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なぜ「謝罪」するのか──日本的儒教倫理を国際社会に持ち込む愚昧 [日韓関係]

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なぜ「謝罪」するのか
──日本的儒教倫理を国際社会に持ち込む愚昧
(「神社新報」平成11年3月8日号から)
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 全斗煥大統領来日以来、韓国大統領の訪日は、日本の「過去」への「反省と謝罪」要求が大きな目的とされ、他方、日本政府は「謝罪」を繰り返してきた。

 けれども、その「過去」とは具体的に何を指すのか、外務省関係者によれば、「外交交渉で具体的な歴史が議論されたことはない」し、また、日本の国会で「過去」の中身が議論されたこともない。

 客観的史実の検証なしに、「歴史」問題が論議されてきたのは驚くばかりだが、それならなぜ、日本政府は「謝罪」を選択したのか。昨秋の金大中大統領訪日では、小渕首相がまたもや「謝罪」し、共同宣言に明文化された。


▽IMF事態にも「謝罪」

「世界経済評論」本年1月号に、外務省北東アジア課長・佐々江賢一郎氏による金大中大統領訪日直後の講演が載っている。それによると、昨秋の共同宣言が生まれた最大の要因は、金大中政権の成立だという。

 金泳三政権末期、とくに平成9年の中盤から後半にかけて、日韓関係は険悪化していた。政権を引き継いだ金大中氏は日韓関係を抜本的に前進させたいというシグナルをいろいろなかたちで伝えてきた。両国関係の転換が図れる可能性があるとみて、日本政府はこれに乗ったということらしい。

 新政権は関係改善を呼びかけなければならない苦境にあった。IMF事態と呼ばれる外貨危機である。韓国は日本の金融支援を必要としていた。このため「謝罪」を強く要求できなかったというのがむしろ真相かも知れない。「謝罪」も金融支援も得られなければ、元も子もなかろう。

 実際、金大統領は異例なことに、日本の国会での演説で、「苦しいときの友が真の友」という表現で、日本の支援に率直に感謝した。壬申倭乱(文禄・慶長の役)にはふれたが、「秀吉」の名前は出さなかった。大統領のブレーンは「日本の国民感情」を傷つけないための配慮と強調している。

 その結果、大統領は30億ドルもの追加的な輸銀資金供与という最大の成果を訪日によって獲得した。

 佐々江氏は、過去、現在、未来の3つの局面に、正当にバランス良く光を当てるというコンセプトを強調し、「過去」の「謝罪」だけではないと主張する。

 日本側は「過去」だけに関心が集中するのは生産的ではないし、好ましくないと考えた。一方、金大統領は、「過去」を清算したい、日本は「過去」を直視すべきだと主張しながらも、戦後の日本が果たした役割も正当に評価しなければならないという考えを表明していたという。

 いずれにしても、日本が「謝罪」したことに変わりはない。それにしてもなぜ「謝罪」という手法を採るのか。


▽「当然、謝罪すべき」

 外務省関係者はこう語っている。

「日本は併合時代、感謝されるような立派なことをしたか。すべてが悪かったとはいわないが、反省すべき点が多かった。政府は当然、謝罪すべきだと考えた」

 これこそ「日本性悪説」というべきものだろうが、さらにこう続けた。

「歴史は主観の問題である。韓国には『怨念』があって、なかなか客観的立場に立てない。従来の日韓の交渉は感情論に終始した。けれども韓国も平和的な政権交代ができるようになり、経済力もついて、ようやく客観的で冷静な議論ができるようになった。そんな韓国を温かく見守るべきではないか」

 なんと美しい日本的な「優しさ」であろうか。日本人は他人を責めるより、自分を責めるという美徳をもっている。ことさらに自分の非を認め、詫びて、和を実現しようとする。「すみません」は日本人の口癖だ。

 けれども日本的な美徳の観点から「謝罪」を選択したのだとしたら、いかがなものか。個人関係ならいざ知らず、力が支配する国際社会に日本的儒教倫理が通用するとは思えない。

 戦争末期に朝鮮独立運動家・呂運亨とも交わり、支援した葦津珍彦は、戦後の「謝罪」外交をこう批判している。

──戦争に敗れた日本人が卑屈な姿勢で陳謝するのは相手の軽蔑を招くだけだ。日本人はむしろ弁明すべきである。過去の日本に非がなかったと強弁するつもりはないし、重苦しい過去の重圧を十分、感じているが、それは2倍にも3倍にも増幅され、断罪されてきた。これ以上、追認するのは無意味であり、愚かである(葦津『アジアに架ける橋』)。

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