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見出しと記事の主語が異なるのはなぜか──羽毛田長官は野田首相に「要請」したか? 1 [女性宮家]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月2日)からの転載です


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見出しと記事の主語が異なるのはなぜか
──羽毛田長官は野田首相に「要請」したか? 1
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?


第1節 羽毛田長官は野田首相に「要請」したか?──不思議な読売新聞の「スクープ」


 過去の歴史にない、いわゆる「女性宮家」創設は、いつ、だれが、何のために言い出したことなのでしょうか?

 じつはこれが大きな謎で、議論が迷走するのは当然です。まるで検察による公式な提訴の手続きを踏まえずに、裁判が行われていくようなものです。現実世界にはあり得ないミステリーです。

 保守派の言論人のなかには、羽毛田信吾前宮内庁長官や古川貞二郎元内閣官房副長官(皇室典範有識者会議のメンバー)などを首謀者として名指しし、きびしく批判する人もいますが、私は大いに疑問を感じています。

 なぜそのように考えるのか、新聞や雑誌の記事などをもとに、事実を探ってみることにします。


▽1 主語が異なるのはなぜか?

 かまびすしい「女性宮家」創設論議のきっかけは、一般に考えられているところでは、

「『女性宮家』の創設検討 宮内庁が首相に要請」

 という見出しで伝えられた、平成23年11月25日づけ読売新聞1面トップの「スクープ」ですが、これはじつに不思議な記事でした。特ダネにありがちな、一種の誤報ではないか、と私はにらんでいます。

 というのも、記事のリードには

「宮内庁が野田首相に要請」

 と書かれているのに、記事本文では

「羽毛田長官が野田首相に伝えた」

 とあって、見出しとリードと本文では主語が異なっているからです。もし記事本文のように、文字通り「宮内庁長官が要請」したのなら、見出しもリードもそのように素直に表現されるべきでしょう。見出しを付ける編成部の担当者が「長官が要請」としなかった、できなかった理由は何でしょうか。

 読売の記者は当然、長官にも直接、取材し、事実関係を確認したに違いありません。けれども、結局、確認できなかったのではありませんか。後述するように、羽毛田長官本人はその後、「首相に要請」という報道を「強く否定」していると伝えられています。

 しかし読売は報道に踏み切りました。興味深いことに、もし羽毛田長官が否定するのなら、完全な誤報だというのなら、宮内庁は抗議すべきですが、抗議したとは聞きません。

 宮内庁が抗議しないのは、「女性宮家」創設に関する「要請」報道が事実ではないにしても、「女性宮家」創設論が社会に知られるのは省益にかなうことだからでしょう。後述するように、皇位継承問題は宮内庁内部で長い間、議論されていたことでした。

 読売の記者は取材過程で、長官本人には否定されたが、ほかの宮内庁関係者は「要請」を否定しなかったため、記事本文では「長官が要請」なのに、リードや見出しは「宮内庁が要請」と表現されることになったのかも知れません。

 この推理が正しいとすると、羽毛田長官以外に、「女性宮家」創設を「首相に要請」した、あるいは「女性宮家」創設を強力に主張する、有力な宮内庁関係者がいるということになります。

 同時に、宮内庁内の有力者のあいだで、微妙な意見の相違があることもうかがわせますが、それでも確度の高い情報として、最初にマスコミに流した、長官にも匹敵する実力者がいるということです。

 その人物こそ、ほんとうの「女性宮家」創設提唱者に違いありません。それは誰なのでしょうか?


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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