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〈前史〉敗戦から平成の御代替わりまで 1 ──4段階で進む「女性宮家」創設への道 [女性宮家]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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〈前史〉敗戦から平成の御代替わりまで 1
──4段階で進む「女性宮家」創設への道
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


補章 4段階で進む「女性宮家」創設への道──女性天皇・女系継承容認と一体だった

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 いわゆる「女性宮家」創設論議の歴史的経緯を、年表風にまとめて、振り返ってみたいと思います。なお、これは「産経新聞」平成18年2月17日付3面に掲載された一覧表「皇室をめぐる最近の主な出来事」を参考にしています。

 阿比留瑠比記者による、この日のスクープは、平成8年に宮内庁内で皇位継承制度に関する基礎資料の作成が始まり、政府の非公式検討会がすでに16年5月に女性天皇・女系継承容認を打ち出していたことなどを明らかにしました。

 阿比留記者の場合は皇位継承論がテーマですが、以下の年表は、戦後の皇室関係史全体を俯瞰し、とくに宮中祭祀と「女性宮家」創設論に焦点を当て、組み立て直したものです。


第1節 〈前史〉敗戦から平成の御代替わりまで


▢昭和20(1945)年7月26日、ポツダム宣言

「吾等ハ無責任ナル軍国主義ガ世界ヨリ駆逐セラルルニ至ル迄ハ平和、安全及正義ノ新秩序ガ生ジ得ザルコトヲ主張スルモノナルヲ以テ日本国国民ヲ欺瞞シ之ヲシテ世界征服ノ挙ニ出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタル者ノ権力及勢力ハ永久ニ除去セラレザルベカラズ」

▢同年8月15日、玉音放送。
「朕ハ帝国政府ヲシテ米英支蘇四国ニ対シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ」

▢同年10月6日、アメリカ国務省のヴィンセント極東部長がラジオ放送で対日占領政策をアメリカ国民に説明。
「日本政府に指導され、強制された神道ならば廃止されるだろう」

▢同年12月15日、いわゆる神道指令(「国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並びに弘布の禁止に関する件」)が発令される。
「本指令ノ目的ハ宗教ヲ国家ヨリ分離スルニアル」。
 指令は過酷で、神道に対する差別的圧迫が加えられました。
「(神道指令発令で)わが国における祭祀は(伊勢)神宮・皇室・各神社とを問わず、すべて宗教行為としてこれを官辺にて管理することを一切禁じたのである。まさに有史以来の一大変革と申さねばならぬ」(八束清貫「皇室祭祀百年史」)
 宮中祭祀は「皇室の私事」とされ、存続しました。

▢昭和21年1月1日、いわゆる「人間宣言」。
「朕(ちん)ト爾等(なんじら)國民トノ間ノ紐帶ハ、終始相互ノ信?ト敬愛トニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳?トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(あきつみかみ)トシ、且日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニモ非ズ」〈http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/03/056/056_001r.html〉。

▢同年7月12日、GHQのバンス宗教課長が教育課長宛文書で、学校での教育勅語の奉読を禁止。
「もっともリベラルな解釈をしたとしても、新憲法の精神に反している。教育勅語は、たぶん歴史的史料として取り扱う大学レベルを除き、公立学校で奉読されるべきでないし、教科書にも掲載すべきでない」

▢同年10月8日、文部省が教育勅語の奉読を禁止。
「式日等において従来、教育勅語を奉読することを慣例としたが、今後は之を読まないこととする」(発秘第三号、文部次官通牒)

▢昭和22年5月3日、日本国憲法、皇室典範が施行。旧皇室典範、皇室令が廃止。宮内庁は宮内府(宮内庁の前身)となり、内閣総理大臣所轄の機関に代わった。祭祀を担当する掌典職は官制を離れ、職員は内廷費で雇われる内廷の職員となった。
 以前は、大日本帝国憲法を頂点とする国務法の体系とは別に、皇室典範を根拠とする、皇室に関係する宮務法の体系があり、たとえば明治以降、近代的に整備された宮中祭祀は皇室祭祀令(明治41年)によって明文化されていました。
 日本国憲法施行に伴い、皇室典範、皇室令は廃止され、天皇の祭祀は明文法的根拠を失いました。新しい皇室典範は新憲法に基づき、一般の法律として制定されました。宮務法の体系が国務法に一元的に吸収され、失われたのです。
 けれども、新憲法施行と同じ日に、宮内府長官官房文書課長名による依命通牒(皇室令及び付属法令廃止に伴い、事務取扱に関する通牒)によって、祭祀令に定められた祭祀の伝統は守られました。

▢23年6月19日、衆議院本会議が「教育勅語等排除に関する決議」を全会一致で可決。
「民主平和國家として世界史的建設途上にあるわが國の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の革新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となつている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜りたる勅諭その他の教育に関する諾詔勅が、今日もなお國民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の措置が不十分であつたがためである。
 思うに、これらの詔勅の根本理念が主権在君並びに神話的國体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ國際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八條の本旨に從い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの詔勅の謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである」

▢同日、参議院本会議が「教育勅語等の失効確認に関する決議」を決議。
「われらは、さきに日本國憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが國家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に拂拭し、眞理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失つている。
 しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを懐く者あるをおもんばかりわれらはとくに、それらが既に効力を失つている事実を明確にするとともに、政府をして教育勅語その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。
 われらはここに、教育の眞の権威の確立と國民道徳の振興のために、全國民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力を致すべきことを期する」

▢26年6月、貞明皇后大喪儀。皇室喪儀令に準じて行われ、国費が支出され、国家機関が参与した。
 占領後期になると、神道指令の解釈・運用は厳格主義から限定主義に変更されましたが、宮中祭祀は「皇室の私事」という位置づけを克服できませんでした。
 斂葬当日の22日、全国の学校で「黙祷」が捧げられました。政府は、当日に官庁等が弔意を表することを閣議決定し、文部省は「哀悼の意を表するため黙祷をするのが望ましい」旨、次官通牒を発したのですが、その数日後、「日本の学校で戦前の国家宗教への忌まわしい回帰が起きた。生徒たちは皇后陛下の御霊に黙祷を捧げることを命令された。キリストに背くことを拒否した子供たちはさらし者にされた」と訴えるアメリカ人宣教師の投書がニッポン・タイムズ(現ジャパン・タイムズ)の読者欄に載ったのをきっかけに、新聞紙上で宗教論争が始まりました。

▢27年4月28日、サンフランシスコ条約発効。日本が独立回復、神道指令は失効。
 しかし「宮中祭祀は天皇の私事」とする憲法解釈はその後も超えられませんでした。
 調印日にふたたび学校で「黙祷」「宮城遥拝」が実施されると、アメリカ人宣教師が「また命令された。新憲法は宗教儀式の強制を許すのか」と再抗議し、紙上論争は10月半ばまで続きましたが、GHQは宣教師たちの立場を擁護しませんでした。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


☆ひきつづき「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンへのご協力をお願いいたします。
 このままでは悪しき先例がそのまま踏襲されるでしょう。改善への一歩を踏み出すために、同憂の士を求めます。
 おかげさまで賛同者が300人を超えました。
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

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