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25年間で対象者が大幅に拡大された「お茶・茶会」 ──ご公務ご負担軽減を検討しなかった有識者会議? 3 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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25年間で対象者が大幅に拡大された「お茶・茶会」
──ご公務ご負担軽減を検討しなかった有識者会議? 3
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 陛下のご公務ご負担について、分析を続けます。

 前回は、平成3年、今上陛下57歳時の「お茶・茶会」24件について、対象者によって、〈1〉認証官、〈2〉帰朝大使夫妻、〈3〉外国大使夫妻、〈4〉外国要人、〈5〉国内学術・芸術功労者、〈6〉外国ご訪問関連、〈7〉その他、に分類できることを指摘しました。

 今回は、平成27年、陛下82歳時の「お茶・茶会」です。有識者会議最終報告の参考資料では平成27年の「お茶・茶会」は57件ですが、宮内庁HP上に公表されている「ご日程」では53件です。

 何が増えているのでしょうか。

御活動の概況と推移.png


▽1 退官認証官と外国ご訪問関連以外は軒並み増える

〈1〉退官認証官 計2件(3年は4件)
 お茶(退職認証官)(御所) 2件[7月23日(木)天皇陛下。7月31日(金)天皇陛下。]

 退官認証官の「お茶」は、平成3年には4件ありましたが、2件に減りました。

 3年には宮殿で行われていましたが、27年にはお住まいの御所で行われるようになりました。2週続けての「お茶」ですが、広い部屋のある宮殿なら1度に済まされ、ご負担が軽減されるかも知れません。

〈2〉赴任・帰朝大使夫妻 計17件(3年は帰朝大使夫妻のみで、3件)
1 お茶(帰朝大使夫妻)(御所) 計10件[1月27日(火)天皇皇后両陛下(ミクロネシア兼マーシャル,ドミニカ共和国兼ハイチ,ミャンマー,ジンバブエ)。2月3日(火)天皇皇后両陛下(ペルー,スペイン,スーダン,イスラエル)。2月23日(月)天皇皇后両陛下(ウィーン国際機関日本政府代表部,モザンビーク,エジプト,ボツワナ)。7月2日(木)天皇皇后両陛下(パプアニューギニア兼ソロモン,バチカン,イタリア兼アルバニア兼サンマリノ兼マルタ,欧州連合日本政府代表部)。7月13日(月)天皇皇后両陛下(ベルギー,フィリピン,チリ,東ティモール)。8月6日(木)天皇皇后両陛下(ノルウェー兼アイスランド,リビア,コートジボワール兼トーゴ兼ニジェール,アルジェリア)。8月17日(月)天皇皇后両陛下(インドネシア,ウクライナ兼モルドバ,メキシコ,サウジアラビア)。8月19日(水)天皇皇后両陛下(タンザニア,ガボン兼サントメ・プリンシペ兼赤道ギニア,南アフリカ兼ナミビア兼スワジランド兼レソト,アンゴラ)。9月4日(金)天皇皇后両陛下(ナイジェリア,アラブ首長国連邦,カメルーン兼中央アフリカ兼チャ���鼻ぅ肇鵐♤法�9月7日(月)天皇皇后両陛下(ハンガリー,ジャマイカ兼ベリーズ兼バハマ,オーストラリア,ボスニア・ヘルツェゴビナ)。]

2 お茶(赴任大使夫妻)(御所) 計7件[8月5日(水)天皇皇后両陛下(マーシャル,ルワンダ,チュニジア,リトアニア)(チュニジア大使からは併せて前任地のイラクからの帰国報告をご聴取)。9月16日(水)天皇皇后両陛下(コロンビア,スロベニア,ルーマニア)。10月6日(火)天皇皇后両陛下(ギニア,スウェーデン,イラク)。11月13日(金)天皇皇后両陛下(ラトビア,オマーン,エクアドル)。11月20日(金)天皇皇后両陛下(インド,キューバ,ラオス)。12月7日(月)天皇皇后両陛下(ボリビア,ドイツ,エストニア,アイルランド)(ドイツ大使からは併せて前任地のインド兼ブータンからの帰国報告をご聴取)](御所)。12月11日(金)天皇皇后両陛下(在ジュネーブ国際機関日本政府代表部,ロシア,イスラエル)(御所)]

 平成3年時は帰朝大使夫妻のお茶は宮殿で行われていましたが、27年にはお住まいの御所で行われるようになりました。御所なら、宮殿まで移動する必要はありませんから、その分、ご負担は軽くなります。

 しかし、集まれる人数は限られるでしょう。3年も27年もだいたい4人の大使が対象とされ、27年8、9月にはわずか数日後に「お茶」が繰り返されています。宮殿で10人の大使を対象とすれば件数は減るはずです。

 また、27年には帰朝大使のみならず、赴任大使についても「お茶」が行われるようになりましたから、それだけご負担は倍加したことになります。

 3(1991)年当時、166か国だった国連加盟国数は、27(2015)年には193か国と、16%増えていますから、単純計算で、ご公務件数は2.33倍に増えることになります。ご負担軽減に逆行する状況がなぜ生まれたのでしょうか。

〈3〉新任外国大使夫妻 計9件(3年は4件)
 お茶(新任外国大使夫妻)(御所) 計9件[1月26日(月)天皇皇后両陛下(エストニア,スウェーデン,マケドニア旧ユーゴスラビア共和国)。1月30日(金)天皇皇后両陛下(欧州連合代表部,ケニア,セネガル)。6月9日(火)天皇皇后両陛下(マレーシア,ギリシャ,パナマ)。7月7日(火)天皇皇后両陛下(アルジェリア,タイ,エジプト)。7月30日(木)天皇皇后両陛下(メキシコ,サモア,サウジアラビア)。8月21日(金)天皇皇后両陛下(タンザニア,コスタリカ,ベトナム)。11月4日(水)天皇皇后両陛下(スーダン,カンボジア,デンマーク)。11月18日(水)天皇皇后両陛下(ザンビア,ルワンダ,グアテマラ)。12月2日(水)天皇皇后両陛下(ベルギー,ミャンマー,スリランカ)](御所)。]

 新任外国大使夫妻の「お茶」は、3年時は宮殿で、4件、行われていましたが、27年は御所で行われるようになり、件数も2倍以上に増えました。

 月1回に抑制すれば、6件に減らせます。

〈4〉外国要人 計8件(3年は3件)
1 お茶(ペーター・マウラー 赤十字国際委員会総裁)(御所) 1件[2月12日(木)天皇皇后両陛下]
2 お茶(ウィリアム・ジェファソン・クリントン元アメリカ合衆国大統領)(御所) 1件[3月18日(水)天皇皇后両陛下]
3 お茶(アメリカ合衆国大統領夫人)(御所) 1件[3月19日(木) 天皇皇后両陛下]
4 お茶(ジョージ・良一・アリヨシ 元ハワイ州知事夫妻)(御所) 1件[5月12日(火)天皇皇后両陛下]
5 茶会(第7回太平洋・島サミット首脳会議に出席する各国首脳夫妻等(21名))(宮殿) 1件[5月21日(木)天皇皇后両陛下]
6 茶会(第7回日本・メコン地域諸国首脳会議に出席する各国首脳等)(宮殿) 1件[7月3日(金)天皇陛下]
7 お茶(エドゥアルド・フレイ・ルイス=タグレ元チリ大統領夫妻)(御所) 1件[10月6日(火)天皇皇后両陛下]
8 お茶(ダニエル・エルナンデス・ルイペレス サラマンカ大学学長他)(御所) 1件[11月5日(木)天皇皇后両陛下]

 憲法は、外国大使・公使の接受以外、外交上の権能を天皇に認めていませんが、実際は国際親善を名目に国連機関代表者や元元首、王族などとの「お茶」が行われています。

 3年は3件でしたが、27年には2倍以上に増えました。

 首脳会議が頻繁に行われる時代となり、出席者の「茶会」が設定されることになったこと、対象者が文化人にまで拡大されたこと、などがその要因でしょうか。

〈5〉国内学術・芸術功労者 計8件(3年は6件)
1 お茶(日本学士院第一部長始め学士院第一部会員)(御所) 1件[1月29日(木)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は7月9日に行われた
2 お茶(日本学士院第二部長始め学士院第二部会員)(御所) 1件[2月26日(木)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は行われていない。一部だけでなく、二部にも広がった
3 お茶(日本芸術院第一部長始め芸術院第一部会員)(御所) 2件[4月22日(水)天皇皇后両陛下。10月21日(水)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は年1回だったが、春秋2回行われるようになった
4 茶会(日本学士院賞本年度受賞者及び新会員等)(宮殿) 1件[6月1日(月)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は「お茶」だった
5 茶会(日本芸術院賞平成26年度受賞者及び新会員等)(宮殿) 1件[6月22日(月)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は「お茶」だった
6 茶会(文化勲章受章者及び文化功労者等)(宮殿) 1件[11月4日(水)天皇皇后両陛下] 注、平成3年は「お茶」だった
7 お茶(新認定重要無形文化財保持者夫妻)(宮殿) 1件[12月1日(火)天皇皇后両陛下]

 平成3年には学術・芸術功労者の「お茶」は6件でしたが、対象者が拡大されただけでなく、いくつかは宮殿での「茶会」に変わりました。

 芸術院第一部会員の「お茶」が2回行われているのはなぜでしょうか。

〈6〉外国ご訪問関連 計2件(3年は3件)
1 茶会(パラオご訪問尽力者)(宮殿) 1件[6月29日(月)天皇皇后両陛下] 注、陛下は27年4月、パラオを訪問され、戦没者を慰霊された
2 お茶(政策研究大学院大学学長,政策研究大学院大学特別教授及び東北大学大学院医学系研究科教授(フィリピンご訪問につき,本年6月同国大統領閣下ご来日[国賓]宮中晩餐に招かれた日比関係尽力者とのご懇談))(御所) 1件[11月4日(水)天皇皇后両陛下] 注、陛下は28年1月、皇后陛下とともにフィリピンを訪問された

 憲法は外交大使・公使の接受を除いて、天皇には外交上の権能はありませんが、外国ご訪問の機会が昭和の時代と比較して格段に増えました。

 けれども、3年は外国ご訪問の首席随員や関係国の友好親善団体役員との「お茶」がありましたが、27年には行われませんでした。

〈7〉その他 計7件(3年は1件)
1 お茶(新旧警察庁長官)(御所) 1件[3月5日(木)天皇皇后両陛下]
2 お茶(歌会始詠進歌選者)(御所) 1件[3月6日(金)天皇皇后両陛下]
3 茶会(元長官,元参与,元側近奉仕者,元御用掛,松栄会会員等)(宮殿) 1件[10月20日(火)皇后陛下お誕生日。天皇皇后両陛下]
4 茶会(ご進講者等ご関係者)(御所) 1件[10月20日(火)皇后陛下お誕生日。天皇皇后両陛下]
○ お茶(平成27年度「ねむの木賞」受賞者(4名))(御所) 1件[11月9日(月)皇后陛下]
5 茶会(燈光会会員(燈光会創立100周年に当たり))(宮殿) 1件[12月3日(木)天皇皇后両陛下] 注、燈光会は大正4年に設立された、航路標識つまり灯台に関する集まりらしい。
6 茶会(元長官,元参与,元側近奉仕者,元御用掛,松栄会会員等)(宮殿) 1件[12月23日(水)天皇陛下お誕生日。天皇皇后両陛下]
7 茶会(ご進講者等ご関係者)(御所) 1件[12月23日(水)天皇陛下お誕生日。天皇皇后両陛下]

 皇后陛下お誕生日、天皇陛下お誕生日に元職員たち、御進講関係者の「茶会」が行われることは平成3年にもあったと思われますが、宮内庁HPの「ご日程」には記載がありませんでした。

 3年は衆参両院の役員との「拝謁・お茶」が行われただけでしたが、27年には対象者が増えました。また、3年には皇后陛下のみの「お茶」はありませんでしたが、新たに設けられるようになりました。


▽2 退位問題に走らなくても軽減できるご負担

 以上、総評すると、御在位20年のあと、宮内庁はご公務ご負担軽減策を打ち出したはずですが、実際にはご公務の件数は逆に増えました。とくにここで検証した「お茶・茶会」にそのことがはっきり読み取れます。

 ただ、ご負担軽減策の効果がなかったのかどうかは、3年と27年との比較だけでは分かりません。

 陛下の「お気持ち」を受けて、有識者会議は軽減等について検討したことになっていますが、結局、退位問題に終始しました。なぜ具体的にご公務のあり方を検討しなかったのでしょうか。

「退位」以外に、ご公務を整理し直すことで、少なくとも「お茶・茶会」については軽減を図ることができるのではないかと思われます。

 それとも、陛下は「全身全霊」で、ご公務に務められたのであり、国民もこれを支持しているのだから、軽減を図るくらいなら、退位の方が望ましいという結論になるのでしょうか。私には大袈裟すぎるような気がします。

 次回は、ご負担軽減が始まったご在位20年前後の「お茶・茶会」について、分析してみたい。ご公務が拡大した時期をより明確化し、ご負担軽減策の効果の有無を検証したいからです。


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