長官の発言は「陛下のご意向」か?──妄想が書かせた「AERA」の創設論 1 [女性宮家創設論]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です
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長官の発言は「陛下のご意向」か?
──妄想が書かせた「AERA」の創設論 1
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?
読売新聞の「スクープ」からほどなくして、朝日新聞社(当時)が発行する「AERA」が「女性宮家」創設論を取り上げました。平成23年12月5日号の「皇太子妃あきらめた両陛下の意思? 『女性宮家』と雅子さま」です。
「AERA」は昭和の末年、そのころ頻繁にお会いし、親しくお付き合いした朝日新聞のエリート社員が基本的な構想を練り、発刊されたニュース雑誌で、私としてはそれなりに親近感があります。
けれども、この記事はいただけません。
▽1 長官の発言は「陛下のご意向」か?
記事は、編集部の三橋麻子、福井洋平両氏による共同執筆で、リードに
「『火急の件』として、宮内庁長官が女性宮家の創設の検討を首相に求めた。皇太子家の愛子さまや秋篠宮家の眞子さまら8人の女性皇族が公務を担う『姫宮の時代』が遠からずやってくるのか。そしてその先には──」
と記されているように、羽毛田信吾宮内庁長官の発言をきっかけとする「女性宮家」創設なるものが何を意味するのか、を問いかけています。
結論を先にいえば、この記事は、「女性宮家」創設論の胡散臭さとともに、タイトルにもうかがえるように、「雅子妃憎し」の妄想に近いものを感じさせます。読売新聞の「スクープ」が誤り伝えた、提唱者=長官説も克服できずにいます。
記事の書き出しはこうです。
「宮内庁長官の発言は天皇陛下のご意向──。これは皇室を取材する者の、暗黙の了解だ」
長官や侍従長など、陛下の側近たちはみな人格的にも立派な方々で、陛下のご意思をよく理解し、その発言は陛下を代弁している──そのように、ふつうの人なら考えるかも知れません。
だから、側近の批判をしようものなら、私が一貫して批判してきた宮中祭祀簡略化問題などもそうですが、
「宮内庁批判はよくない。お前こそ、無礼千万」
と口をきわめて猛反発されることになります。一般の人には往々にして、宮中と府中の違いさえ理解できないのです。皇室を取り巻く環境が、もはや有り難がっているだけでは済まない状況にあるということが分からないのです。
しかし一般の国民とは異なり、生の情報に触れることができ、取材調査もできる第一線のジャーナリストまでが、
「宮内庁長官の発言は天皇陛下のご意向」
と本気で思い込んでいるとしたら、思考停止も甚だしいといわざるをえません。
ところが、「AERA」の記事はのっけから思考停止状態です。いや、高級誌の記者たる者が思考停止とも思えません。一見、思考停止状態に見える、何かほかの要因があるのでしょうか?
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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長官の発言は「陛下のご意向」か?
──妄想が書かせた「AERA」の創設論 1
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?
読売新聞の「スクープ」からほどなくして、朝日新聞社(当時)が発行する「AERA」が「女性宮家」創設論を取り上げました。平成23年12月5日号の「皇太子妃あきらめた両陛下の意思? 『女性宮家』と雅子さま」です。
「AERA」は昭和の末年、そのころ頻繁にお会いし、親しくお付き合いした朝日新聞のエリート社員が基本的な構想を練り、発刊されたニュース雑誌で、私としてはそれなりに親近感があります。
けれども、この記事はいただけません。
▽1 長官の発言は「陛下のご意向」か?
記事は、編集部の三橋麻子、福井洋平両氏による共同執筆で、リードに
「『火急の件』として、宮内庁長官が女性宮家の創設の検討を首相に求めた。皇太子家の愛子さまや秋篠宮家の眞子さまら8人の女性皇族が公務を担う『姫宮の時代』が遠からずやってくるのか。そしてその先には──」
と記されているように、羽毛田信吾宮内庁長官の発言をきっかけとする「女性宮家」創設なるものが何を意味するのか、を問いかけています。
結論を先にいえば、この記事は、「女性宮家」創設論の胡散臭さとともに、タイトルにもうかがえるように、「雅子妃憎し」の妄想に近いものを感じさせます。読売新聞の「スクープ」が誤り伝えた、提唱者=長官説も克服できずにいます。
記事の書き出しはこうです。
「宮内庁長官の発言は天皇陛下のご意向──。これは皇室を取材する者の、暗黙の了解だ」
長官や侍従長など、陛下の側近たちはみな人格的にも立派な方々で、陛下のご意思をよく理解し、その発言は陛下を代弁している──そのように、ふつうの人なら考えるかも知れません。
だから、側近の批判をしようものなら、私が一貫して批判してきた宮中祭祀簡略化問題などもそうですが、
「宮内庁批判はよくない。お前こそ、無礼千万」
と口をきわめて猛反発されることになります。一般の人には往々にして、宮中と府中の違いさえ理解できないのです。皇室を取り巻く環境が、もはや有り難がっているだけでは済まない状況にあるということが分からないのです。
しかし一般の国民とは異なり、生の情報に触れることができ、取材調査もできる第一線のジャーナリストまでが、
「宮内庁長官の発言は天皇陛下のご意向」
と本気で思い込んでいるとしたら、思考停止も甚だしいといわざるをえません。
ところが、「AERA」の記事はのっけから思考停止状態です。いや、高級誌の記者たる者が思考停止とも思えません。一見、思考停止状態に見える、何かほかの要因があるのでしょうか?
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
タグ:女性宮家創設
2017-05-05 09:17
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