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こんどは抗議文を突きつけた宮内庁──「女性宮家」創設の特ダネでは黙認したのに [宮内庁]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2013年6月14日)からの転載です


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こんどは抗議文を突きつけた宮内庁
──「女性宮家」創設の特ダネでは黙認したのに
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 宮内庁がえらい剣幕のようです。

 皇室典範の改正を風岡長官が安倍首相らに提案した、と報道した「週刊新潮」最新号の記事について、「事実無根」と全否定し、文書で抗議するとともに、訂正を求めていると伝えられています〈http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130613-OYT1T01014.htm?from=ylist〉。

 抗議文は内閣官房と連名だそうで、滅多にない憤りぶりがうかがえます。


▽1 風岡長官が皇室典範改正を打診?

 同誌の記事は「『雅子妃』不適格で『悠仁親王』即位への道」と題するもので、「ついに『雅子妃に皇后は無理』の断を下した美智子さまの憂慮」など、4本の記事で構成されています。

 宮内庁HPには今回の抗議文はいまのところ掲載されておらず、抗議の内容はメディア報道から類推するほかはありませんが、4本の記事のうち、とくに「『皇太子即位の後の退位』で皇室典範改正を打診した宮内庁」について、強く反発しているようです。

 この記事では、今年2月1日、首相官邸に安倍首相を訪ねた風岡長官が、「宮内庁の課題」を説明したとされています。

 官邸関係者によると、風岡長官は1月半ばにも菅内閣官房長官に説明したといわれますが、その中味は「雅子さまの諸問題を解決する手立てとして、皇位継承をめぐる皇室典範の一部改正が提案され」た、というのです。

 具体的な「改正」内容は、といえば、警察庁幹部が明かしたところによると、「『自らの意思で天皇が生前に退位し、譲位することができる』ならびに『皇位の継承を辞退できる』ことを皇室典範に付記するというもの」で、長官は「総理らに大方針を伝えた後、官邸に詰める政府高官らに詳細を説明し」ている、とされています。

 記事によれば、次の御代替わりで、皇太子殿下が即位される。しかし早い段階で譲位される。皇位を継承されるのは秋篠宮親王殿下ではなく、悠仁親王殿下で、そのため秋篠宮殿下にも皇位継承を辞退する権利が認められる、というのです。

 しかも、「『秋篠宮は即位すら辞退』が頂上会談で了解された事情」と題する別記事によると、「宮内庁が思い描くシナリオは、今上陛下、皇太子、秋篠宮両殿下の3者間では、了解済みなのだ」と宮内庁幹部が解説したとされています。

 秋篠宮殿下が継承しないのは、「過去に皇位継承をめぐって兄弟が争った暗闘の歴史があるので、それは避けたい」からだと、警察庁関係者が説明しています。


▽2 妃殿下のご病気は皇位継承とは別問題

 報道によれば、風岡長官は昨日13日の定例記者会見で、「このようなことは一切なく、強い憤りを感じている」と述べたそうですが、時事通信の「首相動静(2月1日)」〈http://www.jiji.com/jc/zc?k=201302/2013020100141&g=pol〉によれば、「午後4時50分から同5時まで、風岡典之宮内庁長官」とありますから、問題は、わずかこの10分間に、記事にあるような典範改正が打診されたのかどうか、です。

 問題点は、5つあります。

 1つは、いわゆる雅子妃問題です。

 記事は「継続的なご公務が困難」な状況が続き、すでに皇后陛下は「諦観の境地におあり」で、「東宮家との亀裂は根深い」などと書いていますが、地方行啓や要人とのご会見などは本来、妃殿下のご公務ではないはずです。

 記事には「両陛下はつねにペアでのご公務をモットーとされている」とありますが、天皇陛下が皇后陛下を伴ってご公務をお務めなのであって、両陛下がお二人でいっしょに両陛下のご公務をお務めなのではありません。

 皇太子殿下がお1人でご公務をなさるとしても、そのことをもって深刻な問題とすべきではありません。まして皇太子妃殿下のご病気は、皇太子殿下の皇位継承とは別問題です。

 2つ目は、君徳の問題です。

 記事は、愛子内親王殿下の御誕生後、東宮家が「『公より私』というスタイルに傾斜した」とする宮内記者会詰め記者の指摘を引用し、皇位継承の資格性を疑わせていますが、そのような考えは誤りです。

 古来、「天皇に私なし」とされてきたことは確かですが、皇位継承の資格は皇統に連なる男子であることであり、徳があるものが皇位を継承するのではありません。

 天皇の徳とは、皇位継承後、公正かつ無私なる祭祀を厳修するなかで、磨かれていくものです。


▽3 ウラに何かある?

 3つ目は、いわゆる女性宮家創設問題です。

 記事は、皇族方の数が減る一方の皇室はかつてないほど皇統断絶の危機が叫ばれている。そのため小泉内閣時には女性天皇・女系継承の認否が議論され、一昨年には羽毛田宮内庁長官が「女性宮家」創設を野田総理に要請したと説明していますが、事実ではありません。

 明治憲法草案の起草が叫ばれていたころ、明治天皇に皇男子はなく、しかも皇族男子は遠系の4親王家にしかおられず、いま以上に「火急の件」でした。

 やがて嘉仁親王殿下(大正天皇)が誕生されますが、その後も皇男子はお一方にとどまりました。それでも女帝は否認されました。

 また、いわゆる女性宮家創設の目的は、少なくとも当時の政府の説明では、「皇室の御活動の安定的維持」および「天皇皇后両陛下の御負担軽減」でした〈http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koushitsu/yushikisha.html〉。

 それを曲げて報道したのがメディアでした。

 4つ目は、今回、内閣官房と連名で抗議文を突きつけた宮内庁ですが、23年11月に読売新聞が「『女性宮家』の創設検討 宮内庁が首相に要請」と「スクープ」報道したことについてはなぜ抗議しなかったのでしょうか?

 当時、羽毛田長官は「女性宮家」創設を「火急の件」として提案したと伝えられたことについて、強く否定しているとされているのに、です。

 今回とのギャップが大きいのは、じつに異様です。何かウラがあると勘ぐりたくなるのは私だけでしょうか?


▽4 タダではすみそうにない

 最後に、取材に協力した関係者の処分問題です。

 今回の記事では、「すべて天皇、皇后両陛下の思し召し。すでに天皇・皇太子・秋篠宮の三者による頂上会談でも話し合われ、納得されている」と宮内庁幹部が解説したとされています。

 宮内庁が「事実無根」と抗議している中味について、「解説」したとすれば、それなりの処分は免れないでしょう。逆に、「事実」でないことを書かれたのなら、取材協力した宮内庁幹部自身、出版社に抗議すべきです。

 庁内の処分も当事者の抗議もないとすれば、宮内庁自身が問われます。

 新潮社側は、「記事は機密性の高い水面下の動きに言及したもの。内容には自信を持っている」とコメントしているようですから、タダではすみそうにありません。
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