バングラは何が変わったのか、ほか [バングラデシュ]
以下は旧「斎藤吉久のブログ」（平成19年12月2日日曜日）からの転載です
〈〈 本日の気になるニュース 〉〉
１、「AFPBB News」12月1日、「『苦しみは世界共通』。サイクロン救援の米海軍士官が語る」
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2319855/2416881
被災者たちを救いたいというアメリカ海軍兵士たちの気持ちは痛いほど分かりますが、10年以上も前、孤児院救援のボランティア活動で何度か通った経験から、少し異なる感想を持っています。
というのも、バングラから送られてくる映像を見ていると、私が通っていたころとほとんど何も変わっていないように見えるからです。
私が最初にバングラを訪ねたのは、ちょうど同国南東部のコックスバザールを大型サイクロンが直撃し、13万人以上ともいわれる被災者が出たときでした。
一週間後に到着したチッタゴンの町は生気が失われ、訪問した孤児院では代表者たちがいかにも悲しそうな表情を浮かべていました。お昼ご飯を食べに入った場末のレストランで出されたコップの水は茶色く濁ったままでした。
たいへんな国がある、と素直に思いました。
ところが、雨季になると国土の三分の一が水没するという、その雨季に訪ねたとき、さぞや人々は悲惨な状況にあるのかと思いきや、予想に反して、人々はごくふつうの平穏な生活をおくっていました。
雨季になって水かさが増すといっても、日本のような鉄砲水はありません。特別危険なことはありませんし、人々は自然と共生しています。
もちろん悲惨な境遇の人たちは驚くほどたくさんいます。最近ではさすがに変わったようですが、私が通っていたころは、国際空港をおりたとたん、物乞いたちに取り囲まれ、「ボクシーシ（金をくれ）」とせびられたものです。
いろんな理由から親を失い、トカイ（孤児）となった子供は星の数ほどいるのでした。しかし、その子らもじつにたくましく、元気よく生きていました。
もっと驚いたのは、悲惨な境遇にあると思い、支援の対象とした孤児院の子供たちが、じつをいえば、この国ではエリートだったことでした。
つらい立場の子供たちは数多くいるけれども、選ばれて孤児院に入れば、衣食住が与えられ、本人の努力次第では、教育を受けて、やがて社会的な地位を得る道も開かれているのでした。
この記事を読むと、被災者に衛生的な水を供給することにアメリカ軍兵士たちは意気に感じていることがよく分かりますが、現地の人々はつねにあまり衛生的ではない水にすでにして慣れています。
かつてのサイクロン被災のとき、水が必要だろうという配慮で先進国がミネラルウォーターを大量に送ったけれども、結局、大量に余ったという話を聞きました。世界最大のデルタ地帯に立地するバングラは水だけは豊富です。
最大の問題はこの国の人たちの精神です。多くの血を流してパキスタンから分離独立したのが1971年、それから30年以上が過ぎたというのに、国が安定しません。自然災害といえば国際的援助が集まる。それでなくても、世界最貧国といわれるこの国は、国際援助のモルモット扱い。援助がビジネスになっている、という声を何度聞いたことか。
ある孤児院で、挨拶を求められ、「ささやかな援助を届けるために今日は来たけれども、こんどはみんながほかの多くの恵まれない子供たちのために行動する番だ」と話したことがありますが、あのときの子供たちはいまどうしているのでしょうか。
ご参考までにこちらをどうぞ。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/saitohsy/bangladesh.html
２、「中日新聞」12月1日、「日本の円借款を『評価』。中国、『感謝』は使わず」
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007120101000550.html
中国の外相は「高く評価する」という見解を示したのだそうです。
嘘でも相手をくすぐるような言葉をなぜ使えないのでしょう。豚もおだてりゃ、木に登る、といいますが、そのようにできない事情があるのでしょうか。大国に相応しい態度とはとても思えません。
３、「クリスチャン・トゥデイ」11月30日、「スコットランド教会、映画『黄金の羅針盤』ボイコットを拒否」
http://christiantoday.co.jp/international-news-1291.html
アメリカのカトリック連盟などがボイコットを呼びかけている映画『ライラの冒険』。スコットランド教会はくみしないのだそうです。
以上、本日の気になるニュースでした。
〈〈 本日の気になるニュース 〉〉
１、「AFPBB News」12月1日、「『苦しみは世界共通』。サイクロン救援の米海軍士官が語る」
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2319855/2416881
被災者たちを救いたいというアメリカ海軍兵士たちの気持ちは痛いほど分かりますが、10年以上も前、孤児院救援のボランティア活動で何度か通った経験から、少し異なる感想を持っています。
というのも、バングラから送られてくる映像を見ていると、私が通っていたころとほとんど何も変わっていないように見えるからです。
私が最初にバングラを訪ねたのは、ちょうど同国南東部のコックスバザールを大型サイクロンが直撃し、13万人以上ともいわれる被災者が出たときでした。
一週間後に到着したチッタゴンの町は生気が失われ、訪問した孤児院では代表者たちがいかにも悲しそうな表情を浮かべていました。お昼ご飯を食べに入った場末のレストランで出されたコップの水は茶色く濁ったままでした。
たいへんな国がある、と素直に思いました。
ところが、雨季になると国土の三分の一が水没するという、その雨季に訪ねたとき、さぞや人々は悲惨な状況にあるのかと思いきや、予想に反して、人々はごくふつうの平穏な生活をおくっていました。
雨季になって水かさが増すといっても、日本のような鉄砲水はありません。特別危険なことはありませんし、人々は自然と共生しています。
もちろん悲惨な境遇の人たちは驚くほどたくさんいます。最近ではさすがに変わったようですが、私が通っていたころは、国際空港をおりたとたん、物乞いたちに取り囲まれ、「ボクシーシ（金をくれ）」とせびられたものです。
いろんな理由から親を失い、トカイ（孤児）となった子供は星の数ほどいるのでした。しかし、その子らもじつにたくましく、元気よく生きていました。
もっと驚いたのは、悲惨な境遇にあると思い、支援の対象とした孤児院の子供たちが、じつをいえば、この国ではエリートだったことでした。
つらい立場の子供たちは数多くいるけれども、選ばれて孤児院に入れば、衣食住が与えられ、本人の努力次第では、教育を受けて、やがて社会的な地位を得る道も開かれているのでした。
この記事を読むと、被災者に衛生的な水を供給することにアメリカ軍兵士たちは意気に感じていることがよく分かりますが、現地の人々はつねにあまり衛生的ではない水にすでにして慣れています。
かつてのサイクロン被災のとき、水が必要だろうという配慮で先進国がミネラルウォーターを大量に送ったけれども、結局、大量に余ったという話を聞きました。世界最大のデルタ地帯に立地するバングラは水だけは豊富です。
最大の問題はこの国の人たちの精神です。多くの血を流してパキスタンから分離独立したのが1971年、それから30年以上が過ぎたというのに、国が安定しません。自然災害といえば国際的援助が集まる。それでなくても、世界最貧国といわれるこの国は、国際援助のモルモット扱い。援助がビジネスになっている、という声を何度聞いたことか。
ある孤児院で、挨拶を求められ、「ささやかな援助を届けるために今日は来たけれども、こんどはみんながほかの多くの恵まれない子供たちのために行動する番だ」と話したことがありますが、あのときの子供たちはいまどうしているのでしょうか。
ご参考までにこちらをどうぞ。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/saitohsy/bangladesh.html
２、「中日新聞」12月1日、「日本の円借款を『評価』。中国、『感謝』は使わず」
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007120101000550.html
中国の外相は「高く評価する」という見解を示したのだそうです。
嘘でも相手をくすぐるような言葉をなぜ使えないのでしょう。豚もおだてりゃ、木に登る、といいますが、そのようにできない事情があるのでしょうか。大国に相応しい態度とはとても思えません。
３、「クリスチャン・トゥデイ」11月30日、「スコットランド教会、映画『黄金の羅針盤』ボイコットを拒否」
http://christiantoday.co.jp/international-news-1291.html
アメリカのカトリック連盟などがボイコットを呼びかけている映画『ライラの冒険』。スコットランド教会はくみしないのだそうです。
以上、本日の気になるニュースでした。
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