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「2つの柱」は1つ ──「女性宮家」創設の本当の提案理由 4 [女性宮家創設論]


以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年5月28日)からの転載です


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「2つの柱」は1つ
──「女性宮家」創設の本当の提案理由 4
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 以下は、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋、転載です。一部に加筆修正があります。


第1章 いつ、だれが、何のために言い出したのか?

第5節 「女性宮家」創設の本当の提案理由──政府関係者はきちんと説明すべきだ

▽4 「2つの柱」は1つ
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 森暢平氏の記事によれば、「女性宮家」とは「女性天皇」と同じなのでした。

「女性天皇を認めた場合、一般の女性皇族にも皇位継承権があり、基本的には結婚しても皇室に残ることになる。つまり、必然的に女性宮家が認められる。いわば、女性天皇と女性宮家は表裏の関係で、検討案の『2つの柱』は、突き詰めると1つと見なせる」

 つまり、何のことはありません、まさに女性天皇・女系継承容認と一体のかたちで、「女性宮家」創設論は生まれたのです。

「象徴天皇制度」を安定的に継続させるには、女性天皇・女系継承を認める必要がある。したがって女性皇族にも皇位継承権が認められ、結婚しても皇室に残る。そのため「女性宮家」が必然的に認められる、という論理です。

 確かに現行憲法が規定するように、天皇は、主権の存する国民の総意に基づいて、国と国民統合の象徴という地位にあり、内閣総理大臣や最高裁長官の任命、憲法改正や法律、政令などの公布、国会の召集など、国事行為のみを行う一国家機関であるならば、機関の安定性を確保するには、純粋な論理だけでいえば、男子でも、女子でもかまいません。

「世襲」とはただ血がつながっていればいいというのなら、男系でも女系でもかまわない。「1.5代」象徴天皇論者たちの論理は、じつに単純です。

 現行憲法を議論の出発点とするなら、女性天皇のみならず、過去の歴史にない女系継承は容認されるべきであり、したがって、過去に例のない「女性宮家」も認められるべきであるという論理の展開になります。現行憲法を最優先する、新たな「象徴天皇制度」の下での「皇統の備え」です。

 こうした考え方はいつ生まれたのでしょうか。

 森氏の記事とは別に、皇位継承論議に詳しい産経新聞の阿比留瑠偉記者によれば、平成8年に宮内庁内で皇位継承制度にかかわる基礎資料の作成が始まったことが、独自に入手した極秘文書によって分かるといいます(「女性・女系天皇、『容認』2年前に方針、政府極秘文書で判明」=「産経新聞」平成18年2月17日など)。

 翌9年4月から12年3月まで、内閣官房が加わった非公式の「特別研究会」が2期に分かれて設置され、第1期メンバーには、工藤敦夫元内閣法制局長官、古川貞二郎内閣官房副長官(当時)、大森政輔内閣法制局長官(同)らのほか、元宮内庁幹部らが名を連ねています。

 第2期研究会には、やはり小泉内閣時代に皇室典範有識者会議の委員(副座長)となり、野田内閣時代に「女性宮家」検討担当内閣官房参与を務めることになる、園部逸夫元最高裁判事が加わりました。

 研究会は12年3月にいったん閉じますが、宮内庁内では資料の作成、整理が続けられました。

 森氏の記事はちょうどこの段階で書かれています。

 かつて自民党総裁選の公開討論で、

「女性が天皇になるのは悪くない。皇室典範はいつ改正してもいい。必ずしも男子直系にはこだわらない」

 と発言した小泉内閣の時代でした。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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