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河野談話から後退するな、ほか [慰安婦問題]

以下は旧「斎藤吉久のブログ」(平成19年11月30日金曜日)からの転載です


〈〈 本日の気になるニュース 〉〉


1、「朝日新聞」11月29日、「カナダ下院、慰安婦問題の謝罪求める決議採択」
http://www.asahi.com/international/update/1129/TKY200711290084.html

 記事によると、「旧日本軍は性的強制労働の目的で女性の徴用を命じた」とし、全被害者に「正式で誠意のある謝罪」を要求する決議案が中国系女性議員によって提出され、下院は全会一致で採択したのだそうです。

 その議員とはチョウ議員といい、議員のホームページによれば、議員はこの日の議会で、15歳の少女が無数の日本兵から何年も、拷問され、レイプされた。苦しむ女性は20万人以上いた。生存者のうちの4人が、今日、正式で誠実な謝罪を求めて議場にいます。カナダは慰安婦の味方でしょうか、と訴えたようです。
http://www.oliviachow.ca/page/283

 慰安婦の数は多く見積もって20万人といわれますが、すべてが奴隷状態にあったわけではありません。逆に、兵士とのあいだに連帯感があり、慰安婦出身の女兵伝説さえ聞かれます。チョウ議員の発言には誇張があります。

 しかし議員たちは何と全会一致で決議文を採択したのだそうです。その決議文は議会のホームページおよび決議案を提出した議員のホームページに載っています。
http://www2.parl.gc.ca/HousePublications/Publication.aspx?Language=E&Mode=1&Parl=39&Ses=2&DocId=3137034
http://www.oliviachow.ca/page/282

 決議文は5項目からなります。日本軍は公式にもっぱら性の奴隷とするために若い女性の調達を命じた。最近、日本当局者は河野談話を無効にする悲しむべき要求を表明した。カナダ政府は日本政府に河野談話からの後退を断念するよう勧める──などというのがその内容です。

 慰安婦の募集などに軍が関わっていたとする説は平成4年1月の朝日新聞の記事がきっかけとされます。大学教授が防衛庁の図書館で資料を「発見」したという「特ダネ」を掲載したのですが、その資料は研究者のあいだでは周知で、スクープではありません。しかもその内容は逆に、業者による「強制連行」をやめさせようとしていた事実を証明するものでした(秦郁彦『慰安婦と戦場の性』など)。

 また、「官憲による強制連行」を認めてしまった河野談話は、関係者の証言では、「あったことにしてほしい」という韓国側からの要求を呑んだ、政治的産物といわれます。

 日本が謝罪や賠償を拒否しているわけでもありません。逆に、終戦直前に対日参戦したソ連が朝鮮半島北部に進攻してきたあと、婦女子は見境なく暴行され、終戦後の混乱のなか、3万5000人を超える日本人が死亡したという悲惨な歴史もあります(森田芳夫『朝鮮終戦の記録』)。

 中国大陸でも同様の悲劇が起きているようです。終戦後、満州では民衆の即決裁判で3500人の日本人が犠牲になったといわれます(満蒙同胞援護会編『満蒙終戦史』)。

 チョウ議員はけっして奴隷状態ではない慰安婦の問題を「人類に対する罪」とさえ呼びますが、朝鮮や中国での悲劇は見逃されるべきものなのでしょうか。日本人犠牲者には謝罪を求める権利はないのでしょうか。

 「姓の奴隷」というような事実があれば「罪」ともなるでしょうが、ないのであれば「罪」ではありません。ないものがあるかのようにされて非難の対象となり、あったものが見過ごされるのは、歴史に対する冒涜となるでしょう。

 アメリカ下院の決議もそうでしょうが、カナダ議会ではどこまで真実が語られたのでしょう。今回の決議文は日本とカナダとの同盟関係に言及していますが、実証的態度に乏しい非難決議は両国関係にとってけっしてプラスにはなりません。

 なぜこのような決議がなされたのか。北朝鮮による慰安婦批判が目の前の拉致問題をかわすことが目的なら、中国系の非難はどうやらダルフールの虐殺から世界の視線をそらすことを目的としているようにも見えます。攻撃は最大の防御なのでしょう。

 世界を舞台とする政治攻勢に対して日本政府の対応はなんともお粗末です。事実でないことを、愚かにも最初に事実と認めたのは、外国ではなく、日本自身ですから。愚行の主の責任は重いといわねばなりません。

 参考までにこちらを。
http://homepage.mac.com/saito_sy/korea/H170404JSianfu.html
http://homepage.mac.com/saito_sy/korea/H1805nicchou.html
http://homepage.mac.com/saito_sy/china/H1801flyingtigers.html


2、「朝日新聞」11月30日、「秋篠宮さま42歳。『天皇公務、負担減らす必要』」
http://www.asahi.com/national/update/1129/TKY200711290371.html

 秋篠宮さまは30日、42歳の誕生日をお迎えになりました。それに先立って、妃殿下とともに記者会見に臨まれ、「陛下のご公務の負担を必要がある」とお話しになりました。

 会見の内容は宮内庁のホームページに掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/akishino/akishino-kaiken-h19.html

 斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」メールマガジンに「天皇皇室の一週間」のコーナーを設け、ご公務の一部を掲載していますが、実際、陛下の日程は過密スケジュールです。
http://www.melma.com/backnumber_170937/


3、「岩手日報」11月28日、「『女性よ、殴り返すべし』。シーア派権威が宗教見解」
http://www.iwate-np.co.jp/newspack/cgi-bin/newspack_s.cgi?s_lifestyle_l+CN2007112801000783_1

 シーア派の最高権威ファドララ師が27日、女性に対する家庭内暴力は罪だと明言し、正当防衛なら殴り返すことが許されるというファトワ(宗教見解)を出したのだそうです。

 AP通信のオリジナル記事はこちらです。
http://ap.google.com/article/ALeqM5hx3rgcB8Yjcz_W3bq51aiVdWQ-twD8T6EE1G1


4、「花岡信昭メールマガジン」11月30日、「民主党の支離滅裂」
http://www.melma.com/backnumber_142868_3917541/

 民主党が、北朝鮮をテロ支援国家指定から解除しようアメリカの動きに反対する国会決議案を了承したのですが、花岡さんは民主党にその資格があるか、と問いただしています。インド洋から海上自衛隊を撤退させておいて、俺たちのいうことは聞け、とアメリカに求めるのは支離滅裂だ、というのです。

 まったくその通りです。


5、「中国情報局」11月28日、「南京事件記念館リニューアル。生々しいブロンズ像」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1128&f=national_1128_001.shtml

 「南京虐殺70年」の12月13日にあわせて、リニューアルオープンする記念館に設置されるのだそうです。そういうものを製作し、展示するという発想が何とも残酷です。


6、「中央日報」11月29日、「中国先端駆逐艦、初の東京入港。日中新デタント時代」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=93299&servcode=200§code=200

 中央日報は「新デタント時代」と精いっぱい持ち上げています。デタントという言葉をどうしても使いたいなら、デタントを演出している、と表現すべきなのではないでしょうか。


 以上、本日の気になるニュースでした。
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