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〈第2期〉非公式検討から公式検討へ ──4段階で進む「女性宮家」創設への道 [女性宮家創設論]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2017年9月25日)からの転載です


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〈第2期〉非公式検討から公式検討へ
──4段階で進む「女性宮家」創設への道
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 拙著『検証「女性宮家」論議──「1・5代」天皇論に取り憑かれた側近たちの謀叛』からの抜粋を続けます。一部に加筆修正があります。


補章 4段階で進む「女性宮家」創設への道──女性天皇・女系継承容認と一体だった


第3節 〈第2期〉非公式検討から公式検討へ

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 皇太子殿下の御結婚から10年が過ぎましたが、男子はお生まれにならず、ほかならぬ皇太子殿下から「人格否定」発言が飛び出す状況にさえなりました。政府の皇室典範改正は非公式検討から公式検討に移り、「女性宮家」は一般マスコミ、論壇のテーマとなりました。皇室典範有識者会議が発足し、女性天皇・女系継承を容認する報告書がまとめられましたが、「女性宮家」の表現は消えました。

 16年5月10日、皇太子殿下が欧州歴訪前の記者会見で「人格否定」発言。
 皇太子殿下のご発言は、奇しくも、政府が極秘文書をとりまとめた当日でした。

 同日、政府の非公式検討会が女性天皇・女系継承容認の極秘文書をまとめる。

 同年7月、「週刊朝日」7月9日号の「お世継ぎ問題 結婚しても皇籍離脱しない道 雅子さま救う『女性宮家』考」に、所功京都産業大学教授のコメントが掲載される。

 同月、内閣官房と宮内庁が皇室典範改正の公式検討に向けた準備を開始。

 同月、民主党が参議院選のマニフェストに女性天皇容認の方針を掲載。
「『日本国の象徴』にふさわしい開かれた皇室の実現へ、皇室典範を改正し、女性の皇位継承を可能とする」

 同月、「Voice」2004年8月号に所教授の論考「“皇室の危機”打開のために──女性宮家の創立と帝王学──女帝、是か非かを問う前にすべき工夫や方策がある」。

 同年12月、皇室典範に関する有識者会議が発足。座長は吉川弘之元東京大学総長、座長代理は園部逸夫元最高裁判所判事。メンバーに古川貞二郎前内閣官房副長官。

 17年6月8日、同有識者会議ヒアリングで、所功教授が「女性宮家」創設を提案。
「現在極端に少ない皇族の総数を増やすためには、女子皇族も結婚により女性宮家を創立できるように改め、その子女を皇族とする必要があろう」
 本論では触れませんでしたが、この日、高森明勅拓殖大学客員教授もまた「女性宮家」に言及しています。
「かりにそれらの旧宮家の方々が御同意をなさって、例えば、女性宮家に入られる、あるいは廃絶に瀕している宮家を継承されるというようなことが選択肢として実現した場合でも……」

 同月30日、同有識者会議の意見交換で「女性宮家」に関する発言があった。
「少なくとも皇族女子が婚姻後も皇籍にとどまる可能性について検討する必要があるのではないか」
「女性天皇・女系天皇を可能とした場合に、長子優先か兄弟姉妹間男子優先かということと、女性宮家を認めるかどうかということが、今後の検討のポイントになるのではないか」

 同年7月26日、有識者会議が中間報告としての論点整理。「女性宮家」の表現が消える。
 けれども、「読売新聞」7月28日付社説は、「天皇の直系子孫でも、長子を優先させるか、兄弟姉妹間では男子が優先か、という皇位継承順位や、女性宮家の創設の在り方など、難問が控えている」と書き、「女性宮家」の議論が続いていることをうかがわせます。

 同年11月15日、紀宮(のりのみや)清子(さやこ)内親王殿下が帝国ホテルで結婚式。皇籍を離脱。

 同月24日、皇室典範有識者会議が女性天皇・女系継承容認の報告書を提出。報告書に「女性宮家」は表現としては掲載されなかったが、婚姻後も皇室にとどまるという中味は文章化された。
 鳩山由紀夫民主党幹事長は「開かれた皇室への思いを大事にすべきで、典範の改正も視野に入れて、国民の側に立った、国民が期待する、国民の象徴としての天皇、天皇家のあり方を議論していただきたい」と評価しました。

 同月25日付「読売新聞」に所功教授の感想が掲載された。
「女性天皇、女系継承、女性宮家の創立なども可能とした報告書の大筋には賛成したい」

 18年1月20日、小泉首相が施政方針演説で皇室典範改正案の提出を明言。
「象徴天皇制度は、国民の間に定着しており、皇位が将来にわたり安定的に継承されるよう、有識者会議の報告に沿って、皇室典範の改正案を提出します」

 一般には「女性宮家」創設論は平成23年秋ごろ、急速に浮上してきたように見られていますが、そうではありません。
 逆に、女帝容認・女系継承を容認する皇室典範改正と一体のかたちで、「女性宮家」創設が10数年もの間、政府部内で公式、非公式に議論されてきたのだとすれば、「女性宮家」創設論の浮上は女性天皇・女系継承容認論の再浮上を意味することになります。
 つまり、渡邉允前侍従長ほか、政府関係者が主張していた「切り離し」論はまったくあり得ません。


以上、斎藤吉久『検証「女性宮家」論議』(iBooks)から抜粋。一部に加筆修正があります


☆先日、チャンネル桜の番組で、「御代替わり諸儀礼を『国の行事』に」キャンペーンについて説明する機会を得ました。取り上げていただき、たいへんうれしく思います。
 おかげさまで賛同者が400人を超えました。
 番組でも申しましたが、何年か先の話ではなくて、いまの問題です。ひきつづきご協力をお願いいたします。
 番組はニコニコ動画やYouTubeで御覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=Iqa0zsh-CSo&feature=youtu.be
https://www.change.org/p/%E6%94%BF%E5%BA%9C-%E5%AE%AE%E5%86%85%E5%BA%81-%E5%BE%A1%E4%BB%A3%E6%9B%BF%E3%82%8F%E3%82%8A%E8%AB%B8%E5%84%80%E7%A4%BC%E3%82%92-%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%8C%E4%BA%8B-%E3%81%AB

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