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「アメリカの正義」は絶対か ──戦後補償を要求する「司法による暴政」 [天皇・皇室]

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「アメリカの正義」は絶対か
──戦後補償を要求する「司法による暴政」
(「神社新報」平成13年12月10日)
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ここ10年、アメリカでは、大戦中の教勢労働について、旧財閥系の日本企業に補償や謝罪を求める元連合軍捕虜や占領地アジア人による訴訟が相次いでいる。

カリフォルニア州では、一昨年7月にこの訴訟を可能とする法律が公布されて以来、30件を上回る訴えがあると伝えられる。

そんななかでサンフランシスコ連邦地裁は昨年9月、第2次大戦中の強制労働の賠償を旧財閥系日本企業に求める元捕虜たちの提訴を棄却した。「講和条約で解決済み」とする初めての判断。根拠は「講和条約で放棄した請求権に当たるため賠償提訴は無効」とする国務、司法両省の条約解釈で、判決は対日戦後補償問題に一区切りを付ける節目となった。

ところが、である。

これとは別に、上院司法委員会は昨年6月に講和条約の解釈を再検討するよう国務、司法両省に指示した。

上院は10月に「元捕虜と日本企業との対話促進」を政府に求める決議案を全会一致で可決し、さらに日本軍の戦争犯罪を徹底再調査すべきだとする「日本帝国政府情報公開法」が上下両院を通過、昨年暮れ、大統領が署名している。

今春には下院に、期限付きで日本企業に対する戦時補償請求を認める法案が提出され、可決の可能性が予想されている。

講和条約調印から50年。「戦争は終わった」はずだが、対日請求の動きが逆に高まっているのはなぜなのか。

元国務長官のキッシンジャーは米誌「フォーリン・アフェアーズ」の今年7、8月合併号に「普遍的な司法の陥穽」と題する論文を発表し、「国際政治を司法の手続きに変える、かつて例を見ない動きが出現した。他者を威嚇するような推進者たちの情熱から異常な速度で拡大し、規律ある議論の対象とはなっていない」と指摘している。

国際問題専門家によれば、この司法による暴政の危険性は、アメリカ歴史学会の潮流とも通じているようだ。

一橋大学でも教鞭を執ったニューヨーク州立大の歴史学者ビックスは今春、昭和天皇が第2次大戦に積極的な役割を果たしたとする評伝『ヒロヒトと近代日本の形成』でピュリッツァー賞を受賞している。

ビックスはベトナム戦争世代で、東京裁判の不徹底ゆえに日本は「侵略」を反省できず、アジア諸国からの批判を浴びることになった、と考え、同じ論理で、教科書問題や靖国問題を批判する。

けれども、アメリカに「日本の侵略」を批判する資格はあるのだろうか。「アメリカの正義」はそれほど普遍的で絶対的なものなのだろうか。

1945年6月、リンドバーグはナチス降伏後のポーランドにいた。ユダヤ人捕虜収容所。焼却し捨てられた人骨で溢れる穴の前で、ビアク島の記憶が蘇る。

ドイツ人がヨーロッパで犯した犯罪を、アメリカ人もビアク島で犯したのだ。そのアメリカ人に、どうしてドイツ人を、日本人を裁く資格があるだろうか。

リンドバーグは『日記』の最後を、聖書の言葉で締めくくっている。

「汝ら、人を裁くな。裁かれざらんためなり」

キリスト教の教理に従えば、裁きは神の手にある。

幸い戦争で生き延びた人たちは旧敵国の「犯罪」を追及し、謝罪や補償を求めることができるけれども、尊い命を失った人たちにはその術はない。

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