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被災地御訪問を要求したいのか? ──妄想が書かせた「AERA」の「女性宮家」創設論 3 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月7日)からの転載です


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被災地御訪問を要求したいのか?
──妄想が書かせた「AERA」の「女性宮家」創設論 3
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?


▽3 被災地御訪問を要求したいのか?

「AERA」の記事では、当初、「女性宮家」の創設と安定的な皇位継承制度の実現は別問題と説明されていたはずです。前者の目的はあくまで皇室のご活動を担う「人手不足」だったはずですが、その延長線上に皇位継承の「人手不足」が位置づけられ、議論がすり替えられ、テーマが発展していきます。

 東日本大震災では、両陛下や東宮殿下、秋篠宮殿下(「AERA」の用語では「天皇家、皇太子家、秋篠宮家」)が被災地の慰問をなさったが、お見舞いがなかった地域も多くあり、高齢化やご病気による「人手不足」が明らかになった感もある、と説明されています。

 まして、女性皇族が皇籍を離れたら、いずれ皇族は「悠仁さまのご一家」だけになる。花嫁探しもたいへんだろう。雅子妃殿下を上回るプレッシャーを受けるだろう、と「AERA」は畳みかけ、さらに話題をいわゆる雅子妃問題に発展させています。

 たしかに東日本大震災は未曾有の災害であり、陛下や皇族方の慰問が被災者を勇気づけていることは事実です。けれども、被災地訪問はけっして天皇の本来的お務めではありません。逆に、天皇・皇族方は社会的に御活動なさるのがお務めだと考える皇室論こそ、陛下をご多忙にさせている原因ではないのでしょうか?

 けれども新聞系のメディアに、御公務とは何か、という本質的な議論を期待するのはきわめて困難です。新聞社が主催するイベントに天皇・皇族方がお出ましになり、御公務が新聞ビジネスに利用されている事例は少なくないからです。

 平成20年秋の御不例後、宮内庁は陛下の御公務ご負担軽減策に着手しましたが、結局、失敗しました。

 しかも、です。平成23年11月のご入院の際には、皇太子殿下と秋篠宮殿下とが分担して、国事行為ほか御公務をお務めになりました。それができるなら、側近たちはもっと早い段階でそのようにすべきでした。

 いまさら、御公務を担う皇族の「人手不足」解消のため、「女性皇族」創設を、側近が呼びかけているのだとすれば、実務能力の低さをみずから暴露しただけのことです。

 なぜ側近たちは御公務にそこまで固執するか、「AERA」は問いかけるべきです。天皇は古来、祭り主なのであって、社会的に活動なさることが天皇本来のお務めではないはずです。

 けれども無理でしょう。官僚組織も、新聞社も、自分たちのイベントにお出ましを要請して、話題づくりをするのは同じだからです。自分の首を絞めるわけにはいきません。

 たしかに大震災発生後の、陛下や皇族方の東奔西走ぶりは国民のまぶたに焼き付いています。しかし、あくまで非常時の出来事であり、これをもって制度改革の根拠とすべきではありません。

 それとも「AERA」の記者たちは、

「陛下や皇族方はもっと被災地を慰問せよ」

 と要求したいのでしょうか。羽毛田長官はそのように主張しているというのでしょうか?


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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