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新嘗祭は「女人禁制」ではない──妄想が書かせた「AERA」の「女性宮家」創設論 4 [女性宮家創設]

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新嘗祭は「女人禁制」ではない
──妄想が書かせた「AERA」の「女性宮家」創設論 4
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第2節 妄想が書かせた「AERA」の創設論──「陛下の意思」をかたる思惑はどこに?


▽5 新嘗祭は「女人禁制」ではない

 蛇足ですが、1点だけ付け加えます。宮中祭祀に関することです。

「AERA」の記事は、

「ちなみに『女性天皇』になると問題とされることのひとつに、宮中祭祀がある」

 と指摘し、

「新嘗祭は女人禁制なのだ」

 と説明していますが、完全な間違いです。

 たしかに「皇室第一の重儀」とされる新嘗祭(にいなめさい)に、皇后、皇太子妃とも本来、お出ましがありませんが、神事には内掌典と呼ばれる女官(にょかん)が奉仕しています。明らかに「女人禁制」ではありません。

 歴史に存在する最後の女帝・後桜町天皇の場合は、明和元(1764)年11月8日に大嘗祭をお務めになり、同7年11月13日の新嘗祭に出御(しゅつぎょ)されたことが、明確に複数の記録に残されています(『後桜町天皇実録』)。

「AERA」の両記者は、根拠もなしに、いったい何を言いたかったのでしょうか? 

 記事には

「世界的には、女性の王位継承が認められる傾向にある」

 とのくだりもありますが、皇位継承論をヨーロッパの男女同権論議と混同させていませんか。日本社会の後進性と曲解していませんか?

 考えてもみてください。

 聖書は創造主が男のあばら骨から助け手としての女をつくったと記していますが、日本の国生み神話では男女二柱の神による共同作業で国土がつくられています。イギリスで最初の女性君主マティルダは12世紀の人ですが、推古天皇の治世はそれより600年もさかのぼります。

 近代日本の女性解放運動といえば、一般には、ヨーロッパの影響を受け、平塚雷鳥(らいてう)らを先駆者として始まったといわれますが、じつはそうではなくて、神社人たちが、平塚らよりも早く、長期的に、しかも国境を越えて世界的に展開していた歴史があることなど、「AERA」の記者たちには、おそらく想像もつかないことでしょう。

 神社界では、戦時中は出征した宮司に代わって夫人が宮司代務者をつとめ、戦後設立された、全国約8万社の神社を包括する宗教法人神社本庁は当初から、女性神職を正式に認めました。

 日本の方がはるかに「進んでいる」のです。歴史教科書風の先入観や偏見を捨てることがジャーナリズムの第一歩であることを、肝に銘じなければなりません。

 古代から女性天皇は認められ、歴史に存在しますが、女系継承は否認され、女性天皇は独身を貫かれました。つまり、妻であり、母であるという女性天皇は歴史上、存在しません。それはなぜなのか、を「AERA」は探求すべきです。そこにこそ、仏教的、あるいはキリスト教的な「女人禁制」の差別主義とは似ても似つかぬ、天皇統治の神髄が秘められているはずです。

 最後に、もうひと言、補足します。

「AERA」の記事は、アンチ雅子妃殿下の感情が一部に根強いことをあらためて感じさせます。けれども、朝日新聞の「御懐妊兆候」スクープ報道が流産という悲しむべき結果を招き、妃殿下のご病気の引き金となったことを、国民はけっして忘れてはいません。

 正確な知識を踏まえず、客観的な事実に基づかない妄想が、さらなる妄想を呼び、大誤報問題に発展するのは、「慰安婦」報道問題に限りません。違うでしょうか。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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