「男系皇統が終わる」と断言した元最高裁判事──ねじ曲げられた前侍従長の「私見」 6 [女性宮家]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月16日)からの転載です
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「男系皇統が終わる」と断言した元最高裁判事
──ねじ曲げられた渡邉允前侍従長の「私見」 6
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論
▽6 「男系皇統が終わる」と断言した元最高裁判事
しかも有識者会議の報告書は「女性宮家」とは表現されず、渡邉允前侍従長の「私見」も、1年前の「週刊朝日」平成22年12月31日号のインタビュー記事では、
「女性皇族に結婚後も皇族として残っていただき……」
となっていて、「新しい宮家を立てて」(文庫本の「後書き」)とは表現が異なります。
つまり、平成23年10月になって、前侍従長はなぜか急に「宮家」と言い出したのです。唐突感は否めません。
前侍従長の真意はどこにあるのか、そして事実をゆがめて報道する岩井記者の意図は何でしょうか?
前侍従長の提案は陛下の御公務を分担する皇族の確保が目的ですが、岩井記者の記事にはそのことについての説明がまったくありません。
一方で、岩井記者は記事の後半部分で、「宮家」創設と表現すれば、皇位継承問題に結びつくから、「内親王家」の認否と言い換えることを提案しています。
自分で最初に「女性宮家」創設問題を「皇位継承の問題」と明確に位置づけておきながら、またしても議論をねじ曲げようとしているように見えます。
しかし、結局のところ、議論は皇位継承論にもどり、岩井記者の記事は最後に、皇室典範有識者会議の座長代理で、『皇室法概論』の著書もある園部逸夫元最高裁判事に、次のように語らせています。
「夫、子が民間にとどまるというわけにはいかないから、歴史上はじめて、皇統に属さない男子が皇族になる。問題はどういう男性が入ってくるか。
また、その子が天皇になるとしたら男系皇統は終わる。女性宮家は将来の女系天皇につながる可能性があるのは明らか。たくさんの地雷原を避けながら条文化し着地できるかどうか。
(結婚による女子の皇籍離脱を定めた)典範第12条の効力を一時停止する時限立法を妥協で図るのも一案でしょう。皇室会議のほかに皇族会議を設け、天皇陛下の下で相談してもらうのもいいかも知れない」
そのあと園部元判事はいわゆる雅子妃問題に言及しているのですが、これ以上の引用は不要でしょう。妃殿下のご病気は平成11年暮れの岩井記者自身による「懐妊兆候」報道が発端だったはずです。4週目という不安定な時期を十分に配慮しない報道が、流産という悲しむべき結果を招いたことがすべての発端です。
これでは高級紙にあるまじき、マッチ・ポンプということになりかねません。当世随一の皇室ジャーナリストがこれでは、あとは推して知るべしということになりかねません。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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「男系皇統が終わる」と断言した元最高裁判事
──ねじ曲げられた渡邉允前侍従長の「私見」 6
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以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。
第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?
第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論
▽6 「男系皇統が終わる」と断言した元最高裁判事
しかも有識者会議の報告書は「女性宮家」とは表現されず、渡邉允前侍従長の「私見」も、1年前の「週刊朝日」平成22年12月31日号のインタビュー記事では、
「女性皇族に結婚後も皇族として残っていただき……」
となっていて、「新しい宮家を立てて」(文庫本の「後書き」)とは表現が異なります。
つまり、平成23年10月になって、前侍従長はなぜか急に「宮家」と言い出したのです。唐突感は否めません。
前侍従長の真意はどこにあるのか、そして事実をゆがめて報道する岩井記者の意図は何でしょうか?
前侍従長の提案は陛下の御公務を分担する皇族の確保が目的ですが、岩井記者の記事にはそのことについての説明がまったくありません。
一方で、岩井記者は記事の後半部分で、「宮家」創設と表現すれば、皇位継承問題に結びつくから、「内親王家」の認否と言い換えることを提案しています。
自分で最初に「女性宮家」創設問題を「皇位継承の問題」と明確に位置づけておきながら、またしても議論をねじ曲げようとしているように見えます。
しかし、結局のところ、議論は皇位継承論にもどり、岩井記者の記事は最後に、皇室典範有識者会議の座長代理で、『皇室法概論』の著書もある園部逸夫元最高裁判事に、次のように語らせています。
「夫、子が民間にとどまるというわけにはいかないから、歴史上はじめて、皇統に属さない男子が皇族になる。問題はどういう男性が入ってくるか。
また、その子が天皇になるとしたら男系皇統は終わる。女性宮家は将来の女系天皇につながる可能性があるのは明らか。たくさんの地雷原を避けながら条文化し着地できるかどうか。
(結婚による女子の皇籍離脱を定めた)典範第12条の効力を一時停止する時限立法を妥協で図るのも一案でしょう。皇室会議のほかに皇族会議を設け、天皇陛下の下で相談してもらうのもいいかも知れない」
そのあと園部元判事はいわゆる雅子妃問題に言及しているのですが、これ以上の引用は不要でしょう。妃殿下のご病気は平成11年暮れの岩井記者自身による「懐妊兆候」報道が発端だったはずです。4週目という不安定な時期を十分に配慮しない報道が、流産という悲しむべき結果を招いたことがすべての発端です。
これでは高級紙にあるまじき、マッチ・ポンプということになりかねません。当世随一の皇室ジャーナリストがこれでは、あとは推して知るべしということになりかねません。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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