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「双方に死者は出たか?」 ──憲法理論は法廷闘争の方便か 3 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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「双方に死者は出たか?」
──憲法理論は法廷闘争の方便か 3
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える

第7節 憲法理論は法廷闘争の方便か


▽3 「双方に死者は出たか?」

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 大学時代のサークルの先輩に、危機管理の専門家として知られる佐々淳行初代内閣安全保障室長がいます。

 佐々さんは昭和44年の東大安田講堂事件の警備を指揮し、そのときの体験を『東大落城──安田講堂攻防七十二時間』に記録しています。

 私が興味を持ったのは、昭和天皇のエピソードです。

──安田講堂の攻防が決着したあと、秦野章警視総監が内奏のため参内した。昭和天皇から御嘉賞のお言葉があれば、機動隊員の士気昂揚につながると期待されたが、帰庁した秦野氏はけげんそうな表情を浮かべていた。
「天皇陛下ってえのはオレたちとちょっと違うんだよなァ。……『双方に死者は出たか?』と御下問があった。幸い双方に死者はございませんとお答えしたら、たいへんお喜びでな、『ああ、それは何よりであった』と仰せなんだ」

 これを、加藤雅信名古屋大学教授(当時。民法)は『天皇−昭和から平成へ。歴史の舞台はめぐる(日本社会入門1)』のなかで、昭和天皇はすべての国民を赤子(せきし)ととらえ、機動隊と学生の攻防をまるで自分の息子の兄弟ゲンカのように見ておられた、というように解説していますが、同感です。大学闘争の闘士もまた天皇の赤子なのです。

 すべての民のために、公正かつ無私なる祈りを捧げてこられたのが、天皇です。たとえ刃向かうものであろうと、一様に祈りを捧げるのが天皇です。「天皇無敵」です。

 日本列島には古来、さまざまな民がおり、さまざまな暮らしがあります。さまざまな神がいます。天皇は、稲作民の米と畑作民の粟を、皇祖神のみならず天神地祇に捧げ、国民統合の祈りを捧げられます。古代においては仏教の守護者となり、近代以降はキリスト教の社会事業を支援する最大のパトロンでした。

 既述したように、昭和7年に上智大学生靖国神社参拝拒否事件が起きました。カトリック修道会のイエズス会が設立し、経営する同大学で、配属将校が学生を引率して靖国神社に行軍したとき、信徒の学生が参拝しなかったことから、やがてマスコミを巻き込み、大騒動に発展したとされる事件です。

 今日の教会指導者は、この事件を教会への「軍部と世論による迫害」(「非暴力による平和への道」カトリック中央協議会、2005年)などと呼んでいますが、事件の渦中にいた丹羽孝三幹事(学長補佐)の回想(『上智大学創立60周年──未来に向かって』1963年所収)によると、真相はまったく異なります。

 とはいえ、事件が唯一神を信仰する信徒にとって深刻な信仰問題を提起したことは確かでした。

 陸軍省がホフマン学長の出頭を求めてきたのに対して、代わって丹羽が小磯国昭大将(陸軍次官)に面会し、そのとき以下のような会話があったようです。

小磯「陛下が参拝する靖国神社にカトリック信徒が参拝しないのは不都合ではないか?」
丹羽「閣下の宗旨は何ですか?」
小磯「日蓮宗です」
丹羽「それなら本願寺(浄土真宗)や永平寺(曹洞宗)に参拝しますか?」
小磯「他宗の本山には参りません」
丹羽「しかし陛下は参拝されます」

 以上のような問答が続いたあと、

「僕の書生論は取り消します」

 と小磯は抗議を取り下げたのでした。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


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