「廃止の手続きを取っていない」──なぜ有識者に意見を求めるのか? 5 [女性宮家創設論]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「廃止の手続きを取っていない」
──なぜ有識者に意見を求めるのか? 5
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は運動家ではありませんが、わが国の現状と行く末を憂い、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、1人で始めました。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を切に求めます。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉
さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走
第1節 なぜ有識者に意見を求めるのか?──依命通牒の「破棄」
▽5 「廃止の手続きを取っていない」

じつをいうと、矛盾するようですが、依命通牒はいまも生きています。
「(依命通牒の)廃止の手続は取っておりません」
と宮内庁次長が国会で答弁しています。そして、この発言が重要なのです。
それは平成3年4月25日の参院内閣委員会でのことでした。
この日の議題は政府が提出した行政事務に関する国と地方の関係等の整理及び合理化に関する法律案で、午後、質問に立った共産党の吉岡吉典議員は、廃止が提案された許可認可等臨時措置法を取り上げ、かつて東条内閣の時代に戦時立法された大東亜戦争完遂のための法律がなぜいままで続いてきたのか、などと政府を追及したのでした。
そのうえで、
「戦後、当時の日本の政府、これがいかに戦前の体制を温存しようとしてあらゆる努力をしたかということの証拠文献というのはたくさん出ている」
「何とかしてそういうものを温存しようということのあらわれだと私が思う一つの事実がある」
と前置きしたうえで取り上げたのが、昭和22年5月の依命通牒でした。
吉岡議員はこう問い質します。
「旧皇室令は廃止されたけれども、かわりの法令ができていないものは旧法令に従え。これは旧法令は実質上生きていることと同じことになるわけです。廃止された法律が生きているのと同じような通牒が堂々と出されているというのは、私にはこれも解せないことなんです。
宮内庁、この通牒があることはもう紛れもない事実ですからお認めにならざるを得ないと思いますが、この通牒は今は効力はどういうふうになっていますか?」
宮内庁の宮尾盤次長が、政府委員として答弁に立ちました。
「今、御質問がありました、これ(依命通牒)が効力を持っているか、こういうお尋ねでございますが、この通牒は、皇室令がいわゆる新憲法の施行とともに効力を失った当時におきまして、宮内庁、当時は宮内府と言っておりましたが、その宮内府内部における当面の事務処理についてのいわゆる考え方を示したものでありまして、これは法律あるいは政令、規則というようなものではございません。そういう考え方を示したものでありますが、その後現在まで廃止の手続はとっておりません」
宮尾次長の答弁からは、
(1)依命通牒は新憲法施行当時の宮内府内部の文書であること
(2)廃止の手続きは取られていないので、文書はいまも生きていること
の2点が読み取れます。
吉岡議員は依命通牒が廃止されていないことに強く反応し、今度は法制局に矛先を向け、
「私は古いものを残していこうという心理的な状況があらわれているというふうに考えざるを得ません」
「戦後、憲法を改正して主権者がかわったんです。主権者が天皇から国民にかわるほど、これほど大きい憲法の改正が行われた今、太政官布告だ、勅令だ、朕だ、帝国議会だと、こういう法律は内容も、同時に形式も私は検討に値するものだと思います。…(中略)…
新しい憲法に則して法律の形式、内容とも整備していくことが当然のことであり、戦後新憲法が制定された当時からこういう作業は開始していくのが本来の新しい憲法のもとでの平和国家、民主国家だと言っている日本にふさわしい法律のあり方じゃないかと思います」
と熱弁を振るいました。天皇の存在を「戦前の君主絶対の名残」「民主主義の時代には合わない時代錯誤」(『新日本共産党宣言』)と決めつけ、「戦後民主主義」の旗手を自任する、いかにも共産党議員ならではの主張です。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「廃止の手続きを取っていない」
──なぜ有識者に意見を求めるのか? 5
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は運動家ではありませんが、わが国の現状と行く末を憂い、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンを、1人で始めました。このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を切に求めます。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉
さて、以下、拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第3章 伝統を拒絶する官僚たちの暴走
第1節 なぜ有識者に意見を求めるのか?──依命通牒の「破棄」
▽5 「廃止の手続きを取っていない」

じつをいうと、矛盾するようですが、依命通牒はいまも生きています。
「(依命通牒の)廃止の手続は取っておりません」
と宮内庁次長が国会で答弁しています。そして、この発言が重要なのです。
それは平成3年4月25日の参院内閣委員会でのことでした。
この日の議題は政府が提出した行政事務に関する国と地方の関係等の整理及び合理化に関する法律案で、午後、質問に立った共産党の吉岡吉典議員は、廃止が提案された許可認可等臨時措置法を取り上げ、かつて東条内閣の時代に戦時立法された大東亜戦争完遂のための法律がなぜいままで続いてきたのか、などと政府を追及したのでした。
そのうえで、
「戦後、当時の日本の政府、これがいかに戦前の体制を温存しようとしてあらゆる努力をしたかということの証拠文献というのはたくさん出ている」
「何とかしてそういうものを温存しようということのあらわれだと私が思う一つの事実がある」
と前置きしたうえで取り上げたのが、昭和22年5月の依命通牒でした。
吉岡議員はこう問い質します。
「旧皇室令は廃止されたけれども、かわりの法令ができていないものは旧法令に従え。これは旧法令は実質上生きていることと同じことになるわけです。廃止された法律が生きているのと同じような通牒が堂々と出されているというのは、私にはこれも解せないことなんです。
宮内庁、この通牒があることはもう紛れもない事実ですからお認めにならざるを得ないと思いますが、この通牒は今は効力はどういうふうになっていますか?」
宮内庁の宮尾盤次長が、政府委員として答弁に立ちました。
「今、御質問がありました、これ(依命通牒)が効力を持っているか、こういうお尋ねでございますが、この通牒は、皇室令がいわゆる新憲法の施行とともに効力を失った当時におきまして、宮内庁、当時は宮内府と言っておりましたが、その宮内府内部における当面の事務処理についてのいわゆる考え方を示したものでありまして、これは法律あるいは政令、規則というようなものではございません。そういう考え方を示したものでありますが、その後現在まで廃止の手続はとっておりません」
宮尾次長の答弁からは、
(1)依命通牒は新憲法施行当時の宮内府内部の文書であること
(2)廃止の手続きは取られていないので、文書はいまも生きていること
の2点が読み取れます。
吉岡議員は依命通牒が廃止されていないことに強く反応し、今度は法制局に矛先を向け、
「私は古いものを残していこうという心理的な状況があらわれているというふうに考えざるを得ません」
「戦後、憲法を改正して主権者がかわったんです。主権者が天皇から国民にかわるほど、これほど大きい憲法の改正が行われた今、太政官布告だ、勅令だ、朕だ、帝国議会だと、こういう法律は内容も、同時に形式も私は検討に値するものだと思います。…(中略)…
新しい憲法に則して法律の形式、内容とも整備していくことが当然のことであり、戦後新憲法が制定された当時からこういう作業は開始していくのが本来の新しい憲法のもとでの平和国家、民主国家だと言っている日本にふさわしい法律のあり方じゃないかと思います」
と熱弁を振るいました。天皇の存在を「戦前の君主絶対の名残」「民主主義の時代には合わない時代錯誤」(『新日本共産党宣言』)と決めつけ、「戦後民主主義」の旗手を自任する、いかにも共産党議員ならではの主張です。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
コメント 0