有識者会議報告書にない「女性宮家」──妄想が書かせた「AERA」の創設論 2 [女性宮家創設]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です
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有識者会議報告書にない「女性宮家」
──妄想が書かせた「AERA」の創設論 2
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?
▽2 有識者会議報告書にない「女性宮家」
ことの発端について、「AERA」は、読売の「スクープ」をそのまま踏襲し、平成23年10月5日に、羽毛田長官が野田首相に面会したこと、と説明しています。記事では長官は、
(1)皇室典範を改正し、女性宮家の創設を検討すること
(2)あわせて皇位の安定的な継承制度を実現すること
を首相に要請したとされています。(1)と(2)は独立した事象のはずなのですが、記事ではいつの間にか、同一の問題になっていきます。
記事は「女性宮家」創設の目的に迫ります。皇室典範は
「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」(第12条)
と定めているけれども、婚姻しても皇族身分のままとするのが「女性宮家」だと説明し、さらに、
「ゆくゆくは、その子供も、皇位継承者になることにつながるかも知れない」
と「女性宮家創設」がいわゆる女系天皇誕生への引き金になることを示唆しています。
記事は、羽毛田長官が「女性宮家」創設を言い出したのは、小泉内閣時代に、女性天皇や「女性宮家」創設を認める皇室典範改正の検討が行われ、その後、悠仁(ひさひと)親王殿下が誕生されたことや政局が混乱したことで、棚上げとなった議論の「再燃」と見ています。
しかしこの説明はすんなりとは読めません。
というのも、小泉内閣時代の皇室典範有識者会議のテーマは皇位継承問題だったからです。「女性宮家」創設が第一の検討課題だったのではありません。有識者会議の報告書においては、少なくとも表向き、「女性宮家」という表現は見当たりません。
平成17年11月に公表された報告書は、
「女子が皇位継承資格を有することとした場合には、婚姻後も、皇位継承資格者として、皇族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇族となることとする必要がある」(3 皇族の範囲)
と記述しているのみです。内容的に似ていますが、厳密にいえば、「女性宮家」の創設ではありません〈http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/houkoku/houkoku.html〉。
有識者会議の報告書は、
「安定的で望ましい皇位継承のための方策」
を追求し、
「現行制度では、皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れることとされている」
けれども、
「婚姻後も、皇位継承資格者として、皇族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇族となることとする必要がある」
と指摘したのです。
皇室典範有識者会議では、女子が婚姻後も皇族身分を維持する目的は、皇位継承の安定性にありました。
表現が似ているのは、後述するように、大きなカラクリがあるのですが、ここでは「皇族の身分にとどまる」ことと「宮家」設立は同じではないと指摘しておくことにします。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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有識者会議報告書にない「女性宮家」
──妄想が書かせた「AERA」の創設論 2
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?
▽2 有識者会議報告書にない「女性宮家」
ことの発端について、「AERA」は、読売の「スクープ」をそのまま踏襲し、平成23年10月5日に、羽毛田長官が野田首相に面会したこと、と説明しています。記事では長官は、
(1)皇室典範を改正し、女性宮家の創設を検討すること
(2)あわせて皇位の安定的な継承制度を実現すること
を首相に要請したとされています。(1)と(2)は独立した事象のはずなのですが、記事ではいつの間にか、同一の問題になっていきます。
記事は「女性宮家」創設の目的に迫ります。皇室典範は
「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」(第12条)
と定めているけれども、婚姻しても皇族身分のままとするのが「女性宮家」だと説明し、さらに、
「ゆくゆくは、その子供も、皇位継承者になることにつながるかも知れない」
と「女性宮家創設」がいわゆる女系天皇誕生への引き金になることを示唆しています。
記事は、羽毛田長官が「女性宮家」創設を言い出したのは、小泉内閣時代に、女性天皇や「女性宮家」創設を認める皇室典範改正の検討が行われ、その後、悠仁(ひさひと)親王殿下が誕生されたことや政局が混乱したことで、棚上げとなった議論の「再燃」と見ています。
しかしこの説明はすんなりとは読めません。
というのも、小泉内閣時代の皇室典範有識者会議のテーマは皇位継承問題だったからです。「女性宮家」創設が第一の検討課題だったのではありません。有識者会議の報告書においては、少なくとも表向き、「女性宮家」という表現は見当たりません。
平成17年11月に公表された報告書は、
「女子が皇位継承資格を有することとした場合には、婚姻後も、皇位継承資格者として、皇族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇族となることとする必要がある」(3 皇族の範囲)
と記述しているのみです。内容的に似ていますが、厳密にいえば、「女性宮家」の創設ではありません〈http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/houkoku/houkoku.html〉。
有識者会議の報告書は、
「安定的で望ましい皇位継承のための方策」
を追求し、
「現行制度では、皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れることとされている」
けれども、
「婚姻後も、皇位継承資格者として、皇族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇族となることとする必要がある」
と指摘したのです。
皇室典範有識者会議では、女子が婚姻後も皇族身分を維持する目的は、皇位継承の安定性にありました。
表現が似ているのは、後述するように、大きなカラクリがあるのですが、ここでは「皇族の身分にとどまる」ことと「宮家」設立は同じではないと指摘しておくことにします。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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