SSブログ

靖国問題で胡錦涛派が強硬派に勝利? [靖国問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」からの転載です

yasukuni4.gif
 ここ数日はじつに憂鬱でした。小泉首相の靖国神社参拝に抗議する耳をふさぎたくなるほどの批判。静謐な慰霊の日であるべき終戦記念日に政治的な喧噪はふさわしくありません。

 国に一命を捧げた戦没者を国が慰霊・追悼するのは当然のことであり、慰霊・追悼の中心施設として歴史的に機能してきた靖国神社に一国の首相が国を代表して表敬するのはこれまた当然のことではありませんか。

 中国、韓国は首相の参拝につよく抗議しましたが、たとえば中国の批判は的はずれです。

 中国外務省の抗議は、「A級戦犯が祀られている靖国神社」「日本軍国主義侵略戦争の被害国人民」「日本軍国主義が引き起こし、実施した対外侵略」などとし、小泉参拝が「国際正義に対する挑発」「人類の良識を踏みにじる」と言いたい放題です。

 過去の歴史をどう解釈するかは自由ですが、事実を曲げるべきではありません。中国外務省は何をもって「日本軍国主義」というのでしょうか。日本が一方的に侵略戦争を計画し、実行したとはいえないでしょう。みずからをもっぱら「被害者」とおく解釈も正確でしょうか。靖国神社に関する理解も間違っています。靖国神社はA級戦犯を神として祀り、侵略者をあがめているというのではありません。

 声ばかりが大きい、トンチンカンな抗議に対して、宮本中国大使が李肇星外相に直接、「見当違い」とつよく反論したのは立派です。 

 参拝に反発するデモも、公安当局の許可を得、参加人数や抗議文の事前検閲を受けた上での小規模なものでした。北京の日本大使館前でのデモはわずか20人だったといいます。反日行動は完全に封じ込められているようです。

 注目したいのは、こんなときかならず現れる「反日」の権化ともいうべき江沢民、そして唐家璇のカゲがないことです。それどころかこのさなかに江沢民派で政治局ナンバー4の賈慶林が失脚し、かわって胡錦涛派・王兆国の就任がいわれています。

 以前から申し上げてきたように、中国の権力中枢では、胡錦涛の対日重視派と江沢民の強硬派との間で熾烈な闘争が展開されてきました。その政争の具に使われてきたのが、日本の慰霊・追悼の聖地である靖国神社なのです。

 日本のマスコミは相変わらずワンパターンの報道が圧倒的ですが、小泉参拝で日本を、そして胡錦涛派を追いつめてきたつもりの中国・対日強硬派が、意固地ともいえる首相の年1回の参拝で十分な政治的成果をあげ得ず、かえって影響力の低下をまねいている、ということなのではありませんか。

 もちろん胡錦涛派も首相参拝反対を叫んでいたことには変わりはありませんが、対日強硬派から「軟弱外交」の批判を受けないためのパフォーマンスでしょう。それは反日デモを徹底して封じ込めていることから明らかです。これほど両国関係が深まっているのに、「反日」に何の意味があるでしょう。表向きは参拝を批判する中国・胡錦涛政権と批判をものともせずに参拝する小泉首相との間に、高度な連携関係が成り立っていたといえるのかもしれません。

 中国に求められているのは、不毛な権力闘争を清算し、国民重視の民主政治を回復することではないでしょうか。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。