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主食用にならないアメリカ産主食用米──冷めたらパラパラで、おにぎりにも炊き込みご飯にも向かない [米]

以下は、斎藤吉久メールマガジン(平成27年8月26日)からの転載です。

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 主食用にならないアメリカ産主食用米
 ──冷めたらパラパラで、おにぎりにも炊き込みご飯にも向かない
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 やっぱりである。おにぎりにならないのである。

 TPP交渉の主要テーマのひとつはアメリカ産主食用米の輸入拡大だが、いったいどんなコメなのかと思って、ネットで購入し、食べてみた。

 よくいわれるように、安くて、美味しいのなら、消費者は歓迎する。ところがそうではない。


▽ 晩ご飯のメニューを変えなければならない

 そもそも安くない。

 アマゾンで探すと、5キロ2180円、2600円などの価格でカリフォルニア産米が売られている。ところが、いずれもプライムの設定がないので、送料は別になるから、国産米よりはるかに高い。

 2キロ950円というのを買ってみた。関東なら配送料が600円かかる。

 数日後、届いた商品には、「複数原料米」「米国カリフォルニア産10割」「輸入25年8月1日」と表示されている。要するに、ブレンドされた古米であった。

 さっそく炊いてみた。

 精米のときは単粒種に見えたが、炊きあがると、面白いことに、ご飯粒が伸びて、長粒種のようになる。

 まずくはない。ただ、粘りがない。冷めるとポロポロになる。

 あらためて商品の袋をながめると、シールが貼られていて、「カリフォルニア産カルローズ。炒飯、ピラフ、カレー、ドリア、リゾット、パエリア、サラダ、スープなどに最適なお米です」と書いてある。

 焼き魚定食や刺身定食、天ぷら定食には向かないということらしい。

 炊き込みご飯にしてみた。粘りがないから、箸では食べられない。ふたたびシールを読んでみると、「べたつかないお米」とあった。より正確にいえば、パサパサなのである。

 ダメ元でおにぎりにしてみた。案の定、握るさきから、米粒がポロポロとこぼれていく。

 おにぎりでこれなら、お寿司も同様だろう。

 アメリカは主食用米として、日本に輸出攻勢をかけている。けれども、少なくとも私が食べてみたコメは、日本人の「主食」には向かない。

 インディカ米とジャポニカ米とでは、種(species)が異なるといわれるほど、遺伝形質が異なるが、カリフォルニア産米と日本米とは明らかに性質が異なるのに、「主食用米」としてひとくくりにして、TPP交渉の議題にすることに無理があるのではないか?

 すき焼き用牛肉とステーキ用牛肉をいっしょに論ずるのと同じである。

 あえて輸入拡大するのなら、日本人は「主食」を変えなければならない。

 米を主食とする「米食民族」といわれたのも今や昔、もはや日本人は1日に1食程度しかコメを食べないらしいのだが、アメリカ産主食用米の輸入が増える分、日本人は晩ご飯のおかずの焼き魚をやめ、ピラフに変更しなければならなくなる。

「主食用米」の輸入拡大は「主食」の変更なのである。


▽ 米食からパン食に変えさせられた歴史

 そういえば、日本人にとって、コメが「主食」でなくなったのも、アメリカの圧力によるものだった。

 第2次大戦中、連合国の食料生産を一手に引き受けていたアメリカは、戦後、一転して、膨大な余剰小麦の在庫を抱えることになった。死活的な余剰対策のハケ口にされたのが敗戦国の日本で、再開された学校給食にはアメリカ産小麦が充てられた。

 その結果、日本の小麦生産は安楽死させられ、日本人のパン食が増え、一方、コメの消費は減り、歴史的な減反政策も始まった。

 その挙げ句に、今度はアメリカのコメを食べろという。煮魚定食ではなくて、ピラフを食べろというのである。

 ずいぶんと身勝手な話ではないのか? アメリカはむしろ生産調整を進めるべきではないのか?

 他国の食文化を変更させてまで、押し売りする権利は誰にもないはずだ。
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