敵対者を切り捨てる ──コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰 4 [女性宮家創設論]
以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です
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敵対者を切り捨てる
──コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰 4
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拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える
第6節 コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰
▽4 敵対者を切り捨てる
前置きが長くなりました。百地先生の拙文批判のなかで、気になることがあります。
それは、
「斎藤氏のいう断絶説など、天皇制否定論者の横田耕一教授などごく一部学者の私的学説にとどまり」
と、横田九州大学名誉教授の固有名詞を挙げ、突き放していることです。
私が一部学者の説に乗っかって、「断絶説」を唱えていると、意図的かどうかは別にして、曲解しているようにも見えます。
私がいう「1.5代」象徴天皇論が「一部」にとどまる、という見方も誤っています。それどころか、昭和40年代以降、行政全体に深く浸透したのが今日の皇室の危機を招いたのであり、大きな転機となったのは、先生が
「『廃棄』されたかどうか、真偽の程は定かでない」
と関心を示そうともしない、昭和50年の依命通牒の「破棄」でした。
それはともかくとして、日本のキリスト教界(白柳枢機卿とは異なり、プロテスタント)と関係が深く、しばしば百地先生の論考にも取り上げられている横田名誉教授がなぜ反天皇的なのか、を内在的に検証せずに、切り捨てるのは、私を
「粗雑な頭脳」
と罵り、一刀両断にするのと同様に、注目されます。
なぜなら、そのような姿勢こそ、逆に「反天皇的」だと思うからです。私たちに必要なのは、非寛容的な憲法理論ではなく、真摯な天皇論の深まりです。
最後に蛇足ながら、補足しますが、
「地球には感謝しない」
と言い切った白柳枢機卿が、じつに興味深いことに、神社で玉串拝礼していました。
WCRPの会合はしばしば著名な神社やお寺の会館などで開かれます。神社での場合は、会議の前に、参加者は神社に正式参拝します。そんなとき、理事長の白柳枢機卿は代表として、神前に玉串を捧げていました。プロテスタントの代表者が拝殿の隅で直立しているのとは、きわめて対照的でした。
このプロテスタントの代表者は、公共施設でしばしば行われているクリスマス行事について、政教分離原則に違反しないのか、と質問した私にこう答えたものです。
「キリスト者が問題にしてきたのは、靖国神社や護国神社と国家との関わりであって、実際、裁判でも争ってきたが、キリスト教と国家との関わりについて議論したことない。ひょっとしたら曖昧にしてきたのかも知れない」
それなら、白柳枢機卿はなぜ神社で拝礼されるのか、「拝礼」ではなく、「表敬」という意味だったのか、唯一神信仰と矛盾しないのか、もしも靖国神社でWCRPの会合が開かれたら、やはり参拝するつもりなのかどうか、残念ながら、ご自身の口から直接、伺うことはできませんでした。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
☆ひきつづき「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンへのご協力をお願いいたします。
このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
おかげさまで賛同者が300人を超えました。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉
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敵対者を切り捨てる
──コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰 4
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拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。
第4章 百地章日大教授の拙文批判に答える
第6節 コンクラーベで思い出した白柳枢機卿の信仰
▽4 敵対者を切り捨てる
前置きが長くなりました。百地先生の拙文批判のなかで、気になることがあります。
それは、
「斎藤氏のいう断絶説など、天皇制否定論者の横田耕一教授などごく一部学者の私的学説にとどまり」
と、横田九州大学名誉教授の固有名詞を挙げ、突き放していることです。
私が一部学者の説に乗っかって、「断絶説」を唱えていると、意図的かどうかは別にして、曲解しているようにも見えます。
私がいう「1.5代」象徴天皇論が「一部」にとどまる、という見方も誤っています。それどころか、昭和40年代以降、行政全体に深く浸透したのが今日の皇室の危機を招いたのであり、大きな転機となったのは、先生が
「『廃棄』されたかどうか、真偽の程は定かでない」
と関心を示そうともしない、昭和50年の依命通牒の「破棄」でした。
それはともかくとして、日本のキリスト教界(白柳枢機卿とは異なり、プロテスタント)と関係が深く、しばしば百地先生の論考にも取り上げられている横田名誉教授がなぜ反天皇的なのか、を内在的に検証せずに、切り捨てるのは、私を
「粗雑な頭脳」
と罵り、一刀両断にするのと同様に、注目されます。
なぜなら、そのような姿勢こそ、逆に「反天皇的」だと思うからです。私たちに必要なのは、非寛容的な憲法理論ではなく、真摯な天皇論の深まりです。
最後に蛇足ながら、補足しますが、
「地球には感謝しない」
と言い切った白柳枢機卿が、じつに興味深いことに、神社で玉串拝礼していました。
WCRPの会合はしばしば著名な神社やお寺の会館などで開かれます。神社での場合は、会議の前に、参加者は神社に正式参拝します。そんなとき、理事長の白柳枢機卿は代表として、神前に玉串を捧げていました。プロテスタントの代表者が拝殿の隅で直立しているのとは、きわめて対照的でした。
このプロテスタントの代表者は、公共施設でしばしば行われているクリスマス行事について、政教分離原則に違反しないのか、と質問した私にこう答えたものです。
「キリスト者が問題にしてきたのは、靖国神社や護国神社と国家との関わりであって、実際、裁判でも争ってきたが、キリスト教と国家との関わりについて議論したことない。ひょっとしたら曖昧にしてきたのかも知れない」
それなら、白柳枢機卿はなぜ神社で拝礼されるのか、「拝礼」ではなく、「表敬」という意味だったのか、唯一神信仰と矛盾しないのか、もしも靖国神社でWCRPの会合が開かれたら、やはり参拝するつもりなのかどうか、残念ながら、ご自身の口から直接、伺うことはできませんでした。
以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります
☆ひきつづき「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンへのご協力をお願いいたします。
このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
おかげさまで賛同者が300人を超えました。
〈https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB〉