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立憲君主の役割と意義 ──なぜレーヴェンシュタインを引用するのか 1 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年6月22日)からの転載です
http://melma.com/backnumber_170937/


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立憲君主の役割と意義
──なぜレーヴェンシュタインを引用するのか 1
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 やむにやまれぬ思いから、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを1人で始めました。できましたら、ご協力をお願いします。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

 それと先般、チャンネル桜で、「女性宮家」創設についての討論会に参加しました。どうぞご覧ください。国民的関心の高さからか、YouTubeでは試聴回数が3万5千回を超えているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZsI0wpXNppQ&t=209s

 さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第2章 有識者ヒアリングおよび「論点整理」を読む

第4節 なぜレーヴェンシュタインを引用するのか──市村眞一京大名誉教授の賛成論


▽1 立憲君主の役割と意義
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 次に、平成24年4月23日に行われた、市村眞一京大名誉教授(経済学)のヒアリングです。

 市村先生は、現代を代表する、そして私がもっとも尊敬する碩学です。ベストセラー『現代をどうとらえるか──イデオロギーを超えて』(1970年)からは、多くの知的刺激を受けました。

 けれども、今回のヒアリングは意外でした。賛成論をお述べになったというだけではありません。ご専門の経済学の枠をはるかに超えて、古今東西の文献に通じ、ずば抜けて幅広い学識を有する市村先生の皇室論は、予想に反して観念的で、抽象論にとどまっているという印象を免れませんでした。

 市村先生の所見は、政府側の6つの質問項目に沿って述べられています。

 まず、皇室の御活動の意義について、ですが、市村先生は、比較憲法学の大家とされるカール・レーヴェンシュタインの『君主制』を引用し、

(1)国家と国民統合を象徴的に具現する
(2)政治家の権力欲を抑制する
(3)外交の連続性を保つ
(4)(軍、行政府、司法、議会間の)政治的調整力として働く
(5)官僚制の効率の基盤となる
(6)軍とくに将校団の忠誠心の支柱となる

 という立憲君主制下の君主・王族の持つ、6つの役割と意義を紹介したうえで、現行憲法下で、両陛下や皇族方がこの役割を立派に果たされていること、その基盤には国民との相互的な信頼関係、国民の敬仰の念があることを、指摘しています。

 市村先生は、皇室と国民とのみごとな相互関係が歴代天皇、今上陛下のご努力の結果であり、すなわち、天皇の祭祀、国事行為、公式行事へのお出まし、さらに皇族方の御活動が国民の敬仰・信頼の根源であると解説しています。

 そのうえで、今後、宮家というものがなくなると皇室の御活動がだんだん困難になり、立憲君主制の根幹が揺らぐ、したがって、制度的に一定数の宮家を確保できるよう、典範を緊急改正する必要があることは明らかだと述べ、政府の「女性宮家」創設に賛意を表明する同時に、中期的対策のための調査会を設置することを提言しています。

 市村先生はこのほか、皇室の御活動維持のために、すでに臣籍降下(皇籍離脱)された皇族方、これから臣籍降下される皇族方が、必要に応じて、内親王・女王の称号を保持できるようにする典範改正が望ましいと語ります。

 その反面、占領期に臣籍降下された元皇族の復帰は緊急には認められるべきではないと主張し、また、明治天皇と昭和天皇の内親王が降嫁された朝香宮家、東久邇宮、竹田宮家、北白川宮家の4宮家を復活させることが妥当か否かについて問題点を指摘しています。

 さらに、慎重で、専門的、かつ真剣な、そしてセンセーショナルではない議論の必要性を求めています。

 このように市村先生は、政府の「女性宮家」創設論と同様に、皇室の御活動の維持、さらに皇室の規模の維持という観点から、内親王・女王を当主とする宮家の創設を、皇室典範の改正によって実現することに賛成しているのですが、現行典範の長期展望の欠落という欠陥を指摘し、さらに皇統論にまで発展させています。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
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