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「女性宮家」創設の提案者は渡邉允前侍従長──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 1 [女性宮家創設]

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「女性宮家」創設の提案者は渡邉允前侍従長
──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 1
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論

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 いわゆる「女性宮家」創設論議の直接のきっかけを作った読売新聞は平成24年元日、

「政府は、当主となる皇族女子の夫にも皇族の身分を付与する方向で、調整に入った」

 と伝えました。

 キーワードは「皇族の身分」ですが、忘れてならないのは、その概念が、近代、そして現代と、大きく揺らぎ、皇族とは何かという本質論が失われていることです。

 東北大学の小嶋和司教授(故人。憲法学)によれば、明治の皇室典範は「皇族」身分の条件を明記せず、さらには臣籍出身の后妃も「皇族」とし、このために皇位継承資格者としての「皇族」と待遇身分としての「皇族」とを混同させ、「皇族」の本質をぼやけさせてしまいました(「『女帝』論議」=『小嶋和司憲法論集2 憲法と政治機構』)。

 その背景にあるのは、「王朝の支配」という観念の希薄さだと小嶋教授は指摘していますが、過去の歴史にない女系継承容認に道をひらく「女性宮家」創設の動きは、観念の希薄さどころか、一線を越えた、むしろ「王朝の支配」に対する挑戦といえるのでしょう。

 女性の場合、近代以降、皇室に嫁ぐことによって皇族の一員としての待遇を受けられることになったのですが、もし今回の改正が実現すれば、男性の場合も同様となり、いわば

「すべて国民はひとしく皇族になれる権利を有する」

 ということになります。

 誰でも皇族になれるのなら、もはや「皇族」とはいいがたく、平たい言葉でいえば「ありがたみ」もなくなり、かえって「象徴」の機能も果たせなくなるのではありませんか? 「王朝の支配」どころではありません。


▽1 提案者は渡邉允前侍従長

 ところが、不思議にも、「女性宮家」創設を求める声は、皇室の尊厳を守るべき立場の、陛下のお側近くから、もっとも強く聞こえてきます。

 たとえば「週刊朝日」平成23年12月30日号に掲載された、当代随一の皇室ジャーナリストと目される、岩井克己朝日新聞編集委員(当時)による「女性宮家」創設提案の記事に、そのことが端的にうかがえます。

 この号は、表紙には

「天皇、皇后両陛下も嘆く『皇室の危機』 内親王家創設を提案する」

 と大書され、本文は岩井記者による4ページの記事に加え、宮内庁関係者や皇室ジャーナリスト計5人による

「天皇家の不安と雅子さま」

 と題する誌上座談会4ページを載せ、さながら皇室特集号の様相です。

 岩井記者の記事のタイトルは「『内親王家』創設を提案する」ですが、記事を読むと「提案」しているのは、じつは岩井記者本人ではなく、平成の宮中祭祀簡略化の中心人物である渡邉允前侍従長(いまは元職)だということが分かります。陰の主役のご登場です。

 このひと月前に読売が「スクープ」した「宮内庁が『女性宮家』創設を要請」の主語は、羽毛田長官ではなくて、じつは渡邉前侍従長だったのです。となると、側近中の側近が「王朝の支配」に挑戦しようとしているということでしょうか。耳を疑わざるを得ません。

 記事の冒頭、岩井記者は、皇室がさまざまな困難に苛(さいな)まれているなか、平成23年末、浮上したのが「天皇定年制」と「女性宮家創設案」だと指摘します。

「天皇定年制」については、岩井記者は、秋篠宮殿下のご発言の真意を探ったあと、そもそも終身天皇制のもとで定年制の制度化はあり得ず、当面、摂政や国事行為の臨時代行も考えられない。したがって、

「宮内庁は、天皇の公務つまり『公的行為』や祭祀・私的活動などの抜本的見直しに、早急に着手すべきだ」

 と訴えています。

 御公務の抜本的見直しは必要で、宮内庁はすでに何年も前から具体策を講じています。けれども、実際には、御公務の日数は逆に増え、祭祀のお出ましばかりが激減したという経緯があります。

 なぜそうなのか、が順序としてはまず検証されるべきでしょうが、岩井記者の記事には言及がありません。いきなり「内親王家」創設へ飛ぶのです。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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