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1 ますます増える陛下のご公務ご日程 [ご公務ご負担軽減]

 年若い友人がこんな話を聞かせてくれました。

 友人は政治にまったく関心のないノンポリですが、お母さんはバリバリの共産党議員です。そのお母さんが、陛下のご公務問題について、きびしく批判しているというのです。

 てっきりいつもの天皇批判かと思ったら、そうではありませんでした。高齢で、しかもガンの手術も受けられた。それでも仕事が増えている。そんな非常識なことがあるか、と官僚たちを批判しているのです。

 まったくその通りです。イデオロギーの問題ではなく、これは常識の問題なのです。ところが、現実は、といえば、昨年末のご不例から半年が過ぎたいま、陛下のご公務の日程は、国民の知らぬ間に、ますます増えています。


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 1 ますます増える陛下のご公務ご日程
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▽軽減策に反して前年比1割増加
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 というわけで、宮内庁のホームページに先月末までの「天皇皇后両陛下のご日程」が発表されましたので、いつものようにご公務軽減について、検証してみることにします。

 もういわずもがなですが、当メルマガの問題関心は、宮内庁が今年1月、陛下のご高齢・ご健康に配慮して、御公務および宮中祭祀に関して調整・見直しを図る、と発表したのち、その方針が実際、守られているのかどうか、です。

 本メルマガの調べでは、2月以降、宮内庁自身がネット上で公表している陛下のご公務のご日程件数は減るどころか、増えていますが、6月はどうだったでしょうか。
http://www.kunaicho.go.jp/activity/gonittei/01/h21/gonittei-1-2009-2.html

 以下は、先月だけでなく、過去3年間について、1~6月期のご公務ご日程件数を単純に足し算し、まとめたものです。

    19年  20年  21年
1月  41   49   55
2月  41   33   34
3月  53   55   61
4月  50   59   72
5月  39   51   52
6月  40   45   52
小計  264  292  326

 見てお分かりのように、5月には伸び率がいったん抑制されたのですが、6月にはふたたび件数の増加が目立つようになりました。宮内庁のご負担軽減策にもかかわらず、少なくとも件数において、全体では前年比でほぼ1割ずつ増えています。


▽なお続く官僚の言行不一致

 いつものように中身を見てみます。宮内庁によるご公務の分類に準拠して、6月期のご公務、とくに「宮中のご公務など」「行幸啓など」について比較すると、以下のようになります。「国際親善」は省きました。

                 19年 20年 21年
[1]宮中のご公務など      36  48  50
1─1ご執務など         9   8   10
1─2新年祝賀の儀・新年一般参賀 0   0   0
1─3天皇誕生日祝賀・一般参賀  0   0   0
1─4首相・最高裁長官の親任式  0   0   0
1─5大臣ほか認証官の任命式   2   1   0
1─6大綬賞などの親授式     0   0   0
1─7新任外国大使の信任状捧呈式 0   1   2
1─8元首会見・その他ご引見   3   8   2
1─9国内功労者の拝謁お茶ご会釈 16  24  33
1─10海外賓客の午餐・晩餐   2   3   0
1─11春秋2回の園遊会     0   0   0
1─12宮中祭祀         3   3   3
1─13その他(稲作など)    1   0   0

[2]行幸啓など         6   4   6
2─1都内の式典ご臨席      3   2   2
2─2式典ご臨席の地方行幸啓   1   1   1
2─3その他の都内お出まし    1   1   3
2─4その他の地方行幸啓     0   0   0
2─5地方ご静養         1   0   0

 これまでと同様、宮内庁が「拝謁の回数、日程を縮減する」などと意識して削減したはずの拝謁が大幅に増えていることが分かります。官僚たちの言行不一致は続いています。


▽海外ご訪問に付随して増えるご公務

 いったい何が増えているのか。皆さんご自身がホームページでご確認いただければ、と思いますが、外国ご訪問を前にしたご進講・ご説明、随員たちの拝謁・お茶などが目につきます。6月には福井で全国植樹祭がありましたが、石川、福井両県の知事らのご挨拶も重なりました。都内のお出ましも増えました。

 一方、ご負担軽減の標的にされている祭祀はどうでしょうか。同様に過去3年間について比較してみます。

    19年  20年  21年
1月  8    7    4
2月  4    3    2
3月  2    4    1
4月  2    3    3
5月  4    1    1
6月  3    3    3
小計  23   21   14

 6月についてはご負担軽減の標的にされなかったのか、というと、そうではありません。1日の旬祭(しゅんさい)のお出ましは、今年はありませんでした。それでも総件数が減っていないのは、カナダ、ハワイ公式ご訪問を前にして、先帝の御陵に参拝されているため、表面化しなかっただけです。

 天皇第一のお務めである祭祀が狙い撃ちにされる状況は変わりません。

 ご負担軽減といいながら、ご公務の日程件数は増え、半月におよぶ外国ご訪問が実施されるのは矛盾以外の何ものでもありません。しかも海外行幸に付随して、さらにご公務が増えています。以前から申し上げているように、急務であるご負担の軽減には抜本的な対策がどうしても必要です。


▽7年前の皇后陛下の言葉

 ある民族派団体の月刊誌が巻頭言で、関係当局の深思猛省を促しています。皇后陛下の14年のポーランド・ハンガリーご訪問を前にした記者会見の言葉を引用し、大胆な軽減策の検討を訴えています。

 この年の5月に、日程の一部を控えられるほど長引く風邪を召された天皇陛下でしたが、7月の海外ご訪問は強行されました。皇后陛下は会見でこう仰ったのでした。

「(今上陛下が)年をお加えになる中、お仕事は減っておりませんので、これからは陛下のお疲れに皆して注意し、適当なご静養をとっていただくことが大切と思います。

 陛下のお仕事は、他の者が代わって差し上げるということのできないものが多く、周囲も交代でお供をいたしますので、連日にわたる陛下のお仕事の総量を、ともすれば見失いがちになります。

 陛下のお仕事の性質上、私もすべての時におそばにあるということはできませんが、陛下のお仕事の量や連続性をおそばにいて体験し、せめて陛下のお疲れの度合いをお察しできるようでありたいと思っております」
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gaikoku/gaikoku-h14-easterneurope.html

 6月29日に金沢一郎皇室医務主管が発表したところによれば、昨年末来の今上陛下の不整脈はいまも散発的に見られ、ご体調次第では今回のご訪問の日程が変更を余儀なくされる可能性もある、と伝えられます。

 ご負担軽減は急務のはずですが、側近たちはまるで聞く耳を持たぬかのようです。

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2 軽々しく扱われる「お言葉」 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 2 軽々しく扱われる「お言葉」
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 今月7日、福井市で全国植樹祭が行われましたが、恒例となっていた陛下のお言葉はありませんでした。ご負担軽減を意図する宮内庁の方針から、とされています。

 しかし官僚たちのご負担軽減策はいかにもちぐはぐです。繰り返しお伝えしてきたように、1月末の具体策の発表以後、ご公務の件数がいっこうに減らないばかりか、歴代天皇がもっとも重視してきた宮中祭祀を、伝統をかえりみずに「簡素化」し、そして今度はさらに、天皇と国民をつなぐ大切な「お言葉」を官僚たちは省略してしまいました。

 ご負担軽減とは名ばかりで、むしろ天皇の祭祀、天皇のお言葉を軽々しく扱っている結果であり、これでは祭祀王としての天皇が単なるお飾りとしての「象徴」天皇に成り下がってしまいかねないと私は危惧します。


▽1 お言葉の重み

 古来、天皇の言葉は、社会を律する法と同格で、重い意味を持ちました。日本人の正義の感覚と直結しているからです。

 人は誰しもみずからの存在の小ささを自覚するとき、人智を超えた大きな存在のまえにへりくだり、智恵を求めようと祈ります。まして祈りの霊力によって国を治めるという重責をになわれる天皇は、みずからの穢れ(けがれ)を祓(はら)いに祓って、ひたすら国と民のために切なる祈りをささげてきました。

 私を去って、神々に近づき、神々の意思を求める国家的、国民的神事をなさる存在は、天皇しかいません。神の世界に通じる天皇のお言葉が、「みことのり」「おおみこと」とよばれ、重視されてきたのは当然です。

 昭和天皇も今上陛下も気軽にお声をかけられますが、国民はその重みを感性で理解しています。であればこそ、皇居清掃奉仕に地方から出かけた人たちはご会釈の際のお言葉に感激し、自然災害で被災した国民はお見舞いのお言葉に涙しています。

 たとえば、あの阪神大震災のとき、途方に暮れる被災民たちが陛下のお出ましとその言葉にどれほど勇気づけられたことか。ワシントン・ポストは、陛下のお見舞いを大きく取り上げ、村山首相が震災2日後に被災地を訪れたときに「あざけりと不平に迎えられた」のとは対照的に、「あたたかい気持ちが芽生えた」と書いたほどです。


▽2 俗物侍従長の後継者

 しかしこの外国メディアに遠く及ばないのが宮内官僚なのかもしれません。

 あろうことか、ご負担軽減の美名のもとに、天皇から祭祀を奪い、お言葉を奪ってしまいました。祭祀嫌いのあげくに天皇の祭祀の破壊を敢行した、かの「俗物」入江侍従長の忠実なる後継者を演じている、というほかはありません。

 陛下のご公務軽減は急務です。陛下のご負担を本気で削減しようというのなら、また天皇がご臨席になる国家的式典を重く考えるのなら、お言葉の省略というようなことではなく、ご名代として皇太子殿下にお出ましを願い、陛下のお言葉を代読していただくことをこそ検討すべきではないでしょうか。

 地球環境問題の深刻さが語られない日のない現在、陛下みずから国土緑化の先頭に立たれる植樹祭の役割は小さくありませんが、要は中央官庁主体のイベントです。官庁の都合に合わせて、ご高齢で療養中の陛下を利用するようなことはあってはならないと思います。

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1 やはり増えている陛下のご公務 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


 今上陛下のご公務が減る気配がありません。

 宮内庁がご公務削減の具体的な削減策を打ち出したのは1月末。それから4か月が経ちました。すでに2~4月について、件数において減るどころか、増えていることをこのメルマガでお伝えしてきましたが、5月についても増加傾向が続いています。

 宮内庁はいったい何をしているのでしょうか? 自分たちの仕事に疑問を感じないのでしょうか?


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 1 やはり増えている陛下のご公務
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▽1 拝謁が減らない
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 宮内庁が公表しているご日程から、過去3年間について1~5月期のご公務の件数を単純に足し算してまとめてみると、次のようになります。明らかに増えています。

    19年  20年  21年
1月  41   49   55
2月  41   33   34
3月  53   55   61
4月  50   59   72
5月  39   51   52

 一昨年の件数が少ないのはヨーロッパご訪問(5月21~30日)のためです。例年2月は葉山でご静養されるのですが、19年はご進講の多い年でした。

 5月期についてご公務の中身を見てみると、次のようになります。「国際親善」は除いてあります。

                 19年 20年 21年
[1]宮中のご公務など      37  48  51
1─1ご執務など         6   8   9
1─2新年祝賀の儀・新年一般参賀 0   0   0
1─3天皇誕生日祝賀・一般参賀  0   0   0
1─4首相・最高裁長官の親任式  0   0   0
1─5大臣ほか認証官の任命式   1   1   2
1─6大綬賞などの親授式     1   1   1
1─7新任外国大使の信任状捧呈式 0   3   0
1─8元首ご会見・その他ご引見  1   4   5
1─9国内功労者の拝謁お茶ご会釈 22  25  28
1─10海外賓客の午餐・晩餐   0   3   4
1─11春秋2回の園遊会     0   0   0
1─12宮中祭祀         4   1   1
1─13その他(稲作など)    2   3   1
1─14ご結婚50年祝賀関連   0   0   0

[2]行幸啓など          2   5   4
2─1都内の式典ご臨席      0   2   0
2─2式典ご臨席の地方行幸啓   0   0   1
2─3その他の都内お出まし    2   2   0
2─4その他の地方行幸啓     0   1   2
2─5地方ご静養         0   0   1

 増えているのは、4月までと同様、宮内庁が意識して減らしているはずの国内関係者の拝謁です。


▽2 大きく増えた「ご説明」

 宮内庁は1月末にご公務と宮中祭祀に関してご負担軽減のための具体案を発表しました。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/kohyo/gokomu-h21-0129.html

 とくに各界功労者の「拝謁・お茶」について、「回数が年間約100回に及んでいる」と指摘し、とりわけ春・秋の叙勲が「年間の拝謁の3分の2」を占め、「合わせて50回以上、7日間あるいは8日間にわたって連日行われる」ので、「拝謁手順の見直しなどを通じて、回数・日程を縮減する」という方針を立てたのですが、ほとんど実行されていません。

 春の勲章・褒賞受賞者の拝謁は、19年と20年は7日間、8回でしたが、今年は6日間、7回に変わっただけです。「拝謁手順」はともかく、少なくとも「回数・日程」は「縮減」とほど遠いといわざるを得ません。

 削減どころか、大きく増えたのが、専門事項などについて大使や官僚、研究者がご説明するご進講・ご説明です。表にまとめると以下のようになります。

専門事項などをご説明するご進講    19年 20年 21年
(ア)研究者・官僚などのご進講    0   2   2
(イ)大使・官僚・研究者のご説明など 2   5   7
(ウ)ご静養先県知事の県政ご聴取   0   0   0
(エ)官僚などのご懇談        0   0   1
 小計                2   7   10


▽3 皇太子殿下の出番

 中身を見ると、今年5月は以下のような官僚たちによる「ご説明」がありました。

1、 平成21年5月7日(木)
天皇皇后両陛下 ご説明(外務省儀典長(シンガポール大統領閣下及び同令夫人[国賓]ご来日につき,訪日日程・行事次第並びに賓客及び公式随員について))(御所)
2、平成21年5月7日(木)
天皇皇后両陛下 ご説明(在シンガポール大使(シンガポール大統領閣下及び同令夫人[国賓]ご来日につき,シンガポール事情について))(御所)
3、平成21年5月12日(火)
天皇皇后両陛下 ご説明(最高裁判所長官(裁判員制度について))(御所)
4、平成21年5月18日(月)
天皇皇后両陛下 ご説明(アジア大洋州局長(第5回日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議について))(御所)
5、平成21年5月20日(水)
天皇皇后両陛下 ご説明(横浜開港150周年記念式典実行委員会委員長,横浜市 開港150周年創造都市事業本部長(横浜開港150周年記念式典について))(御所)
6、平成21年5月20日(水)
天皇皇后両陛下 ご説明(外務省儀典長他(外国ご訪問第二次事前調査について))(御所)
7、平成21年5月25日(月)
天皇陛下 ご説明(在カタール大使(カタール皇太子殿下「公式実務訪問」来日につき))(御所)

 これらを見ると、海外賓客のご接遇や式典後臨席、外国ご訪問など、ご公務に関する事前説明が多いことが分かります。だとすると、陛下のご名代として皇太子殿下にお出まし願い、ご公務そのものを大胆に削減するというような方法を採らなければ、ご負担の軽減は覚束ないということになりそうです。


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件数では明らかに増えている陛下のご公務 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


 共同通信の報道によると、東京・元赤坂の迎賓館は改修工事が終了したあとも、海外からの賓客を歓迎する行事に使われることはなく、歓迎行事は今後も皇居宮殿の東庭(とうてい)で行われるようです。

 理由は両陛下のご負担の軽減とされています。
http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009050701001033.html

 そのこともあってか、今度は東庭の全面改修が5年計画で始まるようです。

 東京新聞の記事によると、昭和43年に完成した宮殿に付属する東庭は広さが約1万4千平米。50×100センチの由良石が敷き詰められていますが、経年劣化で痛みが目立つのだそうです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009050302000053.html

「皇居の顔」ともいうべき東庭の改修も必要なことでしょうが、拙著『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』でも言及した、急務であるはずの陛下のご負担軽減が本当に実現されているのかといえば、疑わしいといわざるを得ません。このメルマガで何度か指摘してきたように、件数では明らかにご公務は増えています。


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 件数では明らかに増えている陛下のご公務
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▽1 過去5年間の1~4月期ご公務件数
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 なぜそのようにいえるのか、といえば、ほかならぬ宮内庁がインターネット上で公表している「ご日程」を見れば、ご公務の件数が減っているようにはまったく見えないからです。

 ご承知の通り、昨年暮れの陛下の御不例を受けて、1月29日、宮内庁は、「拝謁の回数、日程を縮減する」などとするご負担軽減について発表しました。それから3カ月が過ぎましたが、ご公務の件数は決して減っていません。

 宮内庁のホームページには、「天皇皇后両陛下のご日程」が、皇太子殿下、秋篠宮殿下のご日程とあわせて、平成元年からすべて掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/activity/gonittei/01/gonittei01.html

 したがってご公務の件数を単純に数え上げれば、ご負担が軽減されたかどうかは簡単に知ることができます。

 試みに過去5年間について、1月から4月まで、それぞれ件数を数えると、以下のようになります。

     17年   18年   19年   20年   21年
1月   45    36    41    49    55
2月   31    34    41    33    34
3月   49    55    53    55    61
4月   62    59    50    59    72


▽2 3月期のみ中身を比較検討すると

 誰の目にも明らかなように、2月期をのぞけば、宮内庁が公表しているご公務の件数は減るどころか、逆に増えています。とくに4月期は過去にないほどの水準にまで件数が増えています。

 これでは鳴り物入りで発表したご負担軽減がまやかしだと批判されても仕方がないことになります。

 とはいえ、結論を急ぐのは慎みたいと思います。もう少し中身を検証してみましょう。

 宮内庁は「ご公務など」を3つのカテゴリーでとらえています。(1)「宮中のご公務など」、(2)「行幸啓など(国内のお出まし)」、(3)「国際親善」の3つです。

(1)については、さらに「新年祝賀」「天皇誕生日・一般参賀」「親任式」など、(3)は「国賓のご接遇」「公賓のご接遇」などに分類されています。

 それぞれについて、見直しが実現されているのかどうかですが、これが疑わしいのです。

 すべてを精査することはできませんので、ここ3年について、3月期のみを比較検討してみると、以下のようなデータを得ることができます。

 あらかじめ申し添えますが、以下の数値は精緻なものではありません。というのも宮内庁が示している分類は便宜的なものだからです。たとえば「ご会見」と「午餐」がオーバーラップすることもあり、また「宮中でのご公務」が同時に「国際親善」になり得ますから、件数の合計と先述したご公務の件数と一致しません。どうぞご理解ください。


▽3 「拝謁・お茶」に変化なし

                19年  20年  21年
(1)宮中でのご公務など
ご執務             9    10   12
新年祝賀・一般参賀       0    0    0
天皇誕生日参賀         0    0    0
首相などの親任式        0    0    0
大臣など認証官の任命式     2    0    2
大綬賞などの勲章親授式     0    0    0
新任外国大使の信任状捧呈式   2    3    3
海外賓客のご会見・ご引見    9    7    4
功労者など拝謁・お茶・ご会釈  15   26   25
海外賓客・要人との午餐・晩餐  4    2    1
春秋2回の園遊会        0    0    0
宮中祭祀            2    4    1
その他             4    1    3

(2)行幸啓など
行幸啓など           2    3    2

(3)国際親善
国賓のご接遇          7    0    0
公賓のご接遇          0    1    0
公式実務訪問客のご接遇     0    2    0
信任状捧呈式          1    3    3
ご会見・ご引見         8    7    5
ご親書・ご親電         0    0    0
在日外交団の接遇        1    1    3
赴任・帰朝大使の拝謁      1    0    2
外国ご訪問           0    0    0

 以上から、傾向として指摘できるのは、宮内庁のご負担軽減の方針とは裏腹に、少なくともご日程の件数について、際だった縮減が見られないことです。わずかに海外からの賓客のご会見などに減少傾向が見られるものの、国内の功労者の拝謁・お茶などは宮内庁の「縮減」方針にもかかわらず、変化が見られません。

 それなら何がどう変わらないのか、というと、意外な現実があるのですが、それは次号で掘り下げることにします。

 陛下の御不例は医師の診断では心身のストレスが原因といわれましたが、宮内庁は肉体的なご負担ばかりを軽減するような方針を立てました。けれども実際には、その方針すらまったく実現されていません。

 次号で言及する実態を見れば、その言行不一致ぶりがより明らかになるでしょう。
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侍従の負担ばかりを軽減した「ご負担軽減」策 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


 先週はメルマガの発行をお休みしました。じつは父が半年ほどの療養の末、亡くなったのです。末期ガンでした。

 拙著『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』は今上陛下のご負担軽減問題を取り上げました。そして当メルマガは引き続き、この問題を追及していますが、高齢で、しかもガンとの闘病生活を続けられつつ、ご公務を淡々とお務めになっている陛下は、生涯現役を貫いた父の姿と二重写しになって私には見えます。

 同じようにガンと闘っている多くの国民にとって、陛下のご存在はどれほど力強く感じられることでしょう。陛下のご健康を祈らずにはいられません。


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 侍従の負担ばかりを軽減した「ご負担軽減」策
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▽1 軽減されていないご負担
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 さて、まずは先々週のおさらいです。

 宮内庁が陛下のご負担軽減を発表したのは1月末でした。それから2カ月の経緯について検証を試み、「拝謁の回数、日程を縮減する」などとした方針が守られていないことを明らかにしました。

 2月、3月とも各界功労者の拝謁や赴任大使の拝謁、勤労奉仕団のご会釈などの総計はむしろ増えています。一方、1月から3月までの宮中祭祀の親祭、親拝は文字通り削減されました。

 祭祀が狙い撃ちにされているご負担軽減であることがあらためて理解されますが、それは、国と民のために祈る神事を最優先してきた歴代天皇の天皇観が顧みられず、無神論的な憲法解釈・運用が幅をきかせた結果であろうと私は考えます。


▽2 陛下のご負担は精神的

 拙著をお読みくださったある著名な神社の宮司さんが先般、お電話をくださり、ご負担軽減について鋭い指摘をされていました。「陛下のご負担というのは精神的なものであるのに、宮内庁は肉体的なご負担ばかりを考え、軽減策を講じている」。まったくおっしゃるとおりです。

 昨年暮れのご不例は医師によれば急性の病変で、その原因は心身のストレスと説明されていました。ところが宮内庁長官の「所見」は「陛下にはここ何年かにわたり、皇統問題などにご憂慮のご様子」とトンチンカンな解説をし、祭祀を標的にするご負担軽減策が始まったのです。

 以前から何度も申し上げているように、陛下が宮中三殿にお出ましになって親祭・親拝されることがなかったとしても、陛下の肉体的なご負担は必ずしも軽減されることはありません。掌典職が代わって祭祀を行い、御代拝をお務めしているあいだ、陛下は御座所でずっと正座され、お慎みになっておられるからです。

 ご高齢で、療養中の陛下にとってご公務の見直しは必要ですが、宮内庁が打ち出したご負担軽減策はまったく的外れというほかはありません。


▽3 正座の方が楽

 祭祀の親祭・親拝を削減する宮内庁の方針は陛下のご負担を軽減するわけではありませんが、側近の侍従たちにとっては文字通り負担を軽減するものとなっているようです。

 というのは、新嘗祭などの大祭を陛下が親祭されるとき、侍従は装束に身をただし、壁を隔てたところに近侍します。しかし親祭がないなら、そのかぎりではありません。陛下のお出ましがなければ、侍従の出番はありません。

 侍従たちは、陛下が高い畳のうえで長時間、正座され、祭祀を行われることがいかにも肉体的なご負担であるかのように述べていますが、不正確です。

 たとえば謡曲の教授をしている義父などは「正座している方が楽だ」といいます。長い間、現代的なイスの生活を送り、中高年になってから侍従となった官僚たちにとって、伝統的な正座のお務めは確かにきついでしょうが、正座に慣れているなら話は別です。

 現代の生活にどっぷりとつかった側近たちは陛下のご負担軽減を願いながら、その目的をかなえられず、もっぱら自分たちの負担ばかりを軽減しているのです。


▽4 ご結婚50年の祭典

 もう長くなってしまったので、指摘だけにとどめますが、先週、いささか気になることでありました。

 両陛下のご結婚50年を祝うさまざまな記念行事が行われ、宮中三殿では午前9時から祭典が奉仕され、掌典長、掌典次長による御代拝が行われたように伝えられます。

 大婚50年のお祝いは当然ですが、この祭儀には違和感を覚えます。

 なぜなのか、詳しくは次週、お話しします。

 今週は皇室典範有識者会議の報告書を読むことができませんでした。これも来週に譲ります。

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削減どころか増えている陛下のご公務──皇室典範有識者会議報告書を読み直す その2 [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジン(2009年4月7日)からの転載です


 拙著『天皇の祈りはなぜ簡略化されたか』の出版から2カ月がたちました。私が住む町の図書館でもようやく貸し出しが始まりました。どなたかがリクエストしてくださったのでしょう。

 ほんとうは多くの方々にお買い求めいただき、問題意識を共有してほしいのですが、このご時世ですから、無理強いはできません。まずは図書館でお読みいただいて、そのうえでお手元においておきたいと思われたら、どうぞご購入ださい。

 なお、立ち読みは並木書房のホームページでもできます。
http://www.namiki-shobo.co.jp/


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 削減どころか増えている陛下のご公務
 ──皇室典範有識者会議報告書を読み直す その2
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▽1 格調なき宮内庁ホームページのリニューアル
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 先月末、宮内庁のホームページがリニューアルされました。皇室を象徴する二重橋の画像が小さくなり、片隅に追いやられて、どこにでもある役所のホームページのようなトップページに変わってしまい、驚きました。

 宮内庁はリメイクの趣旨を、「デザインを刷新するとともに、見やすさや必要な情報の探しやすさなど、ご覧になる方の利便性向上に心がけました」と説明しています。情報源としての使い勝手が最優先されたようです。
http://www.kunaicho.go.jp/info/renewal.html

 なるほど皇室関係の事務をつかさどる役所のホームページという位置づけなら、それで十分なのかもしれません。けれども、古来、日本の最高権威である皇室の唯一無二の公式サイトだとすれば、それにふさわしい格調が求められます。その意味では今回の機能主義的なリニューアルは、少なくとも私はかなりの疑問を感じています。

 諸外国の公式サイトのURLを少し掲げます。比較してみて、読者の皆さんならどうお感じになりますか。

イギリス王室
http://www.royal.gov.uk/
スウェーデン王室
http://www.royalcourt.se/
royalcourt.4.367010ad11497db6cba800054503.html〉
オランダ王室
http://www.koninklijkhuis.nl/english/
スペイン王室
http://www.casareal.es/index-iden-idweb.html
タイ王室
http://www.soravij.com/


▽2 今年3月は「拝謁」が20件を超える

 さて、昨年の天皇陛下の御不例のあと、宮内庁がご公務のご負担軽減について発表したのは1月29日でした。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/koho/kohyo/gokomu-h21-0129.html

 あれから2カ月がたちましたので、その後の経過について、少し検証してみたいと思います。

 宮内庁の方針は、(1)拝謁などは回数、日程を縮減する、(2)外国賓客の御引見などはしかるべき調整を図る、(3)国内行幸啓は御臨席のみとする、(4)宮中祭祀の新嘗祭は夕の儀のみ親祭に、旬祭の親拝は年2回に削減する──というものでした。

 実際はどうなったのか、ホームページ上の「天皇皇后両陛下のご日程」をもとに、2月~3月について、昨年と比較してみます。
http://www.kunaicho.go.jp/activity/gonittei/01/gonittei01.html

 まずは拝謁・お茶・ご会釈などについてです。

[平成20年2月の拝謁など]
1)2月6日(水)天皇陛下。県勢概要ご聴取(神奈川県知事)(葉山御用邸)
2)2月7日(木)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
3)2月8日(金)天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(宮殿)
4)2月14日(木)天皇陛下。拝謁(全国検事長及び検事正会同に出席する検事正等)(宮殿)
5)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(全国連合小学校長会理事会に出席する小学校長)(宮殿)
6)2月18日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(赴任大使夫妻(経済協力開発機構日本政府代表部、パプアニューギニア、ベトナム、マダガスカル兼コモロ兼
モーリシャス))(宮殿)
7)2月19日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
8)2月21日(木)天皇皇后両陛下。お茶(日本学士院第二部会員)(御所)
9)2月25日(月)天皇皇后両陛下。お茶(帰朝大使夫妻(オーストラリア、アゼルバイジャン兼グルジア、アイルランド))(宮殿)
10)2月28日(木)天皇皇后両陛下。お茶(赤十字国際委員会総裁)(御所)

[今年2月の拝謁など]
1)2月2日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(皇太子殿下ベトナムご訪問首席随員)(宮殿)
2)同日。天皇陛下。お茶(退職認証官)(宮殿)
3)2月3日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
4)同日。天皇陛下。午餐(会計検査院長(職務代行)、人事院総裁、公正取引委員会委員長等)(宮殿)
5)2月4日(水)天皇皇后両陛下。ご懇談(経済三団体の長)(御所)
6)2月5日(木)天皇皇后両陛下。県勢概要ご聴取(神奈川県知事)(葉山御用邸)
7)2月12日(木)天皇陛下。お茶(退職認証官)(宮殿)
8)2月16日(月)天皇皇后両陛下。お茶(帰朝大使夫妻(イタリア(アルバニア、サンマリノ、マルタを兼轄)、フィジー(キリバス、ツバル、トンガ、
ナウル、バヌアツ、パラオ、マーシャル、ミクロネシアを兼轄)、ウクライナ兼モルドバ、ヨルダン))(御所)
9)2月17日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
10)2月18日(水)天皇皇后両陛下。お茶(帰朝大使夫妻(トリニダード・トバゴ(アンティグア・バーブーダ、ガイアナ、スリナム、セントクリスト
ファー・ネーヴィス、セントビンセント、セントルシア、ドミニカ、バルバドス、グレナダを兼轄)、アルジェリア、スロバキア、カメルーン))(宮殿)
11)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(赴任大使夫妻(モンゴル、アラブ首長国連邦、キューバ))(宮殿)
12)2月19日(木)天皇陛下。拝謁(全国検事長及び検事正会同に出席する検事正等)(宮殿)
13)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(赴任大使夫妻(ロシア、グルジア、トンガ、スリランカ兼モルディブ))(宮殿)
14)2月20日(金)天皇陛下。お話・午餐(法務大臣始め高等検察庁検事長等)(宮殿)
15)2月24日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
16)2月26日(木)天皇皇后両陛下。お茶(帰朝大使夫妻(欧州連合日本政府代表部、タンザニア、パキスタン、イスラエル))(御所)
17)2月27日(金)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)

 以上でお分かりのように昨年2月と比べると今年2月の拝謁は減るどころか、逆に大幅に増えています。

 3月はどうでしょうか。

[平成20年3月の拝謁など]
1)3月4日(火)天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(宮殿)
2)同日。天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
3)3月5日(水)天皇皇后両陛下。拝謁(法務大臣及び財団法人矯正協会会長表彰の法務省矯正職員代表)(宮殿)
4)3月6日(木)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
5)3月10日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(厚生労働大臣表彰の医療功労賞受賞者)(宮殿)
6)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(警察庁長官表彰の全国優秀警察職員)(宮殿)
7)3月11日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
8)3月14日(金)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
9)3月17日(月)天皇陛下。拝謁(警察大学校警部任用科第21期学生)(宮殿)
10)3月25日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
11)3月26日(水)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(御所)
12)同日。天皇皇后両陛下。ご接見(シニア海外ボランティア等)(御所)
13)3月27日(木)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
14)3月27日(木)天皇皇后両陛下。ご挨拶(栃木県知事、県議会議長、県警察本部長)
15)3月30日(日)天皇皇后両陛下。ご挨拶(栃木県知事、県議会議長、県警察本部長)
16)3月31日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(宮殿)
17)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(御所)

 これに対して今年3月はどうでしょうか。

[今年3月の拝謁など]
1)3月2日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(警察庁長官表彰の全国優秀警察職員)(宮殿)
2)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(宮殿)
3)同日。天皇皇后両陛下。ご夕餐(新旧最高裁判所長官夫妻)(御所)
4)3月3日(火)天皇皇后両陛下。会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
5)3月6日(金)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)

6)3月9日(月)天皇皇后両陛下。お茶(帰朝大使夫妻(南アフリカ共和国(スワジランド、ナミビア、レソトを兼轄)、セルビア兼モンテネグロ、ポルト
ガル、カザフスタン兼キルギス))(御所)
7)3月10日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
8)3月11日(水)天皇皇后両陛下。拝謁(法務大臣及び財団法人矯正協会会長表彰の法務省矯正職員代表)(宮殿)
9)3月13日(金)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
10)3月16日(月)天皇陛下。拝謁(警察大学校警部任用科第24期学生)(宮殿)
11)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(厚生労働大臣表彰の医療功労賞受賞者)(宮殿)
12)同日。天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
13)3月19日(木)天皇皇后両陛下。ご接見(シニア海外ボランティア及び日系社会シニアボランティア)(御所)
14)3月23日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(御所)
15)3月24日(火)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
16)3月25日(水)天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
17)3月26日(木)天皇陛下。ご懇談(栃木県知事、県議会議長、県警察本部長)(御料牧場)
18)3月29日(日)。天皇陛下 ご挨拶(栃木県知事、県議会議長、県警察本部長)(御料牧場)
19)3月30日(月)天皇皇后両陛下。拝謁(赴任大使夫妻(クロアチア、レバノン))(宮殿)
20)3月31日(火)天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(宮殿)
21)同日。天皇皇后両陛下。ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
22)同日。天皇皇后両陛下。拝謁(人事異動者)(御所)

 このように前年比で増えているだけでなく、今年2月よりも、少なくとも件数は増えています。ご負担軽減どころではありません。まさに、看板に偽りあり、です。


▽3 狙い撃ちにされた宮中祭祀

 それなら宮中祭祀に関するご負担軽減はどうでしょうか。祭祀の簡略化が始まったのが昨年暮れからですので、1月から3月をまとめて比較してみます。

[平成20年1~3月宮中祭祀]
1)1月1日(火)天皇陛下。四方拝(御所)
2)同日。天皇陛下。歳旦祭の儀(賢所仮殿)
3)1月3日(木)天皇皇后両陛下。元始祭の儀(賢所仮殿)
4)1月7日(月)天皇皇后両陛下。昭和天皇祭皇霊殿の儀(賢所仮殿)
5)同日。天皇皇后両陛下。昭和天皇祭御神楽の儀(賢所仮殿)
6)1月30日(水)天皇皇后両陛下。孝明天皇例祭の儀(賢所仮殿)
7)2月1日(金)天皇陛下。旬祭(賢所仮殿)
8)2月11日(月)天皇陛下。賢所仮殿御拝(賢所仮殿)=筆者注。この日は建国記念の日です。
9)2月17日(日)天皇陛下。祈年祭の儀(賢所仮殿)
10)3月1日(土)天皇陛下。旬祭(賢所仮殿)
11)3月20日(木)天皇皇后両陛下。春季皇霊祭・神殿祭の儀(賢所仮殿)
12)3月23日(日)天皇皇后両陛下。花山天皇千年式年祭の儀(賢所仮殿)
13)3月25日(火)天皇皇后両陛下。ご遥拝(賢所皇霊殿神殿を本殿に奉遷の儀)(御所)

 これに対して今年はいかがでしょうか。

[今年1~3月宮中祭祀]
1)1月1日(木)天皇陛下。四方拝(御所)
2)1月7日(水)天皇皇后両陛下。昭和天皇二十年式年祭の儀山陵の儀(武蔵陵墓地)
3)1月30日(金)天皇皇后両陛下。孝明天皇例祭の儀(皇霊殿)
4)2月11日(水)天皇陛下。三殿御拝(宮中三殿)
5)2月17日(火)天皇陛下。祈年祭の儀(宮中三殿)
6)3月20日(金)天皇皇后両陛下。季皇霊祭・春季神殿祭の儀(皇霊殿・神殿)

 もうお分かりでしょう。人事異動者や表彰者の拝謁、大使とのお茶などはご名代として皇太子を立てればいいものをそのようにはせず、少なくとも拝謁・お茶・ご会釈などに関して、ご負担はむしろ増しています。その一方で、宮中祭祀は額面通り削減され、親祭・親拝は半減しています。

 このメルマガがずっと指摘してきたように、祭祀を狙い撃ちにしたご負担軽減であることが明白です。

 宮内庁のホームページが宮中祭祀について、「天皇皇后両陛下は、宮中の祭祀を大切に受け継がれ、常に国民の幸せを祈っておられ、年間約20件近くの祭儀が行われています」といみじくも説明しているように、「祭祀を大切に受け継がれている」のは陛下であって、宮内官僚ではないのです。

 そして国と民を思う陛下の祈りの精神が重んじられるどころか、ご負担軽減と昭和の先例を名目にした、官僚たちによる祭祀の破壊が続いているのです。

 問題はなぜそうなってしまうのか、です。


▽4 有識者会議の報告書には、皇室の天皇観が欠落している

 というわけで、前回に続いて皇室典範有識者会議の報告書を読み進むことにします。

 前回は「はじめに」の最初の段落を読みました。小泉首相の検討要請を受けて会議が開始されたという説明は不正確だと指摘するとともに、有識者会議は先行して行われた官僚たちの非公式な研究を踏襲したものであり、目的は官僚たちにとっての「望ましい」制度の追求にあったと申し上げました。

 そのことは次の段落に明確に表明されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/index.html

「天皇の制度は、古代以来の長い歴史を有するものであり、その見方も個人の歴史観や国家観により一様ではない。我々は、与えられた課題の重みを深く受け止め、真摯に問題を分析し、様々な観点から論点を整理するとともに、それらを国民の前に明らかにし、世論の動向を見ながら、慎重に検討を進めるよう努めた」

 つまり、(1)さまざまな天皇観があるから、さまざまな観点で検討した。(2)世論の動向に合わせて検討した、という2つのことが説明されています。

 多角的な検討は重要だし、国民の考えを参考にするのも大切です。しかしここには肝心な視点が抜け落ちています。つまり、皇室自身の天皇観、皇室にとっての継承制度です。

 そもそも皇位の継承というのは古来、もっぱら皇室に属することであって、余人が介入すべきことではありませんでした。ところが政府は、まことに不遜なことに、皇族の意見を求めることすらしませんでした。

 多様な天皇観があるというのなら、まず皇室自身の天皇観を掘り下げるべきでしょう。すなわち「神事を先にし、他事を後にす」という祭祀王としての天皇観ですが、皇室の天皇論に注目したという気配が感じられません。報告書にある「様々な観点」という表現は、逆にこうした皇室の天皇論に耳をふさぐための耳栓のように見えます。


▽5 無神論的な制度の模索

 さらに報告書は次のように説明し、祭祀無視の本性をむき出しにしています。

「具体的には、現行憲法を前提として検討することとし、まず、現行の皇位継承に関する制度の趣旨やその背景となっている歴史上の事実について、十分に認識を深めることに力を注いだ」

 官僚たちは開闢(かいびゃく)以来の祭祀王としての天皇の歴史を振り返るのではなく、公布から百年にも満たない憲法を出発点におき、無神論的な天皇の制度を模索しているかのようです。

 先述したように、宮内庁のホームページは「両陛下は祭祀を大切に受け継がれている」と説明しています。「歴代天皇が祭祀を大切にしてきた」という説明ではなく、まるで陛下の個人的な趣味であるかのように聞こえます。個人の趣味なら、憲法が優先されるべきであり、祭祀軽視に拍車がかかるのは当然です。


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ご負担は軽減されたのか? [ご公務ご負担軽減]

以下は「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンからの転載です


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 ご負担は軽減されたのか?
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▽1 祭祀がストレスの原因か?
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 さて、奇しくも拙著の発刊と同じ日、1月29日の「両陛下の今後の御公務および宮中祭祀の進め方について」の宮内庁発表から1週間あまりが経過した今週は、天皇陛下のご負担が実際、どれだけ軽減されたのか、を検証してみたいと思います。

 その前にこれまでの経緯を簡単に振り返ってみると、陛下のご健康問題がにわかにクローズアップしたのは昨年、平成20年の2、3月でした。金沢医務主管は新たな療法の確保が必要だ、と述べ、風岡宮内庁次長は運動療法実施のためご日程を一部見直す、と補足し、とくに宮中祭祀について、昭和の先例に従い、21年から調整することが明らかにされました。「ご在位20年を超える来年から」とされたのは、陛下のお気持ちといわれます。

 その後、「調整」は前倒しされます。ご承知の通り、昨年11月以降の陛下の御不例がきっかけです。

 12月9日の会見で、名川東大教授は急性胃粘膜病変の可能性を説明したのち、金沢医務主幹は「陛下はご心労・ご心痛に耐えておられる。これが大きな問題だ」と指摘したうえで、「『陛下はご公務が忙しいからこんなことになる』と単純に考えないでほしい」と断りながらも、「しばらくの間は大事をとり、天皇誕生日や年末年始のご日程などを、思い切って軽いものに変えていくことが大事だ」と述べました。

 これに対して、羽毛田長官は2日後の会見で、「ここ1カ月程度はご日程を可能な限り軽いものに致したく、天皇誕生日やもろもろの年末年始の行事などについて、所要の調整を行いたい」と応じています。

 そして、実際、どうなったかといえば、長官の所見には言及のなかった祭祀が真っ先に標的にされ、12月15日の賢所御神楽の儀、23日の天長祭、25日の大正天皇例祭は御代拝とされました。長官は調整の対象として「天皇誕生日」をあげていましたが、実際には記者会見が中止になったぐらいで、例年と何ら変わりない祝賀行事が続いたように伝えられています。新年の行事も同様でした。

 まるで宮中祭祀こそストレスの原因だといわんばかりに、祭祀がねらい打ちにされています。


▽2 調整の7つのポイント

 11月の御不例は差し迫った急性の病変といわれましたから、当面、短期的な対応が迫られたのでしたが、1カ月以上が経過した現在は、本格的な中長期的対応が求められています。それこそがまさに1月29日の発表でした。
http://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/gokoumu-h210129.html

 発表のポイントは、以下の7点です。

1)、昭和天皇が74歳になられた昭和50年当時と比べ、外国からの賓客や駐日大使との御会見・御引見などについて約1.6倍、赴任大使や帰朝大使の拝謁などについては約4.6倍、都内や地方へのお出ましについては約2.3倍と大きく増加し、御負担が増大している。御公務の中身も、帰朝大使のためのお茶のように、平成になってから恒例化したものもある。認証官や学士院および芸術院の会員などからお話をお聞きになるなど、内容も変化している。

2)、御公務の調整・見直しは、それぞれの内容・方法などについて、御負担を少しでも軽減するという観点から、きめ細く調整・見直しを図ることとした。

3)、陛下は拝謁・お茶などの形で、年間約100回に及んで、国内外の数多くの方々とお会いになっている。なかでも春・秋の叙勲に伴って、50回以上の拝謁が春・秋それぞれ7日間あるいは8日間にわたって連日行われる。拝謁などについては、春・秋の叙勲に伴う拝謁を中心に、手順の見直しなどを通じて、回数・日程を縮減したい。茶会などについても、一部日程の短縮など行事内容のこまめな見直しを進めたい。

4)、外国賓客等の御引見などの回数は年間100件以上に上っているが、このうち年間10件前後お会いになる首相級の外国賓客に関しては、原則として公賓または公式実務訪問賓客として訪日する場合に限りお会いになるなどの調整を行う。昨年は9件に上った外国国会議長の御引見に関しては、今後しかるべき調整を図る。新年や天皇誕生日における祝賀行事は、行事内容の見直しを行う。

5)、国内の行幸啓は、全国植樹祭など諸々の式典については、今後は基本的に「おことば」はなしとし、御臨席のみとすることを検討するとともに、御臨席になる時間の短縮を進めるなど、行幸啓日程全般の見直しを進める。

6)、宮中祭祀は、例えば新嘗祭については、当面、「夕の儀」には従来どおり出御になることとし、「暁の儀」は時間を限ってお出ましいただく。毎月1日に行われる旬祭は、5月1日と10月1日以外の旬祭は御代拝とする。

7)、調整・見直しは関係者や関係機関などとも相談しつつ逐次実施に移し、今後、必要に応じて更なる見直しを加える。

 これらが、本格的調整として相応しいものだったかが問われています。


▽3 どこが調整なのか?

 実際の調整はどうなったのか、昨年と比べてみます。

 宮内庁の発表によると、昨年の今ごろの陛下のご日程はこうでした。

1月29日(火) ご執務(宮殿)
1月30日(水) 孝明天皇例祭の儀(賢所仮殿)
        ご引見(ブラジル下院議長)(宮殿)
        ご引見(チリ上院議長夫妻)(宮殿)
1月31日(木) ご進講(東京都知事)
      午餐(在京外国大使夫妻(アルゼンチン,アイスランド,サウジアラビア,モザンビーク))(宮殿)
        拝謁(農林水産祭天皇盃受賞者)・ご覧(業績展示等)(宮殿)
2月1日(金)  旬祭(賢所仮殿)
2月1日(金) ~2月6日(水) 葉山御用邸ご滞在
2月1日  ご執務(葉山御用邸)
2月5日  ご執務(葉山御用邸)
2月6日  県勢概要ご聴取(神奈川県知事)(葉山御用邸)

 これに対して、今年は以下のようになっています。

1月30日(金) 孝明天皇例祭の儀(皇霊殿)
        ご執務(宮殿)
2月2日(月)  お茶(帰朝大使夫妻(アンゴラ,チェコ,ドイツ,スイス兼リヒテンシュタイン))(御所)
        拝謁(皇太子殿下ベトナムご訪問首席随員)(宮殿)
        お茶(退職認証官)(宮殿)
2月3日(火)  ご会釈(勤労奉仕団)(蓮池参集所)
        午餐(会計検査院長(職務代行),人事院総裁,公正取引委員会委員長等)(宮殿)
        ご執務(宮殿)
2月4日(水)  ご懇談(経済三団体の長)(御所)
        ご挨拶(皇太子殿下(ベトナムご訪問につき))(御所)
2月5日(木) ~2月8日(日) 葉山御用邸ご滞在

 これらを見比べれば、いったいどこがご負担軽減のための調整なのか、首をかしげたくなります。きめ細かい見直しをするという姿勢は理解できますが、逆にいえば原則もなく、思い切った軽減にはほど遠いといわざるを得ないでしょう。


▽4 祭祀への越権介入

 どうしても、と陛下が仰るのなら別ですが、帰朝大使のお茶や会計検査院長らとの午餐などは皇太子に任せるというようなことはできないのでしょうか。帰朝大使らにも遠慮という発想はないのでしょうか。

 結局のところ、宮内庁の発表から一週間、いくら口を酸っぱくして説明しても、何のことはない、旬祭の親拝が御代拝に代わっただけのように私には見えます。

 つまり陛下の聖域である祭祀に宮内官僚が越権的に介入しただけではないのでしょうか。要するに、「祭祀はすべてやめ、植樹祭と国体はお出ましに」と祭祀の伝統破壊を画策した、悪しき入江侍従長時代への先祖返りです。

 これに対して、陛下は孝明天皇例祭に親拝されています。まぎれもない祭祀王としてのご自覚からなのでしょう。争わずに受け入れるという至難の帝王学を実践し、「国中平らかに安らけく」と、国と民のためにひたすら祈る、天皇第一のお務めである祭祀を守ろうとされているのだと拝察します。

 最後に、皇太子殿下会見について触れるつもりでしたが、長くなりましたので、次回に譲ります。


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