい)の儀」が終了します。

 三時間後、陛下がお出ましになり、二時間の神事が繰り返されます。これが「暁(あかつき)の儀」です。夕食をお召し上がりいただき、一晩お泊まりいただいたあと、翌日、朝食を差し上げるという趣旨と聞きます。
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