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原文はそうなっていない──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 4 [女性宮家]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月14日)からの転載です


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原文はそうなっていない
──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 4
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論


▽4 原文はそうなっていない
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 何より渡邉前侍従長自身、岩井記者による「週刊朝日」のインタビューで、次のように否定しています。

岩井「(女性皇族に結婚後も皇族として残っていただくという案を)長年、陛下にお仕えした前侍従長の渡邉さんがおっしゃるということは、陛下もそうしたお気持ちということなのでしょうか」

渡邉「これは、あくまでも私の個人的な考えです」

「個人的な考え」なればこそ、岩井記者は1年後の記事で「私見」と表現したはずです。「陛下のお気持ち」であろうはずはありません。

 岩井記者の記事は首尾一貫していません。

 これに限らず、岩井記者の資料の読みは、じつに独得です。

 以前、原武史明治学院大学教授が唱える宮中祭祀廃止論を検討したとき、岩井記者が『卜部亮吾侍従日記』(朝日新聞社、平成19年)の解説に

「天皇、皇后に忍び寄る衰え、その『老い』との戦いも記録されている」

 と記し、昭和50年2月の、ある事件以降の祭祀簡略化について解説していることについて、資料の誤読ではないか、と指摘したことがあります。

 岩井記者によれば、祈年祭とよばれる祭典が行われたとき、賢所でタタラを踏まれるような所作をなさったことが、殿内でお倒れになったかのように側近らから受け取られ、昭和天皇の「老い」の現れとみなされて、その後の祭祀簡略化の口実にされた、というように説明されたのですが、実際には、事件の数年前から、すでに祭祀簡略化は始まっていたのでした。明らかに資料の誤読です。

 今回も同様の現象が見られます。

 岩井記者の記事では、渡邉前侍従長が、皇位継承問題について将来の世代への期待を語り、「そのうえで」女性宮家創設案をあらためて提起していることになっています。つまり、皇位継承問題と女性宮家創設案が直線的につながっているように説明されているのですが、前侍従長の原文はそうはなっていないのです。

 岩井記者には皇位継承問題と女性宮家創設は同次元の、連続した問題ですが、前侍従長にとっては「別の次元の問題」なのです。

 前侍従長の著書『天皇家の執事』文庫版の「皇室の将来を考える──文庫版のための後書き」は、先述したように、皇位継承問題を取りあげたあと、

「現在、それとは別の次元の問題として」

 とはっきりと前置きしたうえで、

「急いで検討しなければならない課題」

 として「女性宮家」創設案に話を進めているのです。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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