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前侍従長と瓜二つ、園部元最高裁判事の論理 ──ねじ曲げられた渡邉前侍従長の「私見」 8 [女性宮家創設論]

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前侍従長と瓜二つ、園部元最高裁判事の論理
──ねじ曲げられた渡邉前侍従長の「私見」 8
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第3節 ねじ曲げられた前侍従長の「私見」──岩井克己朝日新聞記者の「内親王家」創設論


▽8 前侍従長と瓜二つ、園部元最高裁判事の論理
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 渡邉前侍従長(いまは元職)は何度も繰り返し、「女性宮家」創設が皇位継承問題では「別の次元」であることを強調しています。

 けれども、前侍従長の「棚上げ論」はむしろ、男系女系論争を封じた上で女性天皇・女系継承容認化を進める、じつに賢い高等戦術のように見えます。であればこそ、羽毛田長官も趣旨が違うのに、まっ向から異を唱えることはしないのでしょう。

 それどころか、前侍従長の「女性宮家」創設提案は、内容が明確にされないまま、急速に実現されそうな勢いでした。

 報道によれば、野田政権は平成24年1月6日付で園部逸夫・元最高裁判事を「女性宮家」検討担当の内閣官房参与に起用し、2月から有識者の意見聴取を始め、皇室典範改正案の素案作りを進める方針と伝えられました。園部氏は、かつての皇室典範有識者会議の座長代理であり、

「女性宮家の創設を唱えている」

 といわれていました。もともとは行政法が専門ですが、『皇室法概論──皇室制度の法理と運用』(2002年)という著書もあります。

 園部氏は「選択」平成24年1月号の巻頭インタビューで、次のように語っています。

「『女性宮家創設』の問題を議論すると、すぐに女性天皇、女系天皇の是非について議論が飛び火してしまうが、今はそれほど神経質になる必要はない。悠仁親王殿下がお生まれになって状況は変わった。問題は、このままでは確実に皇族が減っていく、ということだ。男系男子で皇統を継いでいければ伝統にかなうことになるが、それが現実的に可能かどうかを多角的に考える必要がある。議論の最初から女性天皇、女系天皇の議論と結びつけてすべて否定してしまえば、皇族の現象により皇室そのものが消滅しかねない」

「皇室は天皇陛下を中心にご一家が一体となって国や国民のために多くの活動をなさっている。そうしたご活動を通じて皇室と国民とのつながりが維持され日本がまとまっている。この大切な皇室の存続をまず考えるべきだ」

「いわゆる男系女系論争はもはや神学論争の域に達しており、どちらかで国論を統一することなど現時点では不可能に近い。皇室の存続こそが第一とするならば、今は女性天皇、女系天皇の是非論は横に置いて、まずは新たな宮家を創設し、皇族を増やすことが先決ではないか。それこそが皇統を維持する上での大前提だ。男系女系論争は、将来の状況変化に対応し、その時点で考えられる現実的な制度をとれるようにするために、結論を未来の知恵に託すというのも選択肢ではないだろうか」

「今は現に皇室にいらっしゃる方々のことを真剣に考え、皇室存続のため優先すべき制度改正にまず取り組むべきだ。そしてさらに、将来、女性天皇、女系天皇を戴くのか、あるいは旧皇族に復帰願うのか、現実的かつ具体的に議論すべきだ。神学論争に決着がつく前に皇室の存続を危うくなってはならない」

 皇族が減っていく、皇室のご活動の確保が必要だ、男系女系論争は棚上げにする──どこかで聞いた論理ではありませんか。そうです、前侍従長と瓜二つなのです。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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