矛盾する岩井克己朝日新聞記者の記事──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 3 [女性宮家]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月13日)からの転載です
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矛盾する岩井克己朝日新聞記者の記事
──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 3
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論
▽3 矛盾する岩井克己朝日新聞記者の記事

岩井記者の記事は、渡邉允前侍従長(いまでは元職)の文章を引用しつつ、その「私見」について。次のように説明しています。
「私が侍従長としてお仕えしていた期間のほとんどは、皇位継承をめぐる問題がつねに緊迫した課題として存在し続けていました。天皇陛下は、10年以上にわたって、この問題で深刻に悩み続けられました」
「それが現在では、現行の皇室典範の下で、皇太子さま、秋篠宮さま、秋篠宮家の悠仁さまが、次の次の世代まで皇位を継承なさることで落ち着いた状況になっています。私はこの段階では、それでいいのだと思います」
「いずれにせよ我々の世代は、皇位継承の問題について、一端、国論が分裂する事態を招いて、国民皆が納得する結論を得ることに失敗したわけです。従って、この問題は、将来の世代の人たちに、それぞれの時代の状況に応じて対応してもらうことに期待する以外にあり得ないと思っています」
以上の引用のあと、岩井記者は、
「そのうえで、皇室典範の男系男子主義の規定はそのままにして、眞子さま、佳子さま、愛子さまら内親王方が結婚しても新宮家を創設して皇室に残ってもらう『女性宮家』案をあらためて提起している」
と説明しています。この記事を読むと、前侍従長の「女性宮家」創設提案は皇位継承問題と直結しているように見えます。
しかも、岩井記者は、「女性宮家」創設案は前侍従長が数年前から「私案」としてたびたび公言してきたことで、「週刊朝日」誌上の対談(渡邉前侍従長インタビュー「渡邉允前侍従長に聞いた天皇陛下喜寿の胸の内」=同誌平成22年12月31日号)でも表明されてきたと指摘しています。
さらに岩井記者は、
「長くもっとも身近に仕えてきた人だけに、両陛下のお気持ちを忖度しての発言だろう。今回、浮上している女性宮家問題も、こうした脈絡で見るべきだろう」
と付け加えていますが、どうでしょうか?
もしそうだとしたら、前侍従長らが推し進めた祭祀簡略化も「陛下のお気持ちを忖度」したうえでのことになりますが、即位以来、祭り主の伝統を重んじてこられた陛下にとって、それはあり得ないでしょう。
私にはむしろ陛下と側近との意見の相違の方が強く感じられます。
「女性宮家」創設論議についていえば、創設の検討を「陛下のご意向」とすることを羽毛田長官が「強く否定」している、とする岩井記者自身の記事とも矛盾します。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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矛盾する岩井克己朝日新聞記者の記事
──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 3
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論
▽3 矛盾する岩井克己朝日新聞記者の記事

岩井記者の記事は、渡邉允前侍従長(いまでは元職)の文章を引用しつつ、その「私見」について。次のように説明しています。
「私が侍従長としてお仕えしていた期間のほとんどは、皇位継承をめぐる問題がつねに緊迫した課題として存在し続けていました。天皇陛下は、10年以上にわたって、この問題で深刻に悩み続けられました」
「それが現在では、現行の皇室典範の下で、皇太子さま、秋篠宮さま、秋篠宮家の悠仁さまが、次の次の世代まで皇位を継承なさることで落ち着いた状況になっています。私はこの段階では、それでいいのだと思います」
「いずれにせよ我々の世代は、皇位継承の問題について、一端、国論が分裂する事態を招いて、国民皆が納得する結論を得ることに失敗したわけです。従って、この問題は、将来の世代の人たちに、それぞれの時代の状況に応じて対応してもらうことに期待する以外にあり得ないと思っています」
以上の引用のあと、岩井記者は、
「そのうえで、皇室典範の男系男子主義の規定はそのままにして、眞子さま、佳子さま、愛子さまら内親王方が結婚しても新宮家を創設して皇室に残ってもらう『女性宮家』案をあらためて提起している」
と説明しています。この記事を読むと、前侍従長の「女性宮家」創設提案は皇位継承問題と直結しているように見えます。
しかも、岩井記者は、「女性宮家」創設案は前侍従長が数年前から「私案」としてたびたび公言してきたことで、「週刊朝日」誌上の対談(渡邉前侍従長インタビュー「渡邉允前侍従長に聞いた天皇陛下喜寿の胸の内」=同誌平成22年12月31日号)でも表明されてきたと指摘しています。
さらに岩井記者は、
「長くもっとも身近に仕えてきた人だけに、両陛下のお気持ちを忖度しての発言だろう。今回、浮上している女性宮家問題も、こうした脈絡で見るべきだろう」
と付け加えていますが、どうでしょうか?
もしそうだとしたら、前侍従長らが推し進めた祭祀簡略化も「陛下のお気持ちを忖度」したうえでのことになりますが、即位以来、祭り主の伝統を重んじてこられた陛下にとって、それはあり得ないでしょう。
私にはむしろ陛下と側近との意見の相違の方が強く感じられます。
「女性宮家」創設論議についていえば、創設の検討を「陛下のご意向」とすることを羽毛田長官が「強く否定」している、とする岩井記者自身の記事とも矛盾します。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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