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戦後も続いてきた祭祀の伝統 ──なぜ有識者に意見を求めるのか? 1 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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戦後も続いてきた祭祀の伝統
──なぜ有識者に意見を求めるのか? 1
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 私は運動家ではありませんが、やむにやまれぬ思いから、組織も資金もないなか、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、1人で始めました。現状では悪しき先例がそのまま踏襲されるに違いありません。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を心から求めます。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

 さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走

第1節 なぜ有識者に意見を求めるのか?──依命通牒の「破棄」


▽1 戦後も続いてきた祭祀の伝統
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 政府はなぜ、皇室の制度に関することについて、有識者ヒアリングを実施し、意見を求めるという手法を採ったのでしょうか?

 皇室の制度に関連して、政府が有識者に参考意見を求め、ものごとを決めた最初のケースは、私の知るところ、昭和天皇の崩御のあと、御代替わりの諸行事について、だったかと思います。政府の準備委員会で、15人の参考人が意見を述べています。

 すでに述べたように、当時のキーパーソンの1人である石原信雄内閣官房副長官によれば、当時の最大の懸案事項は大嘗祭で、「行うか行わないかが大問題になった」(『官邸2668日─政策決定の舞台裏』平成7年)のでした。

 そこで石原氏は、海部総理や森山眞弓官房長官とも相談し、賛成・反対の、各方面の意見を聞くことにしました。意見は十分に言ってもらい、

「最後は政府の責任でやらせてもらう」

 という姿勢で、議論を収めたのでした。

 それなら、なぜ「各方面の意見を聞く」ことになったのでしょうか?

 それは、政府関係者は説明していませんが、125代にわたって皇室に伝わってきた、御代替わりの諸儀礼の伝統を重んずべき法的基準が、昭和の時代に、昭和天皇の側近たちの一方的判断によって、失われていたからでしょう。

 皇室に関する諸制度が大きく変わった歴史的転換点は、70年前の敗戦・占領であると一般には考えられています。GHQによって皇室制度が一変させられたという理解です。

 たしかに憲法は変わり、皇室典範も変わり、皇室令は廃止されましたが、占領軍によって皇室の伝統すべてが一変させられたというわけではありません。

 というのは、昭和22年5月3日の新憲法施行とともに、宮内府長官官房文書課長高尾亮一名による各部局長官宛の依命通牒(皇室令及び付属法令廃止に伴い事務取扱に関する通牒)が発せられ、これによって、

「従前の規定が廃止となり、新しい規定ができていないものは、従前の例に準じて事務を処理すること」(第3項)

 とされ、宮中祭祀など皇室の歴史と伝統が、辛うじてではあるにしても、新憲法施行後の占領下でもずっと生きていたからです。

 22年5月3日に現行皇室典範が日本国憲法とともに施行され、その前日に皇室令は廃止されましたが、皇室の伝統はほとんどそのまま維持されたのです。

 このときの依命通牒の起案書が残されています。

 起案書は、赤線に縁取られた、宮内府のさらに前身である宮内省の事務用箋、B4判、3枚に、毛筆でしたためられています。もちろん縦書きです。

 1枚目の欄外には「文議第二号」とあり、同じく欄外に「御覧済」の朱印が押され、付箋でしょうか、「御覧モノ」と墨字で書いた紙が付されているようです。昭和天皇が起案書を御覧になったということでしょう。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります

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