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天皇学研究所設立の勧め──皇位継承論を劇的に活性化するために [天皇]

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天皇学研究所設立の勧め──皇位継承論を劇的に活性化するために
(令和3年1月24日、日曜日)
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複数の保守派人士から、ある依頼を受けた。今日はそのことに刺激されて思うところを述べてみたい。それは現代における皇室論の活性化である。
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皇室報道の末席を汚すようになってから40年近くになるが、世の中は一変した。マスメディアの時代からSNSの時代への激変である。いまや誰もが情報を発信できるし、YouTuberのように職業として成り立つようにもなった。逆に、新聞・テレビの凋落は目を覆うばかりだ。


▽1 3つの役割分担

皇室情報・皇室報道が一部のプロの手に委ねられていた時代は去った。しかし混乱はかえって深まっている。天皇・皇室の世界は奥が深いからだ。政府の情報も、メディアの情報も危ういのに、Twitter情報が信頼できるなんてことはあるはずがない。正確な情報、知識が伴っていない。

たとえば、目の前の皇位継承問題をどう解決したらいいのか、政府・宮内庁やメディアの情報は頼るに足らないし、かといってFacebookの素人論議でも困る。となれば、皇室を思う保守派のなかから学問的気運が昂然と湧き上がって来なければならないと思う。学問なくして議論の進展はない。

なぜ皇位継承は男系主義で貫かれてきたのか、学問的なまともな説明を私は読んだことがない。女系継承容認論に対抗するどころか、オウンゴールを蹴って顧みない知識人もどきさえいる。

学問的な解明がまだなら、これからでも遅くはない。皇室の歴史を探り、学問的に究明しなければならない。戦後唯一の神道思想家といわれた葦津珍彦は「学問はひとりでするものではない」と語っていたというが、保守派を糾合した民間の天皇学研究所のようなものは作れないだろうか。

そのためには3つの役割分担が求められると思う。全体を取り仕切るプロデューサーと個別の企画を作るエディター、それと研究・執筆を担当するライターである。さらにもうひとつあげるなら、支援者としての読者である。


▽2 宸襟を安んじる高潔の士

ネット時代の現代なら印刷物は要らない。若い研究者や筆者をどんどん発掘し、テーマを与え、天皇学を深めていく。学問を磨き合い、深化させ、保守主義を鍛え直していくことが混迷する今日の皇室問題解決への道を切り開いていくことになると私は思う。

問題は資金である。どうしたって取材・研究費、原稿料が発生するからだ。といって、いまの商業雑誌の低い稿料程度では、筆者は間違いなく赤字になる。質の高い研究成果をあげることは不可能である。筆者が納得できる原稿料を支払うために、プロデューサーには資金集めの高度な能力が要件となる。

他方、資金を提供してくれる強力なサポーターも必要だ。口先だけの尊皇家ならもう見飽きた。ひと財産を擲ってでも、悠久なる皇室の歴史と伝統を守り、宸襟を安んじようと思う高潔の士は現れないものか。私などはすでにして家族以外に失うものはないのだが。


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